大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年04月19日 | 植物

<1938> 大和の花 (196) ミョウジンスミレ (明神菫)                                            スミレ科 スミレ属

              

 スミレ(Viola mandshurica)の変異したものと考えられている地上茎を有しないスミレで、葉も花もスミレにそっくりであるが、花弁の基部に白い部分がなく、模様が入らないうえ濃紫色の花弁よりもその基部の部分がより濃く、花の奥が見え難い特徴がある。

  何故このような彩の花が生まれたのか。箱根の明神ヶ岳(1169メートル)で最初に見つかったことによりこの名があるが、ほかでも見られ、大和(奈良県)でもときおり見かける。私は若草山や曽爾高原の草原で3度ほど出会った。みな単独の株で、群落をつくるほどにはなく、突然変異のようにも感じられる個体ばかりだった。 写真は花弁の基部に模様がなく、その部分がより濃いミョウジンスミレ。 さくら散る花の定めを纏ひつつ

<1939> 大和の花 (197) ハグロスミレ (葉黒菫)                                             スミレ科 スミレ属

                    

  谷筋の落葉樹や照葉樹下の日陰になった空中湿度の高い湿ったところに生える地上茎を有しないスミレとして知られるヒカゲスミレ(日陰菫)の一種で、またの名をタカオスミレ(高尾菫)という。葉が濃紫褐色であることからこの名がつけられ、八王子市の高尾山(599メートル)で最初に見つかったのでタカオスミレの名がある。

  ヒカゲスミレは北海道、本州、四国、九州のほぼ全国的に分布し、国外でも朝鮮半島から中国にかけて分布しているスミレで、南北に細長い日本列島では中部地方以北に多く見られ、西日本では点在する程度と言われる。大和(奈良県)においては非常に珍しく、私は長卵形で先の尖った両面が濃紫褐色の特徴を有するハグロスミレを奈良市の春日山(283メートル)でしか見ていない。

  草丈は10センチ前後、葉は前述した通りである。花期は4月から5月ごろで、白い花を咲かせる。唇弁には紅紫色のすじ模様が入り、側弁の基部には毛を有し、葉や花柄にも毛が密に生える。レッドリストにあげられていないのが不思議なほど希少で、大和(奈良県)では危ういスミレに見える。写真はヒカゲスミレの一種のハグロスミレ。  春は蝶の一山の夢花とあり

<1940> 大和の花 (198) ウスアカネスミレ (薄茜菫)                                            スミレ科 スミレ属

                              

  写真のスミレは曽爾高原の末黒の草地で偶然出会ったものである。私の認識にないスミレだったのでカメラを向け、とりあえず写真に収めた。ひと株だけの孤独な姿だったので写真は1枚だけである。ほのかに紅色を帯びる白地の花は全体に紅紫色のすじ模様が入る明るい印象で、末黒を背景に浮き立って見えた。図鑑と照らし合わせてみた結果、ウスアカネスミレ(薄茜菫)と同定出来た。

  草丈は10センチほど。地上茎を有しないスミレで、葉は卵形に近く、基部は心形で、先端は鈍く尖る。撮影は4月中旬で、ほのかに紅色を帯びる白地の花から、最初はアリアケスミレ(有明菫)、ゲンジスミレ(源氏菫)、ナガハシスミレ(長嘴菫)が候補に上って来た。

  更に、5花弁が不揃いであること、細長い距を有し、側弁の基部に白い毛が密に生え、花柄などにも毛があることなどを条件に加え判断に当たった。結果、距が太く短いアリアケスミレは該当せず、5弁のそれぞれの花弁の大きさがほぼ等しいゲンジスミレも側弁の基部に毛を有しないナガハシスミレも写真の花には当たらないということになった。

  結局、消去法によって調べた結果、前述の3候補はみな写真の花にはあらず、アカネスミレの条件を満たしているということで、遠回りしてしまったが、アカネスミレの花の色違いということで落ちついた。これはまさに変異の多いスミレ科スミレ属の一端を示す例と受け止めることが出来る。珍しいのでとりあげた。絶滅危惧種。 写真はウスアカネスミレ。  元気よし渓間の鴬ほーほけきょ

<1941> 大和の花 (199) アメリカスミレサイシン (アメリカ菫細辛)                   スミレ科 スミレ属

                                               

  私がこれまでに出会った野生化した外来のスミレ2品に触れてスミレ類の紹介を終わりたいと思う。1つはビオラ・ソロリア・プリケアナ(Viola sororia Priceana)、いま1つはビオラ・ソロリア・フレックルス(Viola sororiaFreckles で、ともに北米原産の帰化植物である。

  プリケアナもフレックルスも多年草で、明治時代以降に観賞用の園芸品として渡来した。ビオラ(Viola)はスミレの属名で、ソロリア(sororia)は小種名であり、プリケアナ(Priceana)とフレックルス(Freckles)は品種名である。ビオラ ソロリアの和名はアメリカスミレサイシン(アメリカ菫細辛)で、ソロリアは根茎が太く大きいからか、塊を意味する。

  プリケアナは草丈が25センチほどになり、葉は心形で、濃緑色。花期は4月から5月ころで、花は直径3センチから5センチほど、白地に青紫色のすじ模様が入る。明日香村の甘樫の丘の遊歩道脇で見かけたもので、植えられたものかどうかは不明である。一方、フレックルスは草丈が15センチほど。葉は心形で、濃緑色。花期は4月から5月ごろで、白地に青紫色の斑点がある花を咲かせる。この斑点をフレックルス、つまり、そばかすに見立てたことによりこの名がある。この花は生駒市高山町の道端で出会った。こちらは逸出したものと思われる。 写真はプリケアナ(左)とフレックルス(右)。  すみれ咲く絵本童話の一頁

 

 

 

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