大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年07月03日 | 写詩・写歌・写俳

<2012> 余聞 余話 「大台ヶ原のロッククライミングの光景」

     蝶ふわりふわりと樹間を縫ってゆく恵みの時を翅に込めつつ

 七月の第一日曜日の二日、晴の天気になって大台ヶ原を訪ねた。駐車場から大蛇嵓(だいじゃぐら)の往復を歩いたが、爽やかな風があり、雲の加減で日が差したり翳ったりで、まずまずの歩きだった。日曜日とあって駐車場は七割方埋まり、歩く人もそれなりに多かった。単に山歩きを楽しむ人、野鳥の撮影が目的の人等々、私のように単独の人もあれば、グループや家族づれ、ツアーの人出も見かけるといった具合だった。

 大台ヶ原の周遊コースは平坦なところが多いので歩きやすく、いつも老若男女が見られる。この周遊コースで人気を博しているのが巨岩の先端から紀伊山地の重畳たる山並が一望できる大蛇嵓である。大蛇嵓ではよく霧が発生し、その霧に妨げられて眺望が楽しめず踵を返すこともあるが、二日はまずまずの視界で、訪れた人たちは絶壁の恐怖を味わいながらもその眺望に満足の様子だった。

 私は相変わらず植生の観察を目的に歩いたのであるが、目立つ花に乏しい時期でもあり、花の話は会う人の誰からも聞かなかった。少々淋しい気分もあったが、ツタウルシやヤマブドウなどの地味な花に出会って写真にした。このような大台ヶ原であったが、大蛇嵓の北西側に位置する燕篭嵓(せいろぐら)の垂直に切り立った岩壁に取りつきロッククライミングに挑むグループが見られ、以前から耳にはしていたが、実際に見るのは初めてで、目を見張った。

    

 山頂から谷底まで数百メートルはあるだろう。まさに垂直の断崖絶壁である。どうも谷底から登って来たのではなく、山頂付近からザイルを頼りに下り、中間の岩棚付近から登り返しているように見えた。ザイルを目で辿ると四人ほどが岩壁に貼りついているのが見えた。国立公園内なので、単なる遊びではなく、訓練かも知れないと見守ったことではあった。こんな光景に触れていると鳥や蝶の能力が思われたりして来た。 写真は燕篭嵓の岩壁に貼りつくクライマーたち(大台ヶ原の燕篭嵓で、大蛇嵓の山道から撮影)。

 

 


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