大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

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2016年09月20日 | 植物

<1726> 余聞・余話 「草本植物の習性」 (勉強ノートより)

 植物には概して草木がある。草木の区別についての定義づけは難しいが、茎(幹)の部分が木化するかしないかが判断材料になるようで、木化しないものが草、木化するものが木とされる。この概念からする顕花植物の中の草本植物(草花)について、その生育の仕方、即ち、習性の違いについて知っておきたいと思う。項目をあげてみると、次のようになる。

 1年草―――1年生草本。地下部を含め、全草が発芽後1年以内に開花結実し枯死する草花をいう。四季がある地方では発芽時期が春か夏かによって夏型1年草冬型1年草に分けられる。冬型1年草の場合は年をまたぎ越年することになるので、越冬1年草あるいは単に越年草(越年生草本)と呼ばれる。

 夏型1年草はイヌタデ、ヤブツルアズキ、イヌホオズキ、コゴメグサのように春に発芽し、冬までに開花結実して枯れるもの。冬型1年草はコハコベ、ハルリンドウ、ヒメオドリコソウ、ヤエムグラのように秋に発芽して越冬し、夏までに開花結実して枯れる草花で、前述の通り越年草とも言われる。また、ハコベやナズナは両方の性質を有するので1越年草という呼称で呼ばれる。因みに、冬型1年草については2年にまたがるので二年草に含む考えもあり、この場合、越年草も2年草と見なされる。

                        

 2年草―――2年生草本。秋または春に発芽し、1年目の夏にはもっぱら栄養器官の成長をおこない、成熟した2年目に開花結実し、生存期間が1年以上、2年未満の草花をいう。しかし、2年草の大部分は必ずしも2年目に開花せず、環境条件によっては開花が3年目、4年目になることも珍しくない。このような2年草は可変性2年草と呼ばれる。オオマツヨイグサ、コウゾリナ、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギなどが該当する。これに対し、きっちり2年目に開花結実する真正2年草はマツムシソウなどわずかに見られる程度である。

 多年草―――多年生草本。または宿根草。少なくとも地下部(根)は2年以上生存し、成長後は普通2回以上、原則として毎年開花結実する草本をいう。更に多年草は、葉が1年以内に枯死する落葉性多年草、葉が越冬し、展開後1年以内に枯死する越冬性多年草、葉が1年以上生存する常緑性多年草に分けられる。

  また、多年草の中には、開花結実が1回限りで、開花結実すると全草(個体全体)が枯死するものがあり、これを1稔草と呼ぶ。1稔草には1、2年草も含まれるが、1稔草という場合は多年草を意味する。更に地下匐枝の芽が分離して母体(母根)が枯死し、分離した子根によって個体を維持して行く草本があり、これを分離型地中植物と呼ぶ。

 落葉性多年草は冬に枯れ色になり、春に若芽を出すものが多く、例えば、ヨメナ、キキョウ、カワラナデシコなどがあげられる。越冬性多年草はワサビ、シャガ、カモガヤなどが見られ、常緑性多年草はイチヤクソウ、ツルアリドオシ、セッコクなどをあげることが出来る。1稔草にはシシウド、シラネセンキュウ、ノダケ、ツメレンゲなどが見られ、分離型地中植物はモミジガサ、ミズタマソウ、トリカブトの仲間のカワチブシなどがあげられる。(以上は清水建美著『植物用語事典』参照)。

 写真は左から夏型1年草のイヌタデ、冬型1年草のヒメオドリコソウ、可変性2年草のコウゾリナ、真正2年草のマツムシソウ、落葉性多年草のカワラナデシコ、越冬性多年草のシャガ、常緑多年草のイチヤクソウ、1稔草のシシウド、分離型地中植物のカワチブシ。

       それぞれにあるものながら似るゆゑは命を継いであればなるなり

 


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