大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年08月09日 | 植物

<2049> 余聞、余話 「続・ナラ枯れの被害」

        何ごともなきがごとくに日常の時は過ぎゆく意識をせねば

 カシノナガキクイムシによるナラ枯れの被害が奈良県北西部の一帯でなお広がりを見せている。カシノナガキクイムシはブナ科のコナラ(ナラ)やカシ類を好む甲虫で、幹の中に入り込むとナラ菌を媒介し、ナラ菌が繁殖すると、木地が細分化され、ぼろぼろになり、その屑が菌糸をともなって幹の道管を詰まらせる。これによって水の補給が出来なくなった木は立ち枯れてゆく。枯れた被害木を放置しておくと、いよいよカシノナガキクイムシは繁殖し、次のコナラ(ナラ)等に移り、被害を拡大させてゆく。

 立枯れたコナラ(ナラ)は、葉がことごとく茶色に変色し、ほかの木々が青々と葉を繁らせる春から夏にかけて紅葉しているかのよによく目につく。立枯れた木は二、三年で枯れた葉が落ち、燻んだ枝ばかりになってそこだけ緑のない状態に陥る。枯れて茶色くなった葉をつけた木は、まさに伝染病の様相を呈し、健全でない山の姿を見せる。

                                 

 このようなナラ枯れの異様な山が、昨今、奈良県北西部一帯の山々に見られ、なお拡大している観がある。大和平野のほぼ中央を東西に流れる大和川より北側の山地にナラ枯れの被害は集中しており、更に広がる傾向を見せ、南にも及びつつあるのがうかがえる。金剛山周辺ではまだ被害が出ていないようであるが、ニ上山付近ではちらほら見られるので青垣の山々一帯に広がるのは時間の問題のように思える。

                     

 コナラ(ナラ)は高さ二十メートル、幹の直径六十センチにも及ぶ、奈良の地名に関わるという説もある落葉高木で、低山や里山ではクヌギと同様、伐採しても根元から新しい芽が出て更新する樹木として昔から生活に関わって来た貴重な樹種として知られ、大いに利用され、親しまれて来た。この貴重な親しみのあるコナラ(ナラ)が奈良盆地の周辺の山で、カシノナガキクイムシの猛攻を受け、枯れる被害が続いている次第である。

 これは昔のように人が山に入り、山の手入れをすることがなくなり、放置状態に陥って、樹木の更新による若返りが少なくなって勢いのない老木がカシノナガキクイムシにつけ込まれたのではなかろうかと考えられる。ナラ枯れの個体を見ると全体に大きいコナラ(ナラ)が被害に遭っているのがわかる。被害木は放置せず、早めに伐り倒せば、その切り株から更新の芽を出し、蘇るだろうが、立枯れたままにして置くとどうなるのだろうか。

 それにしても、このナラ枯れの被害の広がりは、山仕事をしなくなった現代社会の姿を反映しているように見えるところがある。言わば、これも時代を象徴する光景であろう。この間の九州における集中豪雨による流木の様相と何か根本のところで繋がっているような気がする。 写真はナラ枯れの被害によって山肌の様相が変わった矢田丘陵の南端の雑木林(上)と生駒山系の山肌(下左)、枯れたコナラ(ナラ)の高木(下右)。  

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 大和だより ~写詩 写歌 写俳... | トップ | 大和だより ~写詩 写歌 写俳... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

植物」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。