大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2017年12月05日 | 写詩・写歌・写俳

<2168> 余聞、余話 「師走寒波」

      紅葉の終はらぬ先に寒波来る

 今冬初の寒波は日本列島をすっぽり被い、大和地方も朝から強い季節風が吹き、周囲の青垣山には冬雲が厚くかかり、平野部にはまだ紅葉の残る大和国中ではあるが、真冬を思わせる一日になった。まさしく師走寒波ということで、この三、四日の季節的天侯の変化に合せ、俳句を試みてみた。まずは昨日以前の穏やかな日の五句。

   鴨が来て水面の紅葉騒立てり

   冬日差す熟柿いよいよ熟しゐる

   遅速ありここにも見えて散る落葉

   群雀の斜めに墜ちて刈田の夕

   草紅葉明日は寒波が来るといふ

         

 今日は一転、木枯らしの吹き荒ぶ寒い一日となり、身の縮こまるほどで、冬本番を思わせるところがあった。この寒さは北極の寒気団が張り出した影響によるものらしく、当分続くという。どちらにしても、冬はこれからである。では、この寒さに寄せて五句。  写真は紅葉を映す水面から飛び立つカモ(左)と奈良盆地被いかかる冬雲(右)。

   照り翳る大和平野の冬の色

      寒風や工場(こうば)の煙一文字

   木枯らしや大和に龍田 風の神

   団栗は落葉掛け寝に寝るのかな

   木枯らしも騒がしき世も身に及ぶ