江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

市民感覚の政治とは…

2016-11-26 | 随想


11月18日、福島浩彦さんの話を聞く機会がありました。

福島さんと言ったら、かつて千葉県の我孫子市長として38歳の若さで次々に自治体改革を行った人です。
その後、民主党政権の消費者庁長官を務められたこともあります。

その福島さんが、生まれ故郷の山陰地方、米子に帰って来て先の参議院選挙に鳥取・島根選挙区から無所属で出馬して戦いました。
中央のメディアではほとんど取り上げなかったため、私も直前まで知らなかったほどです。

福島さんは、住民目線の会という政党とは距離を置いた市民グループを作って、政党連絡会(民進・共産・社民・新社・生活・みどり・怒りの声)と連携した選挙戦を戦いました。
しかし、オール野党の推薦は受けたとは言え、従来の政党主導型の選挙ではなく、あくまでも住民目線の市民感覚を最も大事にした選挙戦だったようです。

その選挙の様子を福島さんは語ってくれました。

市民が主役の選挙とは、有権者として投票先を選ぶだけではなく、選挙に取り組む主体の一つとして政党や議員と対等に議論しながら選挙を作り上げるというものでした。
このやり方は、野党共闘とともに鳥取・島根では初めてのことだったそうですが、日本全国でもおそらく経験したことのない選挙だったと思います。

何しろ、その選挙のやり方がユニークというか、今までの既成概念を乗り越えたものです。

・名前の連呼はせず、名前のタスキも掛けない。(本人が喋っているのだから名札の様なものはいらない。「本人」という名札をつける感覚はおかしい。)
・スローガンは掲げず、政策や考えをきちんと伝える。(選挙前には110ヶ所以上の対話集会、公示後は18日間で550回以上の街頭演説)
・街宣車のマイク担当(ウグイス)、は、懇願調や絶叫調の訴えはせず、政策を訴える原稿を読む。
・総決起集会はやらない。(支持者だけで意気込んで気合いをかけても新しい支持者は増えない。)
・主に支持者でない人々に政策を訴える。(各市町村で色々な人々に来てもらって講演会や意見交換会を行う。その際、戦争法反対! 原発再稼働反対! TOP反対!等とスーガン的な話をするのではなく、それにつながる話を丁寧にする。)

この様なことが市民感覚の選挙だというのです。
「受け取る側を考えながら伝える想像力が今の政治に欠けている」というシールズ・奥田愛基さんの問題意識と共通するものだそうです。
言われてみれば、確かにそうです。
発言している自分だけが分かっていても、聞く側の考えや感じ方を無視した話は、そうそう伝わるものではないからです。

例えば、原発は自分たちが生きるためには必要だと感じている人間に対して、頭ごなしに原発はダメだ危険だと言ってみても相手には理解されないし、支持してはくれないでしょう。
それは、彼らの生活の中で一定に情報や条件のもとで実感している根強い生活感覚だからです。
それを覆すには、やはり新たなもう一つの生活感覚で地道に訴えるしかありません。
分断されたものは、強引にどちらかに引き込むのではなく、違いはそのまま残しつつも共有できるものを大切にして育てていった方が二局分解せずに将来への展望が残ります。

福島さんが戦った選挙は、結果的には自民党候補者(公明推薦)に負けましたが、無党派層の55.1%(鳥取のみで65.9%)を獲得し、推薦した野党の比例区獲得票の110%(鳥取のみで127.5%)を得ることができたのは、市民感覚の住民目線で選挙を行った成果ではないでしょうか。

福島さんは、この選挙で「新しい政治の可能性を見出した人、初めて選挙運動に主体的に参加し、今後も市民として政治にかかわろうと決めた人などが確実に生まれました」と語っていました。

「住民目線」とか「市民感覚」と言うのは易しいですが、実際に選挙運動の中で実践するのはそう簡単なものではないと思います。
しかし、福島さんが言われる様に、市民感覚の政治を実現するには市民感覚の選挙が必要です。
これは、日本国憲法が定める主権在民をまさに地で行く行為に他なりません。



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