江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

見学した予科練平和記念館(茨城県阿見町)についての補足説明

2016-08-22 | 江戸川区教組
予科練平和記念館は、日本がアジアの人たちにしたこと、加害責任については触れられていない。
また、「国のために命を捧げた純粋な若者たちの気持ちを忘れないでください」という記述から、特攻隊を美化する思いが設立した側にはあると思われる。

自衛隊グッズのようなものが売られていたことなどからも、平和教育の中で、この施設を活用することは、活用する側の意図が問われる。
どういう立場で展示内容を見るのか。
何を学びとらせたいのかということが、問われる。

何の問題意識もなく行ったら、「特攻隊の人たちがいたから今の平和がある」なんて思う人が出ないとは限らない。
そうならないためには、どういうするかは当然考えなくてはならない(もしここに子どもを連れて行くなら)。

展示の解説には、特攻作戦の非人道性も、特攻隊員たちの死が強制されたものであることにも触れる記述はないので、問題意識をもって展示を見ないとだめだと思う。


忘れてはならないのは、特攻作戦によって、死ななくてもいい若者の命が犠牲になったということ。
特攻隊員たちは、「志願」という名の強制によって、殺されたということだ。

特攻隊員たちがどのような思いで、特攻兵器に乗ったのか(乗らされたのか)、その苦しみ、悲しみ、無念さ、怒りを想像したら、「国のために命を捧げた純粋な若者たちの気持ちを忘れないでください」などという言葉は出てこないし、「回天」と書かれたハチマキを売るという発想も出てこない。

生き残った元特攻隊員の方の中には、自分が生き残ったことを申し訳ないと思っている方がいる。
当事者の方にしか、わからない複雑な思いがあるだろうし、言葉で伝えられることと伝えられないこともあると思う。



戦前、戦中のような軍国主義教育を受けてこなかった私は、戦争体験者の複雑な思いを想像することはできても、本当に分かることはできない。
ただ、助かったことは、よかったと思う。
そして、自らの戦争体験を語り、悲劇を繰り返してはならないことを伝えてくれている人たちの声に耳を傾けていきたい。
こんなことは二度とあってはならないという思いに共感する。


★参考資料(すべてインターネットで閲覧できる)
 ・「特攻作戦は愚 映画や『観光資源』元隊員が危機感」2014年10月15日、東京新聞
 ・「〈漂う空気〉(4)毒の花 非道な人間爆弾」2015年1月6日、東京新聞
 ・「戦争一色、流される惨めさ 元特攻隊員、体験を本に」2016年8月16日、朝日新聞




〈「加害と反省」なき安倍首相の言う「平和」の何と空虚なことか〉


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 予科練平和記念館に行ってき... | トップ | レンタカーで巡るフランスの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

江戸川区教組」カテゴリの最新記事