70代半ばの男性は、奥さんと二人で紙を裁断する仕事をしています。朝、軽トラックに一緒に乗って、仕事場に向かいます。買い物などがあり、奥さんがバスで早めに帰ることもありますが、普段は一緒に軽トラックで帰宅します。
職場のパートナーであり、炊事洗たくなどの家事は任せっぱなしなので、「自分の生活がうまく回っているのは奥さんのおかげ」と打ち明けます。でも、そのことは恥ずかしくて口に出せない、といいます。
「今日の食事はおいしかった。部屋がきれいに片付いているね、と思ったことを話したらどうですか」と私が言いますと、「それが言えないんです」と男性は答えます。
「男女七歳にして席を同じうせず」「男子厨房に入るべからず」「男は黙って」と育ってきた世代ですから、奥さんに感謝の気持ちを伝えるのが苦手のようです。
「四六時中、一緒なので話すこともなくて…」とも言います。
奥さんに感謝していることを、私に話しているのですから、感謝の気持ちを抱いていることを示したらどうですかと伝え、「女房ほめればよく尽くす」とも言いますよ、と話しました。さあ、実行してくれるかどうか、です。