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住宅ローンを借りた人が契約どおりに返済できないというのが全体の3割近くに上っている

2017年05月10日 | 経済

住宅ローンを借りた人が契約どおりに返済できないというのが
住宅ローン全体の3割近くに上っている。銀行のいちばんの恥部だ。


2017年5月10日 水曜日

住宅ローンの3割近くが延滞  5月9日 荘司雅彦

「2017年 大局を読む」(長谷川慶太郎著 徳間書店)を読んで、対年なショックを受けました。
住宅ローン金利が史上最低の0.5%割れを起こしているにもかかわらず、3割近くが延滞に陥っているというのです。
当該箇所を同書から引用すると以下のようになります。

住宅ローンの未済、つまり住宅ローンを借りた人が契約どおりに返済できないというのが住宅ローン全体の3割近くに上っている。銀行のいちばんの恥部だ。そのことについて住宅業界や銀行業界から広告をもらっているマスコミは目をつぶっている。銀行によって住宅ローンの未済の割合は違うけれども、未成の物件は競売にかけなくてはいけないので、今はどこの裁判所でも競売担当の部署は人でごった返している。

その原因は次のように書かれています。
若い人には非正規社員が増えているし、正規社員でもシャープや東芝の例を見ればあきらかなように大企業といえどもいつリストラされるかわからない。中小企業ならなおさらで、安定した雇用で長期間の住宅ローンを払い続けるという点では厳しい時代になってきた。

長谷川氏には失礼ですが、本当に理由はこれだけなのでしょうか?
同書には「銀行が与信の低い人たちにまで貸し付けるはずがない」という記述がありますが、昨今の銀行の個人融資の増加に鑑みると、まず審査基準が甘くなっているのではないかと私は思います。

他の原因として、貸付後(個人にとっては借り入れ後)の次のような事情が影響しているのではないでしょうか?

まず、実質賃金の低下が原因のひとつではないかと考えます。いつを基準とするかによって異なりますので各自お調べいただきたいのですが、私がざっとグーグル検索した結果、財務省の資料で1991年から2012年の間に「実質賃金の大幅な減少」というPDFが出てきました。

最近の記事では「4年連続実質賃金低下」という記事がヒットしました。アバウトに言ってしまえば、バブル崩壊後実質賃金は下がり続けているのです。

実際、私の大学時代の同級生には「30代に課長になってからずっと年収が減っている」と言う友人が複数人いました。
大手銀行も、バブル崩壊前は「30歳を過ぎれば年収1000万円」と言われていたのに、今では定年(もしくは転籍)まで年収1000万円を死守するのに必死だそうです。昔は、出世しない窓際族でも50歳あたりだと年収1500万円はあったそうです。

もう一つの原因として考えられるのは、教育費の高騰です。
今や、全て国公立で通しても子供一人大学を卒業させるまでに1000万円近くかかるそうです。
私立が入ったり塾や予備校が入れば、教育費はもっと膨らみます。私自身の経験からも、娘一人大学を出すまでに本当にあれやこれやとお金がかかり、社会人になってくれてホッと一息つけました。

いずれにしても、大きな変化の真っ只中で30年先の収入を計算すること自体がナンセンスなのかもしれません。



(私のコメント)

昨日は教育費の高騰の事を書きましたが、住宅ローンもサラリーマンにのしかかる重大な問題だ。バブル崩壊以前は住宅ローンを借りてマイホームを手に入れることが常識だった。私も当然マイホームを買いたいと思ったが、住宅ローンはサラリーマンに仕掛けられた罠だと早くから気がついていた。

住宅ローンを30年返済で借りれば、否が応でも30年間は返済し続けなければならない。それは決して小さな額ではなく生活費を削って返し続けなければならない。定年まで一生が安泰というような保証はどこにもなく、病気や会社の倒産や大不況の到来などこないといった保証もない。さらに子どもの教育費の高騰もある。

世の中がまだみんな貧しかった頃なら、安アパートで一家が生活することも許されたが、高度成長時代が来てみんなが豊かになると、借家暮らしではなく誰もが持ち家を望むようになった。借金をして住宅を買って値上がりして、さらに給料も年々上がっていった時もあった。

私も東京の郊外の新築住宅や中古住宅などを見て回ったが、とても高くて手が出ないような物件ばかりで手が出なかった。しかし周りの同僚の銀行員たちは結婚して借金してマイホームを買っていた。それは30年間会社で働き続けることを義務付けられられた人生でもあった。しかし私は会社勤めに限界を感じていたので、住宅ローンには手を出さなかった。

長谷川慶太郎氏の言う、住宅ローンの3割が延滞しているというのは予想以上の多さですが、競売にかけられる住宅もかなりあるようだ。アメリカのようなノンリコースローンなら、買った住宅を手放せば済むが、日本の場合は手放しても借金が残って一家心中といったことが起きた。日本の場合は土地が値下がりすることは想定されていなかった。

私自身は、大不況が来れば土地も値下がりするだろうと見ていた。90年前後は株価も大暴落しても不動産は実物価格だから値下がりはしないと見る向きもあったが、前代未聞の不動産暴落が起きてしまった。1億円近いニュータウンの住宅も今では空家だらけになって3000万円台で売りに出されている。

都内の一戸建てでも2000万円以下の物件もあり、バブル時代ではとても想像ができなかったことが起きている。団塊の世代も70歳近くになれば亡くなる人も出てきているが、家や土地で相続すると分割ができないので相続争いのもとになったりする。そのまま使う人がいればいいが、郊外の不便な住宅だと子供たちも住まなくなり空家になる。

そのような住宅は売りに出ても買い手がいなかったりする。一体何のために30年間も住宅ローンを支払ったのかわからなくなりますが、気がついたときは手遅れだ。通勤に便利な都内のマンションなら売れば買い手はあるが、バブルの頃は圧倒的に郊外の一戸建てが人気だった。

結果的に私自身はビルを建てて最上階を自宅にしたが、バブル崩壊の波をまともに食らって大変な目にあった。結婚して家族がいたら一家心中か一家離散の悲劇になっていただろう。2000万円以上あった自己資金もほとんど使い果たして、やっと完済して滑り込みセーフになった。

今から30年前の1987年は、まさにバブル真っ盛りの年であり、その頃買った人は無事に完済できた人は7割くらいなのだろうか。バブル崩壊後は一部上場の大会社が次々に潰れて、リストラも激しかった。賃金カットもあっただろうし、まさに住宅ローンの返済は長期であるだけに銀行にとっても慎重さが要求される。

賃金の値下がりが続き、不動産の値下がりが20年も続いてきた。国家財政面から見ればインフレになってもおかしくないのにデフレが続くのは、バブルの頃にインフレを見込んで買ったものが外れてしまったからだ。土地は永久に値上がりするといった神話があった。銀行にしても土地が担保ならば焦げ付く心配もなく貸せた。

しかし土地や建物は買い手があってこそ価値があるが、売れなければ唯の無価値な物になり、税金まで支払わなければならない負動産になる。バブルの頃はとても想像ができなかった事態が起きている。だから不動産を買うときは売る時に買い手がいるかまで考えて買うべきだろう。

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21 コメント

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バブル崩壊数年後 (何の知識も無い者ですが)
2017-05-10 12:53:10
>住宅ローンはサラリーマンに仕掛けられた罠だと早くから気がついていた。

まわりが結婚し当たり前のように
住宅ローンを使いマンションを購入。

「(マンションを)借りるつもりで買う」というのが、
妙に説得力もあり、「そうやな~」と思っていました。

中には頭金を払わず、窓口に「本当に買う気があるのですか?」と言われながらも、35年ローンを払い子供二人育てていたので、「自由にできるお金が無い」と、よくこぼしていました。

自分も結婚当時マンションを買うに当たり、
手取りと支出を簡単にメモで書いたところ、、、
「住宅ローンの為に、働き続ける人生は、しんどい」と思い、旦那の実家の文化住宅を新居に新婚生活を送ることを決めました。

そして20年、、新婚1年後、実家で高齢の祖母を面倒みる事情があり、実家の住む部屋を別に建て直してもらい祖母が亡くなった後も住み続けることが出来たので「住宅ローン」のお世話にならなくて済んだものの、

新婚生活を送るに当たり、
住宅を買っていたら月々の返済額とは別に
車があるので駐車場代、固定資産税やら何やら払わないといけないことを考えたら、今はゾッとします。

2年前、20年前に頭金なしで住宅ローンを購入した夫婦(義理の兄夫婦)ですが
主人に奨学金の連帯保証人になってほしいと言われ、
自分の猛反対を押し切りハンコを押し、今年又あと二年大学に行くから、連帯保証人になってほしいと言われたのですが、(今度は嫁である自分が猛反対し断ってもらいましたが、、、)

昨日の大学の記事に続き、今日も「ローン」の話が続き

この国は、普通に結婚して、「家」を買い、「恥ずかしくないように子供を教育していくのに親が子供を大学に通わすのが当たり前」という風潮を利用して、国民から上手くお金をむしり取る事ばかり考えているシステムになっているのだと、、、

腹が立つやら、やりきれない気持ちになってきます。
アップル株式時価総額90兆円超え (sankei)
2017-05-10 12:58:45
・・・ 円換算で100兆円が視野に入る水準に膨らんだ。投資家の高い期待を背景に、米最大の時価総額を更新し続けている。

トランプ氏、FBI長官を解任

自販機飲料 販売額3分の2に コンビニ台頭で生き残り模索
ゼロ金利の先は、、、? (サラリーマン大家こうちゃん)
2017-05-10 13:59:15
この低金利で3割の人が約定通り返せないというのは衝撃的ですね。
住宅ローンの審査なんて形式的で、悪用している不動産会社もあるので、与信低い人にも貸し出ししちゃっているのでしょう。
参考になりました。クリック!^^
持ち家 (Unknown)
2017-05-10 14:55:19
持ち家がなぜ必要なのか分からなかったので、住宅ローンを組まないでよかったと思う。元々、アメリカに移住する予定があった。それは結局、オジャンになったのだが、そのため持ち家より借家を選んで生きてきたのだから、それなりの効用はあったのだろう。

二十年前、インターネットが普及し始めた頃、私はとっさに日本は世界の田舎になる、と思った。みんながまだ土地神話にしがみつき、土地さえ持っていればという気持ちが強かった時に、話があったので、土地を全て手放してしまった。

そして今、地球全体がグローバリズムに疲れ果て、文化回帰に向かっているように見える。イギリスファースト、アメリカファースト、そして、日本ファースト。少しぐらい貧しくても、日本語で暮らせる世界は維持していくべきだろう。
国民が自分から、「申請しないと貰えないお金」一覧 (プレジデント 5/10(水))
2017-05-10 15:20:11
●高額療養費制度 ・・ 1カ月の医療費が一定額を超えた場合、その金額が払い戻されます。

次の、(1)~(3)の場合、負担額をさらに軽減する仕組みがある。(1)1カ月の間に同一人が複数回受診(2)1カ月の間に同じ世帯の複数人が医療機関を受診(3)直近の12カ月間に高額療養費の支払いが4回以上

 特に(2)は見落としがちです。

●医療費控除 ・・ 家庭内で1年間に医療費が10万円以上かかった場合

●障害年金●専門実践教育訓練給付金
●: 出産育児一時金
対象者:出産育児一時金、目安:42万円  申請先:健康保険組合、市区町村(国保)
■各・自治体独自の制度 ・・ 名称:出産祝い金 --- 目安:数万~100万円程度
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170510-00021946-president-bus_all
・名称: 太陽光発電システム補助金
・名称: 生垣緑化助成金
・名称: 耐震診断費用助成・耐震補強工事費助成
・名称: 住宅リフォーム助成
・名称: 家賃補助・住み替え助成
・名称: UJIターン支援
・名称: 結婚仲人報奨金

井戸美枝~CFP・社会保険労務士。2013年から社会保障審議会委員。著書に『世界一やさしい年金の本』(東洋経済新報社)、『知らないと損をする国からもらえるお金の本』(角川SSC新書)などがある。
Unknown (Unknown)
2017-05-10 15:20:20
>いずれにしても、大きな変化の真っ只中で30年先の収入を計算すること自体がナンセンスなのかもしれません。(荘司雅彦)

明日の株価もわからないのに、30年先は闇の世界。

バブルの頃、俺は不動産には一切手を出さず、その後株価の下げ相場で資産を築いた。

>だから不動産を買うときは売る時に買い手がいるかまで考えて買うべきだろう。(TORA)

これすなわち、流動性の重要さを言っている。
「株式日記」のタイトルが、それを意味している。
Unknown (NORA)
2017-05-10 15:38:02
まさに団塊世代の父がTORAさんの記事と同じ境遇ですよ。
父の場合は20年ローンでしたが、当時子供だった自分から見れば気の遠くなるような話でした。
既にローンを払い終えて久しいとはいえ、家屋は大規模な道路工事や地震の影響などにより傾き、外壁にはヒビが入り、内装も剥がれたり、シミが発生したり、床は腐ったりで維持が大変です。
私が子供の頃、父は「ここを売れば8,000万円は下らない!」などと豪語していました。
そして私ら子供が成人して独立していった頃、「家を売って海が近く温暖な地方で新たに家を買って悠々自適な老後生活を送る!」などと息巻いていましたが、結局は頓挫したようです。
恐らくTORAさんの仰るように、地価も大幅に下落して理想とは大きく乖離した無慈悲(笑)な査定しか出なかったのでしょう。
現在は骨を埋める覚悟を決めたようで大人しく暮らしていますが、若い頃に大変な思いをして折角購入した家や土地も誰も継ぐ人がいなく、寂しい老後を送っています。
私は海外暮らしが20年以上と長いうえ、現地で結婚して家族もある身なので、もう実家を継ぐのはおろか、日本で暮らすこと自体ないと考えています。
兄弟も結婚して嫁さんから同居を反対されたのか、兄弟間の相続問題を忌避したかったのか、既に各自が別の場所で分譲住宅を購入してしまい、後で聞かされた両親は非常に落胆していました。
親としては、「折角子供のためにお膳立てしてやったのに」という気持ちなのでしょうけど、その子供らも成人して独立すれば、必ずしも親と同じ人生方向を目指すというわけにはいかなくなります。
また、うちのように複数の兄弟がいるのに、「たった1つの家」をお膳立てしたところで、記事にあるように小さな土地を分割するわけにもいかないし、そんな小さな土地を巡って兄弟喧嘩するのもバカバカしいわけで、結局は兄弟の誰もが実家を欲しがらなくなります。
恐らく両親が亡くなったら、二束三文で売り払われて、少ないお金を兄弟で分けて終わりになるんじゃないかという寂しい結末を迎えることと思います。
これから家を購入しようという人はご参考に。
子供は必ず親の思い通りの人生を歩むわけではないし、親は立派な家をお膳立てしたつもりでいても、子供が成人する頃には時代遅れの「お古」と化してしまう。
そこまでして30年ローンを組みたいですか?
Unknown (Unknown)
2017-05-10 17:33:27
今の個人住宅なんて、費用が跳ね上がるのを覚悟の上で、材料や工法にこだわりを持つ施主が特別な注文を出さないと、一世代しか持たない家屋しか建てられないだろうな。
加えて、後後の保守・修理を御座なりにする人がほとんどだから、余計に建物の寿命が短くなる。
日本では、建物は「不動産」ではあっても「消費財」ですからね。いくら保守に力を注いでも、売却時には築年数の高い家屋は、解体費用がかかるだけで家屋自体に値は付きませんから。

最後に陰謀論めくけど、今みたいな経済環境、人口動態でローンを組んで賃貸住宅や住宅を建てさせようとするのは、金利が上がってローンの返済が滞った不動産を、競売で安く取得する為の種を蒔いているんだと思うよ。

賃貸住宅の狭さ、人間関係を我慢できるのならば、持ち家取得を目指さないほうが、これからの賢い生き方だと思うよ。

借家でも好いのに (予想趣味)
2017-05-10 18:11:33
借家・賃貸マンションに住めば身軽なのに、皆持家にこだわるからですよ。ヨーロッパでは持ち家比率は50%以下ですよ。ローン組めば、転職もままならないですよ。不動産価格も需給で決まります。人口減で、工場は海外へ、農産物は輸入、土地の需要は増えるわけがない。戦後50年上がり続けて、27年下がり続けてさらに何年下がるか。
Unknown (Unknown)
2017-05-10 18:22:13
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