株式日記と経済展望

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「白人による世界支配の終焉」を意味している。キッシンジャー

2007年07月07日 | 外交

過去数百年というのは、要するにスペイン・オランダ・イギリス・アメリカと
つづいた「白人による世界支配の終焉」を意味している。キッシンジャー


2007年7月7日 土曜日

米ロ首脳会談、ミサイル防衛やイラン核問題を協議

7月2日、ブッシュ米大統領とロシアのプーチン大統領は首脳会談でミサイル
防衛やイラン核問題を協議(2007年 ロイター/Jim Bourg)(ロイター)


プー
チン新提案の真意(アメリカのウソを逆利用する) 7月7日  ロシア政治経済ジャーナル

(前略)
▼MD問題のこれまで

まず、出発点までさかのぼります。アメリカは「東欧MDは、『対北朝鮮・対イランだ』」と主張している。北朝鮮のミサイルがユーラシアと欧州を通過してアメリカに届く?これを信じれる人は、相当重症です。イランはどうでしょうか?プーチンは2月、ミュンヘンでこうコメントしています。

プーチン「いわゆる問題国と呼ばれる国のうち一カ国も、欧州の現実脅威となる5000〜8000kmの長距離ミサイルはもっていない。そして、近い将来持つこともないし、その可能性すらない。」

そうなのです。イランも明確に否定しています。

「<イラン>最高安全保障委幹部、米のミサイル脅威論皮肉る

6月5日10時22分配信 毎日新聞
【テヘラン春日孝之】イラン最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長は4日、米国が東欧に配備を計画しているミサイル防衛システムを「イランのミサイル攻撃から欧州を守るものだ」と主張していることについて、「イランのミサイルは欧州に届かない。今年一番のジョークだ」と述べ、イラン脅威論を皮肉った。国営イラン通信が伝えた。」


そして、欧州の指導者も、「東欧MDは対イランだ」などと考えていない。そう、明らかに「対ロシア」なのです。しかし、あからさまにいうと問題なので、「対イランです」といっている。MDが配備されるとロシアは困るのでしょうか?理論的には困ります。軍事バランスが崩れる。

今は、

1、アメリカが核ミサイルをロシアに撃ちました。
2、ロシアがアメリカに核ミサイルを撃ちました。
3、アメリカとロシアは地上から消滅しました。
4、両国、こういう事態を恐れているので、核ミサイルを使えません。

これを「核抑止力」といいます。しかし、東欧にMDができると

1、アメリカが核ミサイルをロシアに撃ちました。
2、ロシアがアメリカに核ミサイルを撃ちました。
3、MDがロシアのミサイルを全部うちおとしました。
4、ロシアは地上から消滅し、アメリカは無傷でした。

そう、MDが将来完璧になれば、アメリカは反撃をおそれることなく、ロシアに核ミサイルをぶち込める。理論的にはですよ。それで、プーチンは、「東欧へのMD配備はロシアの脅威になるので容認できない!」と怒っている。しかし、アメリカ側は、「だから対ロシアじゃないって〜」とシラをきるのでラチがあかない。

▼ブッシュのウソを利用したプーチン

で、どうすることになったか?ロシア側は、「アメリカが対イランと主張するなら、イランを前提として話をすすめよう」となった。もう一度プーチン提案を振り返ってみましょう。

1、米MD網に、ロシアと欧州諸国が参加すること。
2、MD問題はNATOーロシア理事会で協議すること。
3、MD網共同運用のための情報交換センターを、モスクワと欧州(例えばブリュッセル)に置くこと。

どうですかこれは?

「アメリカのMD網にロシアが参加すること」を提案しています。もしアメリカのMDが対イランであるなら、問題ないでしょう?しかし、本当は「対ロシアMD」なのに、敵のロシアが参加したら困ったことになります。

次。

4、旧ソ連アゼルバイジャンのレーダー施設を共同運用する。施設が古いというのであれば、近代化すればいい。

5、それでも不十分であれば、ロシア南部の施設をMD網に含める準備がある。

地図がある人は見てください。チェコ・ポーランドは、イランからめちゃくちゃ離れていますが、アゼルバイジャンはイランの北の隣国です。そして、ロシアはアゼルバイジャンの隣国。もし、アメリカのMDが対イランであれば、東欧に配備するよりアゼルバイジャン・ロシア南部に施設をつくるのがいいに決まっている。

しかし、「対ロシア」なら?「対ロシアMDシステム」を「ロシア領内」に置く???想像してみてください。「日本は対北朝鮮MDを、ピョンヤンに配備します」ありえないでしょ?

6、以上の提案を受け入れれば、チェコ・ポーランドにMDを配備する必要はまったくない。

もし、MDが「対イラン」であるなら、そのとおりです。

7、この提案をアメリカが受け入れれば、「両国関係は新たな段階を迎えるだろう」

もしMDが「対イラン」であるなら、アメリカ・ロシア・欧州が共同で一つMD網を運営するのですから、そのとおりでしょう。しかし、東欧MDは「対イラン」ではなく「対ロシア」なので、ありえない。

▼プーチン発言の真意

アメリカはおそらく、なんやかんやと理由をつけて、東欧へのMD配備をすすめるでしょう。では、プーチン提案は無意味なのでしょうか?そんなことはありません。さっき理論的な話をしましたが、MD配備には政治的理由もあります。そう、「欧州とロシアを分断する」こと。

アメリカの立場で考えてみましょう。欧州とロシアが、完全に一体化した。ロシアは欧州にユーロで石油・ガスを売る。これでドルはローカル通貨になる。アメリカはただの赤字大国となり没落するでしょう。

ロシアの立場から見ると、欧州と一体化することで、多極化を進めたい。(米一極主義をぶち壊したい)

欧州の立場はどうなのでしょうか?これは分裂しているのです。まず、独仏を中心とする勢力は、ロシアと一体化したい。ロシアと一体化しイラク戦争に反対したドイツ・シュレイダーさん、仏シラクさんは去りましたが、基本的構造は変わっていません。しかも、欧州はロシアに石油・ガスを依存している。仲が険悪になると困るのです。

アメリカ絶対支持のイギリスと東欧は、ロシアと西欧を分裂させたい。なぜか?東欧は、つい18年前までロシア(ソ連)の支配下にあった。それで、非常にロシアを恐れている。東欧は、「独仏ではロシアの脅威に対抗できない。ロシアに対抗できるのはアメリカだけ」と考えている。で、東欧は親米反ロなのです。


アメリカもそのことを知っていて、ポーランドやバルト3国を使って、反ロ運動を推進しています。

さて、MD。アメリカが東欧にMDを配備する。そして、ウクライナやグルジアをNATOに入れる。これは、ロシアの脅威ですから、当然対抗措置を取る。

例えば、


「ロシアが欧州国境にミサイル配備の可能性示唆
7月5日10時0分配信 ロイター

[モスクワ 4日 ロイター] ロシアのイワノフ第1副首相兼国防相は4日、米国が欧州におけるミサイル防衛(MD)システム計画に関して協力しなければ、ポーランドおよびリトアニアとの国境地帯にミサイルを配備する可能性があることを示唆した。」


東欧MD配備とNATO拡大で、欧州とロシアを分断するのが、アメリカの戦略。

ロシアは、どうするべきなのでしょうか?

第1に、「対イラン」と主張するアメリカに対し、リーズナブルな提案をすることで、アメリカのウソを暴露する。

第2に、実際に対抗措置を取る段階になっても、「アメリカが先に紛争のたねを持ち込んだ。ロシアに責任はない」と主張できる。

第3に、MDが配備され、NATOが拡大され、ロシアが対抗措置を取った後も独仏・西欧諸国との関係を悪化させない。

結局MD問題は、米ロによる欧州の取り合いなのです。

▼進展のなかった首脳会談

今回の首脳会談は、ブッシュパパの別荘で行われました。ブッシュ(子)がここに外国の首脳を招いたのは初めてのこと。そして、ブッシュパパ一家も登場したり、一緒に釣りをして、米ロ和解の演出をしました。アメリカ側が必死である様子がうかがえます。なぜかというと、アメリカはイラン問題でどうしてもロシアの協力を必要としている。

イラン問題は「通貨問題」であること、皆さんもご存知ですね?

「イラン、原油の輸出代金受け取りでユーロ建てを要求

06年12月22日10時39分配信 ロイター
[ロンドン 21日 ロイター] 世界第4位の産油国であるイランは、外貨準備のドル保有比率の引き下げに伴い、原油の輸出代金受け取りに関して、ユーロ建てでの支払いを求めている。

イラン国営石油公社(NIOC)幹部と業界関係筋が21日明らかにした。」「NIOCの幹部によると、こうした措置の結果、日量238万バレルとなっているイランの原油輸出による収入は現在、約57%がユーロ建てとなっている。」


これは当然、強力な「ドル下げ圧力」になっている。アメリカはイラン問題を解決する必要がある。しかし、アメリカは「ウソをついてイラク攻撃した」ことがバレバレ。今回はどうしても、国連安保理の支持を取り付けてイランを征伐したい。そのために安保理常任理事国ロシアの助けがいる。

もし、イランが逃げ切ったとします。すると、全世界の国々(特に産油国)は、「なんだドル以外の通貨で売ってもおとがめなしなのね」と思う。

それで、

1、中東産油国が湾岸共通通貨を創る(10年予定)
2、ロシアはルーブルでの石油輸出を増やす
3、ロシアは欧州にユーロで石油・ガスを売るようになる
4、中国は、ユーロ(あるいは人民元・湾岸共通通貨等)で中東から石油を輸入するようになる

要するにドミノ式にドル離れが起こり、ドルは大暴落。アメリカはタダの財政赤字・経常赤字大国として没落するでしょう。アメリカはロシアの協力をどうしても必要としている。しかし、アメリカは頑固で、イラン問題・コソボ問題・MD問題で妥協しないのですよ。ゴルバチョフ・エリツィンは、ブッシュパパとベーカーさんのスマイルでだまされましたが、プーチンとKGB軍団はだまされません。

打つ手なしですね。

アメリカ上層部も、いよいよ「米幕府は大政奉還するときが近づいて来た」と気がつきはじめているようです。

「過去数百年間、我々が経験しなかった勢いで国際システムが変化している。かつては、米国は解決策のある問題と取り組んできたが、今や長い時間をかけて調整する時代にさしかかっている」(キッシンジャー)

キッシンジャーが、過去50年とか100年ではなく、数百年といっていることに注目。

過去数百年というのは、要するにスペイン・オランダ・イギリス・アメリカとつづいた「白人による世界支配の終焉」を意味しているのではないでしょうか?

日本はどうするべきか?


「ああ、アメリカはダメなので、中国につけということですか?」このような思考パターンを、「奴隷根性」といいます。アメリカの奴隷はダメなので、今度は中国の奴隷になれというのです。

アメリカは腐っても鯛。一国で世界総軍事費の50%以上を占めている。アメリカとの同盟が強固なうちは中国も静かにしている。ですから、アメリカが没落するまでの間に、自立の準備を進めていけばいいのです。

自立とは、

1、経済の自立
2、防衛の自立
3、食糧の自立
4、エネルギーの自立
そして、
5、魂の自立

その他詳しいことは、長くなりすぎるので書ききれません。


(私のコメント)
政治家や官僚たちは毎日の仕事に追われて、長期的な大戦略を考える時間が無い。そのようなことはシンクタンクや大学の研究所などで行なわれるべきものですが、日本のシンクタンクや大学の戦略研究の活動は不活発であり、ネットやブログで検索しても、そのような研究を活発に発表しているのは、ブロガーの数えるほどの人たちだ。

アメリカでは国防総省にアンドリュー・マーシャル氏がいますが、20年先30年先の戦略を考えてレポートを発表している。それに対して日本の20年先の戦略を考えている人はいるのだろうか? 日本ではやたらと危機感の煽るだけの本は沢山出されていますが、4,5年経つと使いものにならないことばかり書いてあることがばれてしまう。

「株式日記」では「アメリカの衰退に伴う日本の戦略」について書き続けてきましたが、ドルや石油の動向を分析すれば明らかなのだ。その流れがはっきり見えてきたのは9・11テロ事件以降ですが、イラク戦争に突入した事で流れが速くなってきている。

90年代のアメリカではソ連崩壊によるアメリカの慢心が出た年代であり、ソ連の次は経済大国日本を叩き潰せと襲い掛かってきた。クリントン外交があのまま続けられていたら日本は潰されていたかもしれない。その間に日本の総理大臣は8人も変わり、小渕総理は病に倒れた。同盟国のアメリカの裏切り行為になすすべが無かったのだ。

クリントン外交の誤りを糾す意味で「アジア2025」というレポートが1999年に出されましたが、そのレポートをまとめたのがアンドリュー・マーシャルだ。アメリカは軍事超大国であるだけに、その戦略は全世界的なものですが、日本で「アジア2025」を読んでいる人は僅かしかいない。


アメリカが予測する2025年のアジア 米国防次官1999年夏季研究最終報告(「アジア2025」) 東京財団

以下の報告書は、国防次官(政策担当)のために実施された夏季研究の要約である。この夏季研究は、アンドルー・W・マーシャルとジェームズ・G・ロッシュの指導の下、S・エンダース・ウィンブッシュが主宰する作業グループが、一九九九年七月二五日から八月四日にかけて、ロードアイランド州ニューポートの海軍戦争大学に集まってまとめた。これは、国防計画プロセスにとって根本的な諸問題や重要性のある問題を再検討するために実施された一連の夏季研究の第一三回である。

ここで検討の対象となるアジアは、太平洋からロシア中部、北極海からインド洋・ペルシャ湾に広がる地域と規定する。われわれは努めて長期的視野でこの地域を見て、限定された数の別のアジアを創造し、分析した。

シナリオが示唆するところによれば、中央アジアで起きたことは北東アジアあるいは南東アジアで直接的もしくは二次的な結果をもたらすかもしれず、インドネシアでの出来事は、北方の日本と西方のペルシャ湾の双方に伝播するかもしれないこと、すなわち、伝統的な「地域」や、それと同時に米軍の統制を超えるかもしれないことを示している。こうした世界においては、動く要素や動き得る要素が多く、それらの要素の間の結合の仕方も多い。

これらのシナリオの示唆するところによれば、米国が現時点で特定国に集中するのは、将来に対する計画の場合、間違っているということになるかもしれない。本グループは幾つかの劇的な役割の逆転にぶつかった。例えば、予想される世界では、現在米国の思考の中心にある数カ国が将来の世界で重要でなくなるだろう。ロシアがそうした例であり、日本がもう一つの例である。


(私のコメント)
現在の時点で「アジア2025」を読んでみると、レポートが発表されて8年しか経っていないのに、ロシアや日本が重要でないと予想しているが、プーチンのロシアの復活は予想できなかったようだ。確かに1999年の頃のロシアは半世紀は立ち直れないと思われていた。エリティンは酔っ払いの大統領であり、ロシア軍は給与も満足に支払われていなかった。

ところが現在のロシアは海外からの借金を全て完済して、解体寸前だったロシア軍を再建させてアメリカを脅かす存在に戻りつつある。こうなると、はたしてアンドリュー・マーシャル氏が大戦略家と言えるのかとなりますが、日本の存在が重要でなくなると言う指摘にも疑問が持たれる。

アメリカは東はヨーロッパやアフリカでロシアや中国とは隔てられており、南北はカナダやメキシコで隔たっているから問題ありませんが、西は太平洋に面しており、ロシアや中国が直接脅威を与える可能性がある。北極海から西太平洋からインド洋にいたる地域において、そのど真ん中にあるのが日本である。

以前の「株式日記」にも書きましたが、アメリカは世界の覇権を維持できるかどうかは日本にかかっている。日本がアメリカを見捨てれば世界の覇権を維持できない事は明らかだ。最近のアメリカの専門家も同じようなことを言っている。だから日本がどのような外交防衛戦略を持つかアメリカの専門家も注視しているが、日本にはそのような大戦略を考える人材が国家機関にはいないのだ。

ブッシュ大統領とプーチン大統領の首脳会談を見ても、イランをめぐって駆け引きが続いていますが、アメリカがイラクから撤退すれば中央アジアの米軍基地もアフガニスタンからも撤退を余儀なくされて、ユーラシア大陸の足場がなくなってしまう。「アジア2025」ではインドを戦略拠点として再構築しようとしているが、インドの核も容認しているが、決してインドはアメリカの意のままには動かない。

アメリカは極東においても北朝鮮に対して融和的な政策をとり、日本との同盟関係を揺るがせていますが、台湾にもこの影響は及ぶだろう。ライス国務長官が何を考えているのか理解に苦しむところですが、アメリカの衰退の影響がここに現れてきているのだ。ロシアとも新たなる冷戦が始まろうとしているのに、9・11テロの影響でアメリカの中枢神経がおかしくなっているのだ。

この事はアメリカの上層部は認識しているが、ブッシュはイラクで頭が一杯であり、足元がおかしくなっている事に気がついていない。ブッシュ政権の高官が相次いで辞めているが、政策スタッフの忠告もブッシュやライスの耳には届かないようだ。

ドイツはすでにアメリカを見限ってEUを立ち上げてユーロを通貨にしましたが、ユーロがドルの覇権を脅かしている。日本はアメリカにべったりくっ付いてアメリカと運命を共にするつもりなのだろうか? 今のうちから自主独立と核武装を真剣に考えないと2025年にはアメリカはアジアから手を引いているかもしれない。


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