株式日記と経済展望

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核を持てば軍事同盟から解放され、戦争に巻き込まれる恐れはなくなる。

2006年12月28日 | 外交

核兵器は安全のための避難所。核を持てば軍事同盟から解放
され、戦争に巻き込まれる恐れはなくなる。(エマニュエル・トッド)


2006年12月28日 木曜日

核兵器 「帝国以後」のエマニュエル・トッド氏と対談 10月30日 朝日新聞

今月はパリで行った対談を「風考計」の特別編でご紹介したい。相手は独特の視点で世界を読み解き、著書「帝国以後」などで広く知られるエマニュエル・トッド氏。鋭く米国や中国を批判する彼は、何と日本に「核武装」を勧めるのだった。刺激的な議論になったが、頭の体操だと思ってお読みいただきたい。

●トッド「偏在が恐怖、日本も保有を」 若宮「廃絶こそ国民共通の願い」

 若宮 いま、北朝鮮の核が深刻な問題です。

 トッド 北朝鮮の無軌道さは米国の攻撃的な政策の結果でしょう。一方、中国は北朝鮮をコントロールしうる立場にいる。つまり北朝鮮の異常な体制は、米国と中国の振る舞いあってこそです。

 若宮 トッドさんは識字率の向上や出生率の低下から国民意識の変化を測り、ソ連の崩壊をいち早く予測しました。北朝鮮はどうでしょう。

 トッド 正確な知識がないのでお答えできない。ただ、核兵器が実戦配備されるまでに崩壊するのでは……。

 若宮 でも不気味です。

 トッド 核兵器は偏在こそが怖い。広島、長崎の悲劇は米国だけが核を持っていたからで、米ソ冷戦期には使われなかった。インドとパキスタンは双方が核を持った時に和平のテーブルについた。中東が不安定なのはイスラエルだけに核があるからで、東アジアも中国だけでは安定しない。日本も持てばいい。

 若宮 日本が、ですか。

 トッド イランも日本も脅威に見舞われている地域の大国であり、核武装していない点でも同じだ。一定の条件の下で日本やイランが核を持てば世界はより安定する。

 若宮 極めて刺激的な意見ですね。広島の原爆ドームを世界遺産にしたのは核廃絶への願いからです。核の拒絶は国民的なアイデンティティーで、日本に核武装の選択肢はありません。

 トッド 私も日本ではまず広島を訪れた。国民感情はわかるが、世界の現実も直視すべきです。北朝鮮より大きな構造的難題は米国と中国という二つの不安定な巨大システム。著書「帝国以後」でも説明したが、米国は巨額の財政赤字を抱えて衰退しつつあるため、軍事力ですぐ戦争に訴えがちだ。それが日本の唯一の同盟国なのです。

 若宮 確かにイラク戦争は米国の問題を露呈しました。

 トッド 一方の中国は賃金の頭打ちや種々の社会的格差といった緊張を抱え、「反日」ナショナリズムで国民の不満を外に向ける。そんな国が日本の貿易パートナーなのですよ。

 若宮 だから核を持てとは短絡的でしょう。

 トッド 核兵器は安全のための避難所。核を持てば軍事同盟から解放され、戦争に巻き込まれる恐れはなくなる。ドゴール主義的な考えです。

 若宮 でも、核を持てば日米同盟が壊れるだけでなく、中国も警戒を強めてアジアは不安になります。

 トッド 日本やドイツの家族構造やイデオロギーは平等原則になく、農民や上流階級に顕著なのは、長男による男系相続が基本ということ。兄弟間と同様に社会的な序列意識も根強い。フランスやロシア、中国、アラブ世界などとは違う。第2次大戦で日独は世界の長男になろうとして失敗し、戦後の日本は米国の弟で満足している。中国やフランスのように同列の兄弟になることにおびえがある。広島によって刻まれた国民的アイデンティティーは、平等な世界の自由さに対するおびえを隠す道具になっている。

 若宮 確かに日本は負けた相手の米国に従順でした。一方、米国に救われたフランスには米国への対抗心が強く、イラク戦争でも反対の急先鋒(きゅうせんぽう)でした。「恩人」によく逆らえますね。

 トッド ただの反逆ではない。フランスとアングロサクソンは中世以来、競合関係にありますから。フランスが核を持つ最大の理由は、何度も侵略されてきたこと。地政学的に危うい立場を一気に解決するのが核だった。

●トッド「過去にとらわれすぎるな」 若宮「日本の自制でアジア均衡」

 若宮 パリの街にはドゴールやチャーチルの像がそびえてますが、日本では東条英機らの靖国神社合祀(ごうし)で周辺国に激しくたたかれる。日本が戦争のトラウマを捨てたら、アジアは非常に警戒する。我々は核兵器をつくる経済力も技術もあるけれど、自制によって均衡が保たれてきた。

 トッド 第2次大戦の記憶と共に何千年も生きてはいけない。欧州でもユダヤ人虐殺の贖罪(しょくざい)意識が大きすぎるため、パレスチナ民族の窮状を放置しがちで、中東でイニシアチブをとりにくい。日本も戦争への贖罪意識が強く、技術・経済的にもリーダー国なのに世界に責任を果たせないでいる。過去を引き合いに出しての「道徳的立場」は、真に道徳的とはいいがたい。

 若宮 「非核」を売りにする戦略思考の欠如こそが問題なのです。日本で「過去にとらわれるな」と言う人たちはいまだ過去を正当化しがち。日本の核武装論者に日米同盟の堅持論者が多いのもトッドさんとは違う点です。

 トッド 小泉政権で印象深かったのは「気晴らし・面白半分のナショナリズム」。靖国参拝や、どう見ても二次的な問題である島へのこだわりです。実は米国に完全に服従していることを隠す「にせナショナリズム」ですよ。

 若宮 面白い見方ですね。

 トッド 日本はまず、世界とどんな関係を築いていくのか考えないと。なるほど日本が現在のイデオロギーの下で核兵器を持つのは時期尚早でしょう。中国や米国との間で大きな問題が起きてくる。だが、日本が紛争に巻き込まれないため、また米国の攻撃性から逃れるために核を持つのなら、中国の対応はいささか異なってくる。

 若宮 唯一の被爆国、しかもNPT(核不拡散条約)の優等生が核を持つと言い出せば、歯止めがなくなる。

 トッド 核を保有する大国が地域に二つもあれば、地域のすべての国に「核戦争は馬鹿らしい」と思わせられる。

 若宮 EU(欧州連合)のような枠組みがないアジアや中東ではどうでしょう。さらに拡散し、ハプニングや流出による核使用の危険性が増えます。国際テロ組織に渡ったら均衡どころではない。

 トッド 核拡散が本当に怖いなら、まず米国を落ち着かせないと。日本など世界の多くの人々は米国を「好戦的な国」と考えたくない。フランス政府も昨年はイランの核疑惑を深刻に見て、米国に従うそぶりを見せた。でも米国と申し合わせたイスラエルのレバノン侵攻でまた一変しました。米国は欧州の同盟国をイランとの敵対に引き込もうとしている。欧州と同様に石油を中東に依存する日本も大変ですが、国益に反してまで米国についていきますか。

 若宮 日本のイランへの石油依存度は相当だし、歴史的な関係も深い。イラクの始末もついていないのにイランと戦争を始めたらどうなるか。イラクのときのように戦争支持とはいかないでしょう。

 トッド きょう一番のニュースだ(笑い)。北朝鮮と違い、イスラム革命を抜け出たイランは日本と並んで古い非西洋文明を代表する国。民主主義とは言えないが、討論の伝統もある。選挙はずっと実施されており、多元主義も根づいている。あの大統領の狂信的なイメージは本質的な問題ではない。

 若宮 イラン・イラク戦争のとき日本は双方と対話を保ち、パイプ役で努力した。その主役は安倍首相の父、安倍晋太郎外相でした。

 トッド 私は中道左派で、満足に兵役も務めなかった反軍主義者。核の狂信的愛好者ではない。でも本当の話、核保有問題は緊急を要する。

 若宮 核均衡が成り立つのは、核を使ったらおしまいだから。人類史上で原爆投下の例は日本にしかなく、その悲惨さを伝える責務がある。仮に核を勧められても持たないという「不思議な国」が一つくらいあってもいい。

 トッド その考え方は興味深いが、核攻撃を受けた国が核を保有すれば、核についての本格論議が始まる。大きな転機となります。

●トッド「北方領土問題、高い視点から」

 若宮 ところでトッドさんはロシアを重視し、日ロ関係を良くすれば米国や中国への牽制(けんせい)になると書いてます。

 トッド 私はずっとそう言ってきた。ロシアは日本の戦略的重要性を完全に理解している。国際政治において強国は常に均衡を求める。

 若宮 でも、日ソ国交回復から50年たっても北方領土問題が片づかず、戦略的な関係を築けません。

 トッド ロシアは1905年の敗北を忘れず、日本は第2次大戦末期のソ連参戦を許していない。でも仏独は互いに殺し合ってきたのに、現在の関係は素晴らしい。独ロや日米の関係もそうです。日ロもそうなれるはずだ。

 若宮 日本は北方四島を全部還せと言い、ロシアは二つならばと譲らない。

 トッド では、三つで手を打ったらどうか(笑い)。

 若宮 そう簡単にはいきませんが、互いに発想転換も必要ですね。ロシアは中国との国境紛争を「五分五分」の妥協で片づけました。

 トッド 解決のカギは仲良くしたいという意思があるかどうかです。北仏ノルマンディー沖にも英国がフランスから分捕った島があるが、問題になっていない。地中海にあるフランスのコルシカ島は元々イタリアだったが、誰も返せとは言わない。

 若宮 日本と韓国の間にはもっと小さな島があり……。

 トッド それこそ「偽りのナショナリズム」。国益の本質とは大して関係ないでしょう。この種の紛争解決にはお互いがより高い視点に立つこと。つまり共同のプロジェクトを立ち上げる。北方領土でも何かやればいい。

 若宮 トッドさんが平和主義者だということが分かりました(笑い)。



(私のコメント)
日本の核武装論議はいつの間にかうやむやになりましたが、核兵器と言う戦略的な兵器を排除した国防論議はまったく無意味だ。北朝鮮と言う最貧国ですら核武装が出来るのだから、米中ロといった核大国が核武装を押さえ込もうとしても押さえ込めるものではない。おそらくこれからも核武装する国は増え続けるだろう。

アメリカですらインドの核武装を認めたかたちになりましたが、イランの核武装をアメリカが止められるのだろうか? イラクには大量破壊兵器開発を口実に先制攻撃をかけましたがアメリカ自身の足元がふらつき始めた。アメリカの軍事力をもってしても核開発を始められたら押さえられなくなってきている。

南アフリカやリビアが核開発を止めたのは利害打算的に合わないからだと思いますが、必要と思えばいつでも開発するだろう。だからアメリカとしても北朝鮮の核武装は押さえきれないと諦めてしまっている。だから中国に北朝鮮の核武装を押さえ込ませているが、中国は面従腹背の国だから北朝鮮を使ってアメリカを揺さぶっている。

エマニュエル・トッド氏のインタビューは核に対する現実的な見方を答えたものですが、日本ではこのような現実的な考え方をする事が難しい。日本では核武装が非現実的な考えとされていますが、フランスのドゴール大統領は戦略的な考えで核武装したのだ。


シャルル・ド・ゴールへの想い 10月6日 雪斎の随想録

ドゴールが本当に偉かったことの証明は、周りに単にフランスだけでなく世界に通用する知識人が集まったことですね。レイモン・アロンが政治世界の参謀なら、アンドレ・マルローは文化世界の代表、そうそうガロアという天才戦略家もいましたね。ガロアはフランスの核武装の理論付けをやりましたですね。ドゴールがいざとなったらアメリカと共に行動するという覚悟を本心から持っていたからこそ、最終的にアメリカもフランスの核保有を認めた。その後も、英仏の核は米国の脅威にはなってない、むしろそれは補完関係にある。ひるがえって日本の場合は?これは微妙な問題でしょうか?日本の核武装論議で欠けているのは、日米同盟の片務性がこれでいいのかということだと思います。日本の核武装論議もけっこうです。しかし、真の同盟関係とは何か。この議論を早急にやってほしいですね。ドゴールのことでこんなことを感じました。勿論、私もドゴールの大フアンです。(Posted by: M.N.生



(私のコメント)
日本では核武装の議論はまともに行なわれず、作らず持たず持ち込まず議論せずの非核四原則がまかり通ってしまって、テレビの討論番組でもまともに議論される事はない。インターネットのブログなどでもまともな意見表明は少ない。

アメリカがいまだに日本の核武装を支持していないのは、フランスのようには日本を信頼していないからだろう。ドゴールはフランス民族主義の象徴のような人物ですが現実主義者でもあった。日本では左翼の親中と右翼の親米の二つに分かれてしまって、民族主義と言う言論勢力は存在していないに等しい。

株式日記では民族主義的な見方を主張していますが、現実的な見方もしている。だからフランスのドゴール的な考えに一番近い。だからこそドゴールがベトナム戦争に反対したようにアメリカのイラク戦争に反対した。しかし米中がもし戦争をするような時があれば日本はアメリカ側に立って戦うべきと主張する。

しかしアメリカが日本の核武装を認めない以上、日本は米中が戦争する事があっても朝鮮戦争やベトナム戦争の時のように黙って見ているしかない。今まではそれでも良かったのでしょうが、アメリカはイラク戦争を見れば分かるようにベトナム戦争当時のような圧倒的な戦力を持ってはいない。

場合によってはアメリカは朝鮮半島や台湾問題などから手を引いてしまう事も予想しなければならない。石原慎太郎都知事が言うようにアメリカはもはや中国と戦争して勝てるとは思えない。最悪の場合にはアメリカの民主党などには親中派もたくさんいて東アジアの覇権を中国にゆだねる事も予想される。

もし今の日本にドゴールがいたならば核武装を断行した事だろう。しかし日本にはレイモン・アロンのような政治参謀もいなければ、アンドレ・マルローのような文化人もおらず、ガロアのような天才的戦略家もいない。日本の政治家はアメリカの政府高官の前に出ると震え上がって小便をちびってしまうほどだ。

日本の政治家はどうしてドゴールにようにアメリカに忠告してあげる事ができないのだろうか。日本の学者文化人と言うような人はアメリカの提灯持ちであるか中国の提灯持ちに過ぎない。

株式日記ではエマニュエル・トッド氏の「帝国以後」と言う本を紹介しましたが、日本にはこのような本を書けるような学者文化人がいない。政府の愚民化政策が災いして核武装論議すら封印してしまっているからだ。


エマニュエル・トッド著 「帝国以後」「2050年前後にはアメリカ帝国は存在しない」 2003年12月15日 株式日記

アメリカがアフガニスタンやイラクへ侵攻した理由としてはいろいろ挙げられていますが、一番大きな理由としては軍事的に弱体な国を見せしめのために血祭りにあげて、アメリカの軍事力の誇示にあったのだろう。しかし本書でエマニュエル・トッド氏が指摘するかごとく、この事は世界の国々の警戒心を掻き立てるだけに過ぎない。

アメリカな何故そこまで追い詰められてしまったのだろうか。弱者を攻撃するということが自分の強さを人に納得させる良い手とは言えない。人口2300万人足らずの低開発国に超大国アメリカが戦争を仕掛けることはみっともない事だという意識がアメリカ人の中から消えうせてしまった。第二次大戦以降アメリカは大国とは戦争をせず、北朝鮮や北ベトナムや中南米のパナマ・グレナダといった弱小国としか戦争をしていない。

はたしてそれらの国と戦争をする必要性が戦略的にいってあったのか疑問に思えるが、アメリカはソ連崩壊以降その存在意義を失ってしまっているから、よけいに血迷っているのだろう。ソ連が存在していてくれれば、ソ連が悪役を一手に引き受けてくれて、アメリカが正義の味方よろしくスーパーパワーを誇ることが出来た。


(私のコメント)
中国は近い将来に台湾に対して手を伸ばしてくるだろう。そのときアメリカはこれに対抗できるだろうか? もし出来ない場合、中国の野心を思いとどまらせる事ができるのは「核武装した日本」しかないと思う。しかし日本には、「ド・ゴール」、「アロン」、「ガロワ」、「マルロー」が揃わない限り、日本の「核武装」というのも、リアリスティックな選択肢とはいえない。どうして日本の学者は小粒なのばかりなのか?


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