生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

美術修行2017年8月14日-1:暮沢剛巳 2008/7『現代アートナナメ読み』読書録、中サワヒデキ 1989 近代美術史テキスト

2017年08月14日 23時38分54秒 | 美術修行
2017年8月14日-1
美術修行2017年8月14日-1:暮沢剛巳 2008/7『現代アートナナメ読み』読書録、中サワヒデキ 1989 近代美術史テキスト

[く]
暮沢剛巳.2008/7/4.現代アートナナメ読み 今日から使える入門書.237pp.東京書籍.[本体1700円(税別)][Rh20170804][大市図阿702]


 2017年6月23日、読み始めた。 その後、中断した。
 2017年7月24日頃に、「第2部 アートの見方ナナメヨミ」(127-162頁)の部分を読んだ。10人の美術評論家を2頁の見開きで解説している。平易な文章で本質的なところを判断して書いている。大変参考になる。
 2017年8月4日、読了。


  「アートと政治——「美しい国」とはなんだったのか?
〔略〕
 2006年7月に出版された『美しい国へ』(文春新書)は、小泉純一郎首相の退陣を間近に控え、後継が確実視されていた安倍晋三官房長官(いずれも当時)の初の著書で、彼の政見表明という側面をもっていました。国家の自立、北朝鮮への強硬姿勢、日米安保体制の重視、教育や年金制度の改革意欲などからなる内容は賛否両論を呼び、多くの書評が出ました。〔略〕
私か本書を手に取ったのは、『美しい国へ』というタイトルへの関心からでした。ひょっとしたら、国土や景観について突っ込んだ政策を語っているのではと思ったのです。しかし本書では最後の方で《私たちの国日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の文化を持つ国だ》(228ページ)と書いてあるきり、「美しい国」の具体的なビジョンはほとんど語られていません。」
(暮沢剛巳 2008/7、21頁)。


  「家族愛に満たされ、ある種のノスタルジアに彩られた「古き良き日本」が理想像であることは間違いありません。」
(暮沢剛巳 2008/7、22頁)。

  「アート作品に登場する景観のイメージは実に多種多様です。そこにはおよそ統一的な美の基準など存在しない〔略〕
志賀重昴によって『日本風景論』という本が書かれました。日本の風景の特質を火山や松やリアス式海岸に見たこの本は、日清戦争の勝利の余韻もあってか大ベストセラーとなりました。この逸話は、景観の美醜の判断がナショナリズムと結びつきやすいことを示しています。「美しい国」を目指すことと画一的な景観を押し付けることのの境界線はどこに引かれるべきか、再考したいところです。」
(暮沢剛巳 2008/7、27頁)。

 言い方は穏やかだが、安倍晋三氏の聞こえがいいだけの空疎な言葉の口先だけという無内容無責任性は、昔からだったということだ。その本の執筆が代筆だとしたら、その人は忠実ということになる。
 

 第2部のアートの見方ナナメヨミは、10人の批評家を取り上げていて、その視点を簡潔に解説し、わかりやすい見取り図にもなっている。
 芸術批評の「トポグラフィ〔地勢図〕」と題した図があるが、
   アート     ←→非アート
   ポストモダニズム←→モダニズム
   ジャーナル   ←→アカデミズム
の3軸上に10人を位置づけている。

 暮沢剛巳氏の対談相手である小西信之氏は、
  『オリジナリティと反復―ロザリンド・クラウス美術評論集』(1994/11 訳)【未読】
の翻訳者でもあった。


 さて、ネットしていると、

中サワヒデキ.1989.近代美術史テキスト 印象派からポストへたうまイラストレーションまで.44pp.トムズボックス.[500円+税]

というのが、面白そう。
 
  「フォンタナの制作風景を描いた3コマ漫画があるのですが、最終コマでは何と実際にカッターの切れ目が入っています。〔略〕
当然ですが、ページをめくった裏面、第9章イブ・クラインの箇所にも切れ目はありますね。〔略〕
驚くなかれ、さらにめくっていっても切れ目は続き、ハイレッドセンターの頭を切り裂き(写真)、この本では10章の「現在美術(1)」まで6ページ分も切れていました。」
http://artdiver.moo.jp/?p=648[受信:2017年8月14日。]

とあった。副題に「へたうま」とあるし、第8章は、フォンタナ「空間概念」。

  「
目次:

第1章 印象派
第2章 野獣主義と立体主義
第3章 ピカソ「ゲルニカ」とマチス「ナスターチウムの花と≪ダンス≫」
第4章 戦前期20世紀美術
第5章 「ダダ」とは お馬ドウドウの意味
第6章 戦後アメリカ美術の誕生
第7章 ジョーンズとジョーンズ以後
第8章 フォンタナ「空間概念」
第9章 イヴ・クラインと三木富雄の時代
第10章 現在美術(その1)
第11章 現在美術(その2)
第12章 ネオ・ジオの真意
第13章 シミュレーション100%:ジェフ・クーンの「芸術?」
第14章 ヘタうま・パルコ・反イラスト
第15章 スージィー甘金とイラストの心
アーティスト名索引」
http://lilmag.org/?pid=33428707[受信:2017年8月14日。]

 注文した。