真鹿子の真鹿不思議歩記

真鹿子は真鹿子であると同時に馬鹿子!馬鹿子で無くなると真鹿子で無くなる生粋の真鹿馬鹿子であり!永遠に真鹿馬鹿子!&野生人

あの頃、バッチャンは、虫より安かった。 ( 真鹿子) 3

2011-11-17 01:34:07 | あの頃、バッチャンは、虫より安かった。






青空は



どんなに



極悪非道が行われていても



美しく、青く澄みきっている。



あの頃は、



ちーっとばっかし頭がよくて、要領がよい種族



私利私欲にがむしゃらになって、突っ走ることができる種族が



世の中の仕組みを



自分たちが有利になるように



巧妙かつ陰湿に造り上げ



すべての権力と財力を牛耳って、



栄耀栄華を極めていた。



民草は生かさず殺さず



往来で行き倒れがあっても



道行く人もまた



無関心であった。



確かに、



あの頃、



バッチャンは



虫より安かった。



もっとも、バッチャンも



その虫のように



綺麗な声では歌えなかったし



無視されそうな



虫よりもはるかに劣る



無価値な女児であった。



小突かれ、罵られ、追い立てられ、



家畜以下、奴隷以下、



いったいなんだったんだろう?



虫がうらやましかった。



でも、空腹のあまり



そのうらやましい虫を



むさぼるように食べた。



バッチャンは、その頃



おびえて萎縮した小さな蒼鬼だったのかもしれない。



百鬼夜行!!



鬼は夜だけではなく



真っ昼間から



あらゆる鬼が顕在化し



跳梁跋扈!! 想像を絶する残酷非道が繰り広げられていた。



けれども、鬼界の元締め、頭領は



霞みたなびく上の方



上品な絹に包まれ、



芳しき花にかこまれ



下方から



あらゆる富という富を吸い上げながら



慈悲深げに微笑んでいる。



民草は生かさず殺さずだ。




バッチャンが



どうして孤児になったのか


父母の温もりのような安らぎが



微かに肌に染み込んではいるものの



一切の記憶がなくなっていた。



あちらこちらをさ迷いながら



すっかりがりがりになって


ぼろぼろになった



小さな鬼!



気色の悪い蒼鬼!!



でも、だからこそ



食用にならずにすんだのかもしれない。



けれども、やがて、



草や虫を食べても



嘔吐や下痢で



からだが受け付けなくなってしまったんだ。



意識も朦朧として、



歩けなくなってしまって



寝床にしていた



居心地のいい草むらで



大の字になった



青空を



まるごと



吸い込んだみたいに



大きく



息を



吸い込んだ!





痩せ細った小さな顔いっぱいに



見開かれいる



大きな真ん丸な目には



青空が



青く澄みきって



映ってたのかな





(真鹿子)

〔マカバァチャンの朦朧独語録より〕



蒼ざめた


鬼の子野原で


息絶えて


真ん丸な目に


瑠璃色の空




(真鹿子)



今でも



見開いたままの



真ん丸な目で



青空を



見つめ続けている