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アメリカ大統領選挙と周回遅れのグローバリズムを推進している我が国の有様/三橋貴明

2016年11月12日 08時56分57秒 | 真実追求

三橋貴明オフィシャルブログより
2016-11-10、11

アメリカ・ファースト

三橋貴明

Make America Great Again!(アメリカを再び偉大に!)」

 上記のスローガンは、1980年の大統領選挙において、
ロナルド・レーガンが使用したのが初出になります。
 2016年の大統領選挙において、出馬表明時は「泡沫候補」として
メディアから嘲笑されていたドナルド・トランプが、
「Make America Great Again!」の商標を出願。
選挙運動の初期に、上記スローガンが書かれた帽子をかぶり続け、
自らのキャッチフレーズと化すことに成功しました。


 さらに、ドナルド・トランプは共和党の予備選の時点から、
アメリカ国民の利益を最優先する「アメリカ・ファースト」(アメリカを第一に)
を基本にすると表明。


「ブリテン・ファースト(イギリスを第一に)」
「アメリカ・ファースト(アメリカを第一に)」

 常に先頭を切るイギリスに続き、
アメリカでもまた、「自国を第一に」の叫びが選挙で勝利しました


米大統領選 トランプ氏が勝利 「驚くべき番狂わせ」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161109/k10010762331000.html 
 アメリカ大統領選挙は過激な発言で話題を集めてきた共和党のトランプ氏が
民主党のクリントン氏に勝利し、アメリカメディアは「驚くべき番狂わせだ」と伝えています。
トランプ氏は「分断の傷を修復し、ともに結束していくときだ」と演説し、
次期大統領として激しい選挙戦で分断された国の融和をはかる考えを示しました。
 アメリカ大統領選挙は8日、全米で一斉に投票が行われました。
 アメリカのABCテレビによりますと、
トランプ氏は28州を制して、当選に必要な過半数を超える278人の選挙人を獲得し、
民主党のクリントン氏に勝利しました。
 過激な発言で話題を集めてきたトランプ氏は、「アメリカを再び偉大にする」という
スローガンを掲げ、現状に不満を抱く有権者から支持を得ました。(後略)』


 トランプの勝因は、わたくしが見ていた限り大きく二つありました。
一つ目は、ポリティカル・コレクトネスをものともせず、「白人」に支持を訴えたことです。


 過去三十年、アメリカの政界は共和党も民主党も、
共に白人労働者階級の取り込みには慎重でした。
理由は、白人階級にアピールし、
アメリカ国内で増加中のマイノリティの有権者が離反してしまうことを恐れたためです。
さらには、ポリティカル・コレクトネスの概念が広まり、
政治家が白人階級にダイレクトに訴えかけることがタブー化されてしまいました。


 11月8日の大統領選挙では、選挙人29人を数えるフロリダ州をトランプが獲得。
フロリダ州は、ヒスパニック系の割合が少なくなく、トランプは勝てないと言われていたのです。
ところが、
フロリダ州北部の白人階層が一斉にトランプに票を投じた結果、予想が覆ってしまいました


 二つ目は、かつてアメリカの重工業や製造業が集中した地域、すなわちラストベルト地帯で、
反グローバリズムの姿勢を明確化し、繰り返しグローバル化を批判したことで、
民主党の地盤をひっくり返してしまったことです。


 ペンシルベニア州、オハイオ州、ウィスコンシン州、そしておそらくはミシガン州も
(まだ結果が出ていないですが)、
労働組合の力が強く、民主党色が濃い地域で、トランプはヒラリーを破りました
結果的に、最終的な勝利につながります。 


 トランプは
アメリカ政府の通商政策がグローバル化を促進させ、米国の製造業の雇用を失わせたと主張。
16年6月29日には、ペンシルベニア州で演説した際に、グローバル化を批判すると同時に、
「我々の政治家は積極的にグローバル化の政策を追求し、
我々の雇用や富や工場をメキシコと海外に移転させている」
「グローバル化が金融エリートを作り出し、
その寄付によって政治家はものすごく裕福になった。私もかつてはその1人だった」

 と、発言しました。


 グローバル化故に、アメリカの労働者(特に白人労働者階級)が貧しくなっている。
直球のグローバル化批判が、サイレント・マジョリティと化していた人々に届いたわけです。


 興味深いことに、NHKは開票番組では、
トランプのグローバル化批判が、ラストベルト地帯の白人労働者階級の支持を集めた
 という事実を、繰り返し、報道していました。


 投票が行われる前は、その手の情報がマスコミで流れているのを、
わたくしはほとんど見かけませんでした。
623ブレグジットの際に、
離脱派勝利が明らかになった後に、移民問題がクローズアップされ始めたのを思い出しました。


 カリフォルニア大学サンタバーバラ校の調査によると、
アメリカの有力紙100社の内、民主党のヒラリーを支持しているのは
「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」など57社に上りました
それに対し、トランプを支持しているのはわずか2社でした。
アメリカのメディアは、疑いなくヒラリーに肩入れをしていたのです。


 投票日二日前には、アメリカのメディアは一斉に
「クリントン勝利90%」といった見出しを掲げ、ヒラリーを支援しました。
ところが、結果は敗北。


 ブレグジットにせよ、アメリカ大統領選挙にせよ、メディアは予測を外しまくりました。
グローバル化に対する人々の不満の高まりは
グローバリズムの先兵たる大マスコミをも上回っている、あるいは上回り始めたというのが真実
なのかも知れません。

 さて、大統領選挙期間中は、
「(不法移民の流入防止のために)メキシコとの国境に「万里の長城」を建設し、
メキシコにその費用を払わせる。」
「米当局が事態を把握できるまでの間、イスラム教徒をアメリカ入国禁止にすべきだ」
 などと、無茶苦茶を言い、ヒラリー・クリントンに罵詈雑言を浴びせていたドナルド・トランプ
ですが、当選後の勝利宣言の場では、
クリントン氏は我が国のために一生懸命働いてくれた
アメリカは分裂の傷を縫合し、今こそ共和党、民主党、独立系みんなが一丸となって前進するときだ」
すべてのアメリカ人のために大統領として働くことを私は誓う」
「国民が一緒に努力し、国を再建し、アメリカンドリームを実現することは早急の課題だ」
 と、アメリカを「一つにする」ことを目指すと宣言しました.。


 わたくしはトランプの演説をテレビで見ていたのですが、
まるで人が違ったような印象を覚え、驚きました。


 さらに、重要だと思うのは、トランプは勝利宣言の短い演説の中で、
都市部のスラム化した地域を整備し、高速道路や橋、トンネル、空港、学校、病院などの
インフラを整備することは最重要課題だ。そのために何百万人という労働力を投入する

 と、まさしく日本でも必要とされている「インフラ整備」について言及している点です。


 元々、トランプ陣営は大統領選挙に勝利した場合、今後十年間で1兆ドル(約105兆円)を支出する公共投資の実施を計画していることが報じられています。

 トランプの公共投資案は、陣営の経済顧問でカリフォルニア大アーバイン校の経済学者らが
中心となり、計画案策定を進めているもので、
道路工事などに3千億ドル、その他のインフラ工事などに7千億ドルを投じることで、
老朽化が目立っている国内の公共基盤の再整備を行い、
同時に雇用の創出するというものになります。


 率直に書きますが、真っ当だと思います
と言いますか、アメリカの経済規模を考えると「少ないのでは?」と思ってしまいましたが。


 ちなみに、「財政」について、トランプは今年5月13日の時点で、
米国政府なのだから、まずデフォルトになることはあり得ない
紙幣を印刷すればいいだけの話だろう」
 と、言い方はともかく、事実としては正しい認識を示しています。

 アメリカ政府がデフォルト(財政破綻)するなど、ありえません。
普通に「金融政策+財政政策」により、国内のインフラを整備し、雇用を創出する。
アベノミクス初期を思い出せばわかりますが、
財金ポリシーミックスという政策は、あくまで国内の話なので、比較的速やかに実行可能です。


 トランプは、上記に加え、大型減税(アメリカにおいて、減税は日本よりは効果はあります)等の経済対策を、就任後100日以内に実行すると宣言しています。


 100日計画には、もちろん「十年で1兆ドル」のインフラ整備も含まれています。


トランプ氏、改革100日計画 減税・財政同時に  
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM10H42_Q6A111C1EA2000/ 
 米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏は来年1月の就任後、
巨額減税を柱とする経済再生策を100日間で断行する構えだ。
「経済成長を加速させ、最強の経済をつくる」と宣言した同氏にとり、
景気浮揚のスタートダッシュは政権の安定運営のカギを握る。
大型減税や財政出動による景気刺激策を市場は好感しているものの、
財政悪化やインフレ懸念も拭えない。(後略)』


 法人税の大型減税の目的の一つは、
アップルやグーグルなど、高税率を嫌う米大企業が節税のため海外に資金を逃避させるのを防ぐため
とのことです。
また、大企業が海外で貯蓄している2兆ドル(約210兆円)を、
アメリカに還流させようとしているのです。


 というわけで、アメリカ企業が海外資金を米国に戻す際の税率は、
10%と大きく軽減されます。(アメリカ国内の企業は15%に減税)
 
 さて、TPPです。
 共和党のマコネル米上院院内総務は11月9日、
TPP法案について、17年1月の新大統領就任前に採決は行わないとの認識を明らかにしました。
これで、オバマ大統領就任中のTPP批准の可能性は消えました。


 そして、トランプはTPPについて「就任初日に離脱」と宣言しています。
(TPPどころか、NAFTAも見直すようですが)


 すなわち、TPPは死にました。


 それにも関わらず、
懸命に批准プロセスを進めている安倍政権は、確かに異様です。


 異様ですが、問題の本質はそこではありません。
TPPという「アイコン」ではなく、その中身、
すなわち日本国の各種安全保障弱体化や、国民の食の安全崩壊、貧困化と引き換えに、
我が国に「自社のための規制緩和」を求めるグローバル企業
は、
別にTPPがなくなろうとも諦めることはない、という話です。


 そもそも、アメリカを中心とするグローバル企業が日本市場で「利益を最大化したい」
と考え、膨大な規制緩和を一気に実現しようとしたのが、TPPなのです。
TPPが死のうとも、
日米二か国間協議により、
我が国が「グローバル企業の利益最大化」のために規制や法律を変えさせられる
のでは、
同じ話になります。


 イギリスに続き、アメリカもまた、
グローバルではなく「国民第一」の政治に舵を切ろうとしています。
それにも関わらず、
相変わらず周回遅れのグローバリズムを推進している我が国の有様に、
わたくしはむしろ危機感を高めているのです。

 
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