好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブラームス 交響曲第2番 ザンデルリンク/シュターツカペレドレスデン

2015-09-27 23:04:42 | ブラームス 交響曲第2番
ブラームス
交響曲第2番

指揮…ザンデルリンク
演奏…シュターツカペレドレスデン

好み度…4(5点満点)

厚くどっしりと、かつ機能的でもあり内声もクリアに聴かせて、また、弦も管もオケ全体としても上手い、と様々なものを併せ持った名盤と誉れの高い盤だけのことはあると思う。
ただ、特に「雰囲気」を感じるかといわれればそうでもないような感もある。
第2楽章も弦の響きも木管もホルンも美しいが、特に深みとか込められた情感を感じるか、というとそういうタイプでもないような感はある。
第3楽章は素直に響きの美しさと軽妙さもまとったオケの上手さが光る。
終楽章は俄かに活気とスケール感を帯び、厚く強い響きの中で内声が重なり合う響きは重厚にして美しく、重厚感と解放感を感じるフィナーレも心地よく、この楽章がこの演奏を名盤たらしめているのだろうと思う。
情感や雰囲気にはやや欠ける感はあっても、やっぱり響きは強く美しくオケは上手く、終楽章なんか聴いているとこの盤でしか味わえないものがあって、やっぱり名盤なのかなぁとも思う。

チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 ロストロポーヴィチ/ロンドンフィル

2015-09-27 23:01:55 | チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
チャイコフスキー
交響曲第6番「悲愴」

指揮…ロストロポーヴィチ
演奏…ロンドンフィル
好み度…3.5(5点満点)

同時期に録音の5番の素晴らしさに比べると、何か情が乗らず艶も深みもない印象を受ける。
うーん、他に書きようがない…といったところ。
CDの帯とかネットでのレビューではなりふり構わぬ情念、みたいな紹介があったけど、私にはそうは感じられませんでした。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 セル/ウィーンフィル

2015-09-27 22:56:50 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…セル
演奏…ウィーンフィル
好み度…5(5点満点)

名盤である。激しく熱い。
1969年ザルツブルグ音楽祭ライブ。
ウィーンフィルは、この楽団がときおりみせる「すごいときのウィーンフィル」の響きであり、
ふっきれたように、独特の響きでヴァイオリンが、金管が、よく鳴っているし、
完璧主義との定評のセルの指揮ぶりが、何とも熱い。
熱いがさすがにウィーンフィルとセル、厳しく音を揃えて少しも崩壊しない。
ウィーンフィル特有の艶と古風な華を漂わせてとにかく活力に満ち、ぬくもりを持った鋼のような運命である。
第1楽章は出だしから厚く激しい響きで迫るようだが、終盤にかけてさらに熱を帯びていくのがまたほんとにすごい。途中と最後の運命の動機の全奏も、4音目を十分に伸ばし、トランペットも高らかで堂々としたものである。
第2楽章も古風と華のある弦の活力が印象的で、第3楽章のホルンや弦もウィーンフィルならではとの感を受ける。
終楽章は、凱歌の前を存分に引っ張った後は、やや早めのテンポで押していく。弦も金管も十分に力強く響き活力に満ち、その熱い推進力たるや凄まじいばかりであり、この終楽章は熱狂的ですらある。ウィーンフィルの「すごいとき」の演奏は、他の楽団ではできないだろうなぁ、と思わせるわけのわからない迫力と独特の響きがある。たまにこういう、すごい演奏するんだよね。
セルはせセッションの録音では端正すぎるきらいがないでもないがこのライブでは熱い血の通ったものを感じるし、ベルリンフィルはこうはリミッタをはずしてくれない。
何とも力と推進力漲るすごい運命であり、名盤中の名盤と思う。

ブラームス 交響曲第1番 ケンペ/ベルリンフィル

2015-09-26 23:27:33 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…ケンペ
演奏…ベルリンフィル
好み度…4(5点満点)

第1楽章は冒頭からまさに重厚。
序奏以降、分厚さを増し、かすかにほの暗さを漂わせながら、その重厚さと圧力は圧倒的であり凄みを感じるほどである。第1楽章はまさに圧巻。
第2楽章、第3楽章は、特に可もなく不可もなく、標準的といったところか。
終楽章は第1楽章に比べると凄みは薄らぎ、爆発しきらないままややあっさりと過ぎてしまう感があり、
フィナーレはそれなりに力も入っているが、第1楽章が圧倒的なだけに、全体的にやや尻すぼみ感を受けないでもない。
全体的に古きよき重厚感ある響きだが、この盤の魅力は、と問われたならば、第1楽章の圧倒的な凄みに尽きるかな、との印象。

チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 ヤブロンスキー/マーク/フィルハーモニア管

2015-09-26 23:12:46 | チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー
ピアノ協奏曲第1番

ピアノ…ヤブロンスキー
指揮…マーク
演奏…フィルハーモニア管
好み度…4(5点満点)

ちょっと霞みがかかったような印象の録音も手伝ってか、
なぜかどこか北欧の、夜明け前の静かな風景を連想するようなチャイコのP協1。
並み居る他の盤たちと聴き比べてしまうと、インパクト不足というか、どことなく力不足の感を感じてしまうが、
単独で聴けばオケはかなり厚く優雅にしっかり響いてるし(序奏のオケなんてゆったり優しく厚く、叙情味あって結構美しい)、
ピアノも激しくないが騒がないチャイP協1をちゃんと弾いていて、
派手ではないけれど、北欧を自然と連想するくらいだから両者相まって結構叙情的な雰囲気をつくっていると言えるのかもしれない。
第2楽章もフィヨルドの水面に遊ぶ妖精のような自然で静かな音楽(ホメ過ぎかな…)。
終楽章も舞曲の激しさやめまぐるしさより基調は美しい響き。タイム的には6分57とあるが印象としてはもう少しゆっくりあわてずの印象。
大人しくてつまらんといえばそうかもしれないし、派手ではないが柔らかな厚みを以って優しい叙情味を醸し出していてよいといえばそうともいえる。
いずれにしても良演にはちがいないと思う。

グリーグ ピアノ協奏曲 リヒテル/マタチッチ/モンテカルロ国立歌劇場管

2015-09-26 23:02:56 | その他
グリーグ 
ピアノ協奏曲

ピアノ…リヒテル
指揮…マタチッチ
演奏…モンテカルロ国立歌劇場管
好み度…4(5点満点)

録音がやや重めの音のせいなのか、リヒテルだからからなのか、
ピアノの響きは重めの強くがっしりした響きで、マタチッチのオケも強い弾き方で、グリーグの透明感や叙情性とは別物の演奏となっているような印象を受ける。
ただ、その力強さはある意味劇的ですらあり、第1楽章~第3楽章とも、叙情部でのピアノには豊かな情感を感じる。
細かなことを言えば、冒頭、ティンパニの後のオケとピアノが少しずれているのか、キレが感じられないのがやや残念といえば残念。
北欧的叙情性、とかというよりは重量感と力強さを感じるむしろドラマチックなグリーグのように思う。

ブラームス 交響曲第1番 エッシェンバッハ/ヒューストン響

2015-09-20 12:36:46 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…エッシェンバッハ
演奏…ヒューストン響
好み度…4(5点満点)

ゆっくりと、しかし1つ1つのフレーズを細やかに情緒豊かにしっかり謳っているので間延びの感覚はなく、美しい調べを聴く心地であり、美しい河の流れを見るかのようなブラ1。
ゆっくりめのテンポと、重くはないが落ち着いた厚みのある響きで情感感じるブラ1となっている。
楽器の出し入れもよく練られていると思う。
第2楽章等も、ゆっくりと、静寂をも聴かせるかのような展開で、音色も美しく、この楽章の新鮮な側面を聴く思いでもあり、
終楽章出だしのソロ等も雄大で気持ちよい。
フィナーレだけにわかにテンポを速めているのが、個人的にはそんなことしなくていいのに、との思いもあるが、美しく新しいイメージを感じるブラ1であり、所謂「ドイツ的な」とかという響きではないがこういうブラ1もありだな、と感じる。
隠れ名盤の評にも納得の盤。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 ポリーニ/アバド/ベルリンフィル

2015-09-20 12:29:59 | ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&第4番
ベートーヴェン
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

ピアノ…ポリーニ
指揮…アバド
演奏…ベルリンフィル
好み度…4.5(5点満点)

ライブだが、大変な完成度の高さの盤。
アバドのほんの少し控えめながら「完璧」と形容したくなるオケに乗って、ポリーニのピアノが卓越した技術で澄んだ音色で強音を、弱音を、情感も伴って乗せ、これらが一体となってほのかに熱さも帯びた格調高い響きとなっている。
宮殿的な華麗さや気品というよりは古城を思わせる腰の据わったちょっと重厚感も加えた厚い美しさを感じさせる響きである。
ピアノは、強奏部は重量感とスケール感をもって叩かれ、弱音の澄んだ響きは大変美しい。
第2楽章の美しさと終楽章のスケール感にはこの盤ならではのものを感じる。
アバドはオケに決して大きな音は要求していないが、低弦もしっかり効いたベートーヴェンらしい響きで格別の存在感を感じさせ、応えるベルリンフィルはさすがの名人芸ぶりである。
上質なほのかな熱と情感を帯びつつ、しっかり腰の座った厚く格調高い響きをライブと思えないくらいの高い完成度で演じきった充実の脱帽の思いの1枚。やっぱりこれも名盤でしょう。

ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」 アシュケナージ/フィルハーモニア管

2015-09-20 12:21:10 | ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ベートーヴェン
交響曲第5番「運命」

指揮…アシュケナージ
演奏…フィルハーモニア管
好み度…3.5(5点満点)

運命の聴きかたとして似合わないかもしれないけれど、ちょっと静かな気持ちで運命を聴きたいときにはいいかもしれない。
テンポや楽器の処理も基本的にはオーソドックスで、感情の持込や高揚、激しさといったものをあえて排しているような、音楽的な美しさを表現したいんだという意思表示のような、そんな響きの運命。
冒頭の動機こそ少し腰を据えた音で入るが、全編の印象としては低音の効いたどっしりした響きではなく、やや残響多めの、響きの柔らかいヴァイオリンの響きが中心の、美しいといえば美しいが深みに欠けるといってしまえばいえるような、そんな運命のように思う。
また、低弦や木管が絡んで織り出されるベートーヴェン的な響きも、ここでは求められていないように思う。

ブラームス 交響曲第1番 レヴァイン/ウィーンフィル

2015-09-19 23:26:38 | ブラームス 交響曲第1番
ブラームス
交響曲第1番

指揮…レヴァイン
演奏…ウィーンフィル
好み度…4(5点満点)

かなり凄い。
ウィーンフィルが存分に鳴っている。
渋さとか重ったるさとかでなく、緊迫感に満ちた圧力とキレにウィーンフィルの美音が詰まっている。
各楽器が独特の美音を存分に鳴らしつつ一団となってグイグイ迫るかのようであり、
レヴァインのテンポ運びも進めるところと謳うところのメリハリも心地よく、また、エネルギッシュで堂々としたものである。
両端楽章では圧倒的な響きを聴かせるが、2楽章では別の面でのウィーンフィルらしさが出ていて深く美しく、
また、終楽章冒頭の主題ソロはゆっくりと、ソロのうまさもあって染み入る雰囲気をつくっている。
フィナーレへの高揚感も十分、個人的に注文があるとすればラストの凱歌をもう少しためてくれれば、との感はある。
音もテンポ運びも推進力にあふれ、かつ堂々とし、響きは骨太で男性的だがあくまでも美しい、とウィーンフィルとレヴァインに圧倒される1枚。