久夛良木健の演説

2004-11-05 02:33:31 | SONY
去る9月7日、8日、10日にメリルリンチ主催のプレゼンテーションが行われた。
その中で久夛良木氏はホームエレクトロニクス戦略について語っている。
こちらで久夛良木氏のプレゼンが46分に渡って見ることができる。
それにしても久夛良木氏は技術について話す時は本当に楽しそうに喋っている(笑)。


以下その要約(ちと長くなったが)
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・ソニーグループの強みは技術。技術に裏打ちされた様々な戦略デバイス。
ソフトウェアやプロセッサといった総合力でデジタル家電を引っ張っていく。

・ホームの中の中心はテレビと考えている。

・強調しておきたいのは、ソニーが目指すテレビは最低限フルHDでなくてはいけない。
HDもどきのフラットディスプレイがたくさんある。最低2K*1Kのテレビが欲しい。
2K*1K(1920*1080ドット)の解像度というのはスタートポイントに過ぎない。

・今のテレビは印刷レベルのものも出ていない。我々は寂しい映像を見ている。
パッケージ(BD等)やデジカメから凄い映像信号が出てくる。
ソニーグループ全体で持てる色のデバイスの色域を広げていきたい。
解像度をどんどん上げて行きたい。現状の60コマのフレームレートに拘ることはなく、もっと上げたい。
テレビはまだスタート地点にたったばかり。ソニーがテレビの基準を変えていきたい。
ソニーは放送も手がけているので、放送のクオリティも上げていきたい。

・ソニーグループとしては強力にBDを推進していく。HD DVDは今の技術を使えば楽だというだけで、
総容量ではBDに全然かなわないわけだから、松下を含め家電業界はBDをサポートするということを強く伝えたい。
BDは徹底的にこれから導入を着実にやっていく。

・2005年を超えたらどうなるか。テレビを見ればまだまだということで、それはスーパーHDクオリティだと思っている。
言葉をミスリードするわけではないが、HDを極めようということ。

・自発光の場合、自発光する物体そのものを変えないといけないという問題がある。
プロジェクターや液晶は自発光しないが、これはデメリットではなく凄いメリット。
発光しないということは発光源を他から持ってこれ、発光源の色域を広げれば自ずとディスプレイ全体の色域が広がる。
逆に言えば液晶のようなライトバルブが今後、自発光を越える日がもうほとんど今来ていると私の方から宣言させていただく。

・ほとんどの人が自発光しないということがデメリットだと思っていたかもしれないが、
実は自発光しないということが最大のメリットであるというのが、我々の今の時点で認識している大きな事実であり可能性。

・ありとあらゆるものを受け止めるためには解像度がもっと要る。

・10年前のプレイステーション時に3Dのリアルタイムグラフィックを軽快にレスポンス表示するためには
膨大な半導体処理能力が要った。それと同じことが今デジタル家電にも起こっている。
今のデジタル家電は様々な会社がいろんなエンジンを使っているが、出てきているセットを見れば確実に処理が遅れている。
ここをとにかく徹底的に速めることをしたい。

・ソニーグループとして注力しているのは液晶。ここは間違いなく大爆発する。
今の液晶はようやくテレビに入り始めた段階。今後とてつもない表現力を獲得していく。

・HLCDのグランドベガが去年からアメリカで大ヒットした。
今これが売れて売れて、逆に言えばプラズマが売れなくて売れなくてと。
これが皆さんにとって本当のダークホースというやつ。ダークホースが実は凄い馬だということがわかったということと、
これがソニーグループにとって理想的なバーティカル・インテグレーション(垂直統合)ということで、
利益率やブランド力の向上も含めて非常に大きなパワーになっている。ここを今後大型のところで徹底的に攻める。
プラズマよりも安く、プラズマよりも綺麗で、プラズマよりもかっこよくというのを徹底的にやろうと思ってる。
日本もそのうち火がつくだろう。

・まもなくSXRDを使ったリアプロを発表させていただきたい。この映像を社内のオープンハウスで見た途端に、
社員のみんなが「いつ発売なの?いくらなの?買いたい」と言うくらいに素晴らしかった。
一回これを市場に導入したらある意味、目からウロコというような素晴らしい映像を見ることができる。
プラズマ、液晶、当社のグランドベガ、どれと比べてもコレがいいと言うくらい素晴らしい商品。

・2005年の愛知万博で、GLVを使った2005年にちなんだ2005インチ(9M*50M)というとてつもないスクリーンを用意する。
そこで世界初の三色レーザーを使った映像という気持ち悪い(クオリティの高い)くらいの映像を見ていただく。

・ソニーが率先してリアルのHDワールドを追っていく。撮る方から出す方までHDをやっていく。
イメージングデバイスを持っている強みを生かして、とにかくリアルなHDを投入していく。
ゲームも当然フルHDに持っていくし、映画もBDも含めてHDに行くことで、フルHD、スーパーHDというのをやっていく。

・そうなるとCellの出番かなと思っている。今日ほとんどCellについて話す予定はないが、
ひとつのHDのストリームをこなすくらいなら、いろんなメディアエンジンでできる。
家の中の複数のHDの、しかもスーパーHDの信号を自在に操ろうと思うと大変なコンピュータ処理が必要になる。
そういった大変な処理を既存のAV用のメディアプロセッサや、PC用のプロセッサでとても処理できないのは自明で、
やはりそこへ向けての開発をしなければいけない、ということでCellの開発が進んでいる。
今日はCellについてはここまで。

・我々は今までスゴ録を中心に大暴れして、これもさっきのグランドベガではないがダークホースってやつで、
我々の期待を上回る販売をしている。やはりそれは心をこめてつくったいろんな技術であるとか、
おまかせまる録であるとかが皆さんに受け入れられたと思うのですが、この技術をさらに展開し、
2004年の秋モデルは他のところも含めてソニーのもてる技術を横展開していく。

・最近ソニーはスランプと言われ、この歴史を見ると私が入社した75年以来、何度も神話とスランプと再生を繰返してきたが、
確実にソニーグループは変わりつつある。それは技術で変わりつつある。ソニーグループの技術を開花させていきたい。
何でソニーが競争力を取り戻すかというと、それはイノベーションであって技術であると皆さんに宣言させていただく。

・エレクトロニクスとエンターテインメントの融合をするところで最大の成功はゲーム、
SCEのプレイステーションではなかったかと思います。
Entertainment meets Technologyということで、本当に今までエンターテインメントはハードとソフトと言いますが、
今までエンターテインメントと技術は離れていた。そこを融合することによって全く新しい市場をつくりだすことができた。

・初代PSは歴史上初1億台となり、ありとあらゆる記録をソフトもハードも抜いた。
PS2においては圧倒的なナンバー1で、よくフォーマット戦争とかあったが、
PS2の世代は全世界で圧倒的なナンバー1のポジションを堅持することができている。
2世代続いてこうなったのも初めてらしいのですが、これは次に向かう元気が湧いてくる結果だと思う。

・PSPは21世紀のウォークマンがテーマだが、携帯ゲーム機として着実なスタートを切りたい。
今のところプレイステーションを始める時と同じくらいのポジティブなサポートをいただいている。
我々としても自らが楽しんでPSPを開発している。
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