湘南文芸今月のテーマは走と降。定例合評会は3月5日(月)14:00から。作品提出締切は3月2日(金)です。
では、新しい共通テーマ「走」でAが書いた詩を投稿します。
遁走願望
地元を離れている間
招かれざる客として
滑りやすい靴底で
天上の土を踏んでいた
隙を見せないよう
足を靴に押し込んで
紐を強く縛っていたから
ぎっしり並んだ趾たちが
いがみ合い押し合い
それぞれ脱走したがっていた
一本ずつ自由に
してやりたいけど
できないよ
還ってから百日経って
だいたいわたしには
地元がないことに気づいた
素足の下は砂だ
ここはいわば砂元だ
ぎっしりと押し合いながら
砂が締っている
脆くてしっかりした
わたしの砂の城
趾たちは
互いに少しだけ距離を置き
意外と不自由な砂たちを
くすぐったりしている
趾も砂もわたしも中途半端に
脱出したがっている
では、新しい共通テーマ「走」でAが書いた詩を投稿します。
遁走願望
地元を離れている間
招かれざる客として
滑りやすい靴底で
天上の土を踏んでいた
隙を見せないよう
足を靴に押し込んで
紐を強く縛っていたから
ぎっしり並んだ趾たちが
いがみ合い押し合い
それぞれ脱走したがっていた
一本ずつ自由に
してやりたいけど
できないよ
還ってから百日経って
だいたいわたしには
地元がないことに気づいた
素足の下は砂だ
ここはいわば砂元だ
ぎっしりと押し合いながら
砂が締っている
脆くてしっかりした
わたしの砂の城
趾たちは
互いに少しだけ距離を置き
意外と不自由な砂たちを
くすぐったりしている
趾も砂もわたしも中途半端に
脱出したがっている