湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

走の詩パート1

2018-02-11 00:32:18 | オリジナル
湘南文芸今月のテーマは。定例合評会は3月5日(月)14:00から。作品提出締切は3月2日(金)です。
では、新しい共通テーマ「走」でAが書いた詩を投稿します。

遁走願望

地元を離れている間
招かれざる客として
滑りやすい靴底で
天上の土を踏んでいた

隙を見せないよう
足を靴に押し込んで
紐を強く縛っていたから
ぎっしり並んだ趾たちが
いがみ合い押し合い
それぞれ脱走したがっていた
一本ずつ自由に
してやりたいけど
できないよ

還ってから百日経って
だいたいわたしには
地元がないことに気づいた
素足の下は砂だ
ここはいわば砂元だ
ぎっしりと押し合いながら
砂が締っている
脆くてしっかりした
わたしの砂の城

趾たちは
互いに少しだけ距離を置き
意外と不自由な砂たちを
くすぐったりしている
趾も砂もわたしも中途半端に
脱出したがっている


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