Rhythm Technique Fightingspirits

ユースサッカーを中心としたサッカー観戦記やサッカーに関する個人的な意見の書き込みが中心です。

戦術的ピリオダイゼーション理論

2010年02月17日 22時51分10秒 | その他
戦術的ピリオダイゼーション理論(以下PTP)
約30年前にポルトガル人のヴィクトル・フラーデ氏が発案したサッカー専門のトレーニング理論。
同理論を採用しているジョゼ・モウリーニョ氏(現インテル監督)がFCポルトやチェルシーで目覚しい結果を残すにつれて同理論の注目度がスペインを中心に近年高まっている。

私も興味があったので少し調べてみました。参考にしたのはスペインでFCバルセロナスクールコーチをしている村松尚登氏の著書「テクニックはあるがサッカーが下手な日本人」(ランダムハウス講談社)という本と、その村松氏が筑波大学でPTPについての講演会を行ったときの動画が某動画サイトにあったので(約5分の動画が1〜50まで計約2時間)それを参考にしました。


PTPについて調べてまずわかったことは、一言では言い表すことの難しい理論だということ。
最初は「何のこっちゃ意味わからん」という感じでしたが、少しずつ内容がわかるにしたがって、日本サッカーがうまくなる為には、出来る限り若年層からこの理論を活用した練習をする必要があると感じました。

PTPを私なりの言葉でわかりやすく表現すると、「出来る限り実戦に近い環境を普段の練習から作り出し、それを反復し体に覚え込ませる」ということになると思います。

本の文書を引用しながらもう少し細かく説明します。
・ サッカーの試合はあまりにも多くの構成要素が相互に影響を及ぼしあっている複雑な事象であるため次の展開を予測することは出来ない。
・ しばしば「サッカー=技術+戦術+体力+精神力」と表現されるが、サッカーの試合の1場面を切り取った場合、その1場面が技術だけだったり体力だけということはありえない。
・ 要素ごとに細分化してトレーニング(技術だけのトレーニングや体力だけのトレーニング)するのではなく、「サッカーをサッカーのままトレーニングする」
・ サッカーの本質(特徴) を反復練習して習慣化させる。
・ 技術・戦術・ドリブル・パス・シュートなど分割したトレーニングをした場合、サッカーの試合でマイナスになりえる行動を選手達に習慣化させてしまう危険性がある。例えばボールを奪いに行かないことの習慣化、声を出して指示を出さないことの習慣化、攻守を切り離して考えることの習慣化、素早い攻守の切り替えを行わないことの習慣化、状況判断を伴わない個人プレーの習慣化、試合のリズムを考えないことの習慣化など。
・ 守備の準備をしながら攻撃し、攻撃の準備をしながら守備をすることを習慣化できるように練習メニューを工夫する。
・ 各自で決めたチームのプレーモデルを習慣化させることがPTPの練習の目的、つまり考えなくても体が反応する状態まで持っていく。
・ PTP自体は具体的な練習メニューを提示してはくれない。なぜなら各チームのプレーモデルは千差万別で、そのプレーモデルを習慣化させる練習メニューは各監督自身が創造しなければならない。
・ PTPは単なるトレーニング理論の枠を超えてサッカー哲学のようなもの。
・ 練習と試合の境界線が極力無くなるような練習を行う。
・ 次の展開が予測不可能な出来事の連続こそがサッカーの本質であり、その想定外の出来事の対応策を練り習慣化させる。
・ サッカーを細かく分解してトレーニングするのではなく「サッカーそのものをトレーニングする」つまり「日常練習の試合化」が最も簡単なPTP実戦方法。

最後に著者はこんなことを言っています。「サッカー後進国日本は、先を急ぐあまり、サッカーの本質を理解しないまま、サッカーの全体像を理解する前にサッカーの各部分(技術・戦術・パス・ドリブル・シュートなど)ばかりに目がいってしまい、サッカーを細分化して理解することが習慣化してしまったのではないか。

理解すると「まさにその通り」という感じになりました。今後日本にこのPTPがより普及してほしいと思います。問題はやはりこの理論自体が明確なトレーニング方法を示したものではない漠然としたものであるということ。指導者がこの理論を理解したうえで、実際教える選手に練習の意図をうまく伝える必要があります。(実際トレーニングするのは指導者ではなく選手ですから)指導者の力量の問われるトレーニング理論ですね。


最後にPTPとはあまり関係ありませんが本に書かれていた言葉で印象に残った言葉です。
・ スペインの子供にとってサッカーの基本は「駆け引きや賢さ」という意識が強い。
・ 日本は中盤のテクニックのある選手が多いが、それはサッカーの基本が「テクニック」だと考えているからではないか。
・ バルサスクールでは子供( 10歳)に試合分析をさせている。次の試合に影響することはほとんど無いが、習慣化させることによってサッカーが単なるテクニックの集合体ではなく様々な要素が複雑に組み合わさったスポーツであるということを痛感する。
・ 試合の流れは自分達で作り出せるものではなく、様々な要素が複雑に組み合わさって作り出されるもの、「流れを作る」ことは出来ないが「流れを感じる」ことが重要になってくる。
・ 著者の考えるサッカーの特徴(一部)「攻守は表裏一体」「早く走れば良いってものじゃない」「想定外なことばかり」「相手も適応してくる」「適切な状況判断を伴わないテクニックは意味の無いテクニック」「急がば回れ」「駆け引き」
・ サッカーはサッカーをすることでしかうまくなれない。

ジャンル:
ウェブログ
キーワード
サッカーの試合 日本サッカー ランダムハウス講談社 バルセロナ ヴィクトル モウリーニョ ポルトガル人
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック
« 日本高校選抜メンバー | トップ | ヤングサッカーフェスタ 県選抜... »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
TPT理論に共鳴してます (サッカースクールコーチ)
2011-01-06 11:31:44
はじめまして。サッカー指導するオヤジです。生まれてきて半世紀が過ぎました。

指導歴は30年近くなりますが、いろんな書籍を読み、研修会等参加して、指導の仕方を模索し続けておりますが堂々巡りをしていました。

戦術的ピリオダイゼーションは、これこそサッカーが上達するために必要な理論だと思います。一言で言うと・・・を、よくまとめていただいていてうまく引用してほかの指導者に理論を広めていきたいと思います。

この理論をどうバランスよく指導に取り入れていくかが本当に難しいのかもしれませんが、根本のところをぶれないで指導していくと世界で戦える選手が育っていくのではないでしょうか?
1人でも多くの指導者が(特に低年齢の指導者)同じ認識で考えてくれると日本全体のレベルアップにつながるんでしょうけど。

勝手にコメントさせていただきました。

ありがとうございました。
Unknown (玉)
2011-01-07 00:08:09
サッカースクールコーチ様
コメントありがとうございます。
自分が本書の中で最も共鳴したのが「サッカーを細分化している」という部分でした。
一連の流れのなかで技術が活きるよう意識して練習することが重要だと感じます。

小学生などがリフティングの練習で「
なぜ試合ではほとんど使わないリフティングを練習するのか?」という事を意識しているのか?ただ回数ばかり意識してることはないか?
身近な例を言うとそういった意識的な事をこのPTPでは言っているのだと思っています。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL