蔵書目録

明治・大正・昭和:来日舞踊家、音楽教育家、来日音楽家、音譜・楽器目録、士官教育、軍内対立、医学教育、林彪、北京之春 

『斧 (アンナ夫人推薦音楽会記念号)』 (1921.4)

2015年12月08日 | 来日ヴァイオリニスト
  

   アンナ夫人推薦の辞

 露国楽聖アウヱル氏門下の秀才閨秀提琴家アンナ夫人は来朝以来既に数年その偉才を抱かれながら未だ一度もステージに立たれざりしこと実に我国音楽界にとりて惜むべきである。我社茲に懇請してその推薦音楽会を開催する所以である。

 アンナ女史小伝

   

 アンナ女史は一八九五年三月一日(明治二十八年三月十四日)露国ブヽノフ家に生る。ブヽノフ家は一族皆海軍々人で女史の祖父はボルチツク艦隊司令官たりし人であり、伯父の一人は現にこの革命以前まで海軍次官を勤めて居り、また父君の妹に当る叔母の夫は海軍大学長の職にあつた。然るに女史の父君はその性格が斯う云ふ社会とは調和出来ぬことを自ら悟られ、身体の虚弱なるを口実として兵学校時代去つて銀行に入つた。思索的なる氏は、その銀行と云ふのも自らの理想と計画とによつて設立したもので、即ち、一八六二年アレクサンドル二世の農奴解放令によつて解放された農民に、実際上生活の安定と健全なる発展とを與へやうとして「農民銀行」を興し、他方、各地に領地を有してゐる所謂貴族(ドヴァリヤニン)の経済を良くしてやる為め、その金を融通すべき「貴族銀行」を設け、兎に角之れを立派な国立銀行の一つまでに作り上げた功のある人である。
 母君はヴルフ家の出であつて女史はより多く其方の血を受継いでゐるのではないかと思はれる。女史の母君の伯父アレクセイ・ニコラエヴイツチ・ヴルフはプシユキンとは竹馬の友でプシユキンの作品の多くのものはヴルフ家の領地三山荘 トルゴルスコエ や大幹荘 ベルノーヴォ やで題材を得てそこで綴つたものであることはプシユキンを知る人達は既に承知さるる筈である。女史母方の祖父ニコライ・イヴァノヴィチは、従来露西亜の貴族の習慣として若い時から近衛の士官として身を立てる予定でペトログラードのイズマイロヴスキイ連隊に来てゐたが音楽の才があつていろゝな作曲をもやり現に同近衛連隊の行進曲なども氏の作になるものである。彼が大尉の時その母から『若し領地の事が気にかゝるなら残念でも隊をやめて帰つて来い』と相談を受け、(父イワンは豪放で家の事など少しも関はぬので)その以後は領地にばかり引き籠り、傍ら同ワヴエリ県のスターレツツ市の裁判官などをしてゐた。彼には息子は末子一人だけで他に五人の娘があつた。そのうち三人は音楽好きで一番上のナタリヤは非常なピアノの名手であつたが嫁いで間もなく産のために早逝し、末のアレキサンドラもピアニストであつたが他の地主に嫁いで都からは遠退いて仕まつた。唯一人真中のアンナ(アンナ女史の母君)が最も熱心で、両親から與へられたピアノの教師からうたの趣味を覚え、つひにうたで身を立てやうと決心するに到つた。その当時(母のアンナ氏が二十歳前後なれば今より半世紀前)の露西亜は今日の日本以上の旧式さで、若い娘など外出する時は必ず伴の者を連れて行かねば許されず、両親か誰かゞ附き添はねばオペラにも芝居にも決して行くべきものではないとされてゐた。従つて音楽会で人の前に立つて演奏するなどは名家の人としては恥づべきこと、まして女がうたを稽古してそれを職として生きて行かうなどゝは滅相もない話だつたのである。母のアンナ氏は両親と意見が合はず、その許しを得られぬ身は家を逃れて独りペトログラードに行き、ソプラノの歌手レオーノワ(グリンカの弟子)の門に入り、うた、殊に各種のオペラを勉強した。斯く一方では自らののどを磨きながら、一方、両親からの支送りを断はつた彼女は人にうたを教へて独立の生計を立て、当時ペトログラード屈指の歌手に数へられるやうになつた。それが偶然アンナ女史の父君と相識るやうになつたのである。前述の如く父君は一見沈黙勝ちの思索的な陰気な性格、一方は女ながらも元気旺盛な積極的な性格でありながらもその心の奥には或る共鳴する何ものかゞあつて、嫁げば必ず今では両親からも許を得た自分の芸術を犠牲にせねばならぬことを覚り、大いに迷ひながらも遂に結婚したのであつた。果して、結婚後父君は他の男に対する感情からもあつて母君の音楽会演奏に出ることを好まなかつたので、聴きに行くことは殆ど欠かさずに行つたにも拘はらず、自身は楽壇から次第に遠かつて行つたのである。
 斯くして自ら楽壇に立つことの出来ない不満を、子供の教育の上に満さうとする大きな力となつてその子供の上に向けられたのである。子供はその胎内に於けるうちから、いろゝのオペラの良い部分を歌ひ聞かされ、子守歌の代りにも亦オペラ等を聞かされた。さうして三人の姉妹共始めは母君から六歳頃からはベルナードヴィツチと云ふピアニストからピアノを習ひ、父君の不賛成にも拘はらず、母君及本人等の非常な希望から、遂に上の姉はピアノ、中の姉は画を、下の妹たるアンナ女史はヴァイオリンを、各その専門とするやうになつた。
 長姉マリア氏はペトログラード音楽院一九〇九年度出身(先年来朝のメイローウイッチ(ミローヴィッチは誤り)と同期)世界的ピアニスト・アンナ・ニコラエヴナ・ヱスポヴァ女史の門に入り、目下ペトログラードにボルシエヴィキの建設した音楽学校の校長である。
 中姉はペトログラード美術院出身の画家兼考古学協会出の考古学者で、現にモスクワ歴史博物館研究員であり、同市女子大学講師であるが、尚ほピアノに長じ、女なるにも拘はらずセロをもひく楽才ある人である。
 かく楽才ある母を母とし、同じ二人の姉を姉として生れたるアンナ女史は、幼児(四歳位から)はその母君より、六歳頃からベルナトーヴィツチよりピアノを教へられ、後ヴァヰオリンを専門と決して約一年先生につきたる上十歳の春音楽院に入学、アウヱルの高弟ナルバンディアンについた。
 当時音楽院にヴァイオリンの教授を担当してゐた人としては、その創立当時来た彼のアウヱルの他に、既に此所に於て養成されたガルキン、クリユーゲル、コルグーエフ、及びナルバンディアンの四人があつて、ナルバンディアンが最もアウヱルの信用厚く同氏の門人はすべて彼が預つて教へてゐた。当時アウヱルは既に六十歳に近い老年の身であり、殊に一年の大半は演奏旅行として或は西ヨーロッパに或はアメリカに赴いてゐたため実際の稽古はみなナルバンディアンが受持つてゐたのである。例へば彼の世界的音楽者として、その音楽会の入場券は余程以前から心掛けねば容易に得られない程の人気を得たヤシャ・ハイフェツツは、二歳の時から父母の規則正しい訓練を受け後音楽院に入つたが、(子供の教育を完全にしたい希望から父親も共に入学)十一歳で最初のコンツェルトを演るまでは全くナルバンディアンから稽古を受け、アウヱルからは一度も教へを受けない程である。
 当時アウヱルの門下としてナルバンディアンの許に居たものは、今のハイフェツツや、彼のピヤストロの兄弟を始め、先頃来朝して人気を湧かせたエルマン、及びエルマン以上に師のアウヱルの信を得てゐたと云はるるチンバリストなどの天才が揃つてゐたのである。その天才揃の中に於て閨秀として第一に指を屈せられたものは吾がアンナ女史でバッハの難曲『シャコーヌ』は古来難曲中の難曲として女には弾くことを許されなかつたが、女史に至つて始めて之れを許された程である。
 女史はナルバンディアンに親しく提琴の教授を受くる傍ら、一九〇七年以後は、ヨーロッパに名高いコンツェルトの歌手ジブツオーヴァルにつき四年間、その後、音楽院の教授で伊太利ランペルヂの高弟なるソンキについてうたを究め、一九一一年同院卒業、学位スワードヌイ・フドージニツクを得た。後、当時ペテログラードに居た小野氏に嫁し(Anna Boubunoff-Onoと称す)夫君帰朝と共に日本に来られたのであるが、其偉大なる才を抱かれながら我国に於ては事情あつて一度もステージに立たれなかつたが、本社の懇願を納れられ、我国最初の演奏会に臨まるゝことになつたのである。

 

 PROGRAMME

    PART Ⅰ
 1.HANDEL : SONATA E DUR ADAGIO CANTARILE, ALLEGRO, LARGO, ALLEGRO NON TROPPO  … … Mme. A. Boubnoff-Ono, Mr. L❜Orange.
 2.BACH  : CIACCONA d-moll  … … … … Mme. A. Boubnoff-Ono.
 3.MOUSSORGUSKY : ARIA DEL❜OPERA “HOVANTSCHINA” … … … … N. Alexandroff
    PART Ⅱ
 4.BRAHMS : a.) BALLADE g-moll.
          b.) RHAPSODIE h-moll.     … … …  Mr. G. L❜Orange
          c.) SCHERZO f-moll.
 5.SARASATE : ZIGEUNERWEISEN … … …  Mme. A. Boubnoff-Ono.
 6.BORODINE : ARIA DE L❜OPERA “ PRINCE IGOR” … … … Mr. N. Alexandroff.
 7.CHOPIN : POLONAISE AS DUR … … …   Mr. G. L❜Orange

  第一部
 一、ヘンデルのソナタ、ホ長調、アダジオ、カンタビレ、アレグロ、ラルゴー、アレグロ ノン トルツポ … アンナ夫人及ロランジュ氏。
 二、バッハの舞曲「チヤツコーナ」 … アンナ夫人。
 三、ムツソルグスキーの歌劇「ハバンスチナ」中の詠嘆詞 … アレキサンドロフ氏。
  第二部
 四、ブラームスの(イ)物語曲、(ト短調)
         (ロ)狂想曲、(ロ短調) … ロランジュ氏
         (ハ)喜戯曲、(ヘ短調)
 五、サラサーデのチゴイネルワイゼン … アンナ夫人。 
 六、バラデインの歌劇「イーゴル公」中の詠嘆詞。 … アレキサンドロフ氏。
 七、ショパンの舞曲ポロネーズ(イ変長調)  … ロランジュ氏

 会員には白、青券は一円引きにいたしますから葉書で御一報下されは会場準備いたしておきます、お出かけ下さい。
 (入場券、 白券四円、青券三円、黄券一・五円)

   推薦音楽会演奏曲解説

 一、ソナタ (ホ長調)  ヘンデル作
           アダジオ カンタビレ、
            アレグロ、
             ラルゴー
              アレグロ ノン トレツポ
    ヴアヰオリン 二重奏   小野アンナ夫人
    ピアノ          ジヨルジ・ロランジユ氏

 二、チヤツコーナ (二短調)  バツハ作   
    ヴアヰオリン独奏  小野アンナ夫人
    バツハのチャツコーナは、彼の作無伴奏の六つのソナタ中第四にあるト短調のものゝ終曲で、その構想雄大なるため、特にこれだけを切り離して演奏されるのを常とする。その技巧と内容との均衡はむしろ驚異とすべきである。
 三、歌劇「ハバンシチナ」中のアリア  ムツソルグスキー作    
    独唱  エン・アレキサンドロフ氏
 
 四、a、物語曲 バラーヂ  (ト短調) 作品百十八、三番
   b、狂想曲 ラプソヂイー(ロ短調) 作品七十九、一番
   c、喜戯曲 スケルツオ (ヘ短調)            ブラームス作
    ピアノ独奏  エヌ・ロランジユ氏<strong>
 五、チイゴイネルワイゼン  サラサーテ作  
    ヴアヰオリン独奏  小野アンナ夫人
  
    此れは西班牙の名手(ヴイルトウオーゾ)の最も通俗的なものの一つとして、普ねく世に知られてゐるもので、ジプシーの陰鬱さうな、もの悲しい歌曲に、極めて軽快な舞曲を配して成るものである。最近に於ては先頃来朝して朝野の血を湧かしめた彼のミツシヤ、エルマン氏に依つても弾かれたものである。
 六、歌劇「イーゴル公」中のアリア  バラデイーン作
    独唱  エン・アレキサンドロフ氏

 七、ポロネーズ (変イ長調)  シヨパン作
    ピアノ独奏  ジー、ロランジユ氏
    

   編輯後記
 □ 愈々音楽会は来る廿五日夕七時より神田青年会館に於て開催、アウエル氏門下の秀才アンナ夫人推薦音楽会とする。会員は白青券各一円引なれば多数の御来場を祈る次第である。本号はその音楽会を記念するため音楽会記念号とする。

   上の文と写真は、批評と紹介 『斧』 四月号 アンナ夫人推薦音楽会記念号 大正十年四月一日発行 に掲載のものである。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「ヂンバリストを聴く」 (1922)

2012年09月14日 | 来日ヴァイオリニスト
 

 ヂンバリストを聴く

 ・敬愛なるツインバリスト氏へ グスターブ・クローン(訳文) 〔下は、原文〕

   

 ・大芸術家の一人       牛山充
 ・地味な態度に感服      萩原英一

 私は明治四十四年の春ベルリーンに到着いたしました。そして其翌々日と記憶して居りますが、ヒィルハルモニー管弦楽団を、前日亡くなりました有名なニイシュといふ人が指揮してチンバリストがチャイコフスキーのコンセルトを弾きました。その頃は未だチンバリストは、それ程有名ではなかったが、何しろ私が独逸へ着いた最初に聴いたので、非常によかったと思ひます。今度も本当の事は解りませんが、その時の印象が残ってゐて非常によい心持で聴きました。
 今度チンバリスト氏が来朝して、私が日本で初めて聴いたのは昨日が初めてであります。
 私はビッタのコンセルルトを目的に期待して聴きに行ったのです。それは多久寅氏が此処(音楽学校)で一度弾いたことがあるからで、チンバリストの聴いた時、一層の感興を添へて大変面白く聴くことが出来たのです。

 ・ヂンバリスト氏と私との対話 田村寛貞

 (帝劇演奏会初日の前夜、徳川頼貞君のところで。

 私『あなたのお名前の読み方は、チンバリストですか、ヂンバリストですか?独逸人はチンバリストといふのだけれど、本当の露語ではヂンバリストだとかきゝましたが、果してさうですか?』
 氏(けゞんな顏をして)『そんなことはありません。露語でも明かにチンバリストと読みます。たゞアクセントの位置がちがひ、独逸語では最初の上にアクセントがあるのですが、ロシア語では最後の綴の上にあるのださうです。それでヂンバリストと云ふのです。』
 私『世界中のヴイオリンの競奏曲 コンチェルト の中で何を一番好んでお弾きになりますか?』
 氏『ブラームス。』
 私『世界中のヴイオリン競奏曲 コンチェルト 中で何の曲が一番難しいですか?』
 氏『勿論ブラームスとベートーベンです……。君はテクニックに就いて聞くのですか、それとも精神的内容に就いて聞くのですか』
 私『それは両方に就いて伺ふのです』
 氏『テクニックに就いては、ブラームスが恐らく世界中で一番難しいでせう。それは御承知の通りブラームスは元来ピアノ弾で、ヴイオリンの事は余り詳しくないので、テクニックの上から見て誠に弾きにくい場所が多いのです。精神的内容から云へば、ブラームスとベートーベンは余ほど同じ難しさです。』
 私『ベートーベンのヴイオリンコンチェルトは旋律が甚だ単純で又あまり面白くありません。殊に第一楽章は少し退屈味の感じがしますが』
 氏『いやその単純な所がクラシックの特長で、その中に口で云へないベートーベンの雄大な感じを現すのが非常に難しいので、然もその単純であれ丈の大きさをもった曲は中々他では見ることが出来ないのです。』
 私『寧ろ第一楽章よりは、第三楽章の方が面白いと思ひますがどうでせう。』
 氏『そうは思はない。第一楽章は実に世界の最大傑作の一つであの驚く可き管絃楽と一緒に演奏する時は実に言語に絶した美しさが現はれてきます。』
 私『チャイコフスキーのコンチェルトは中々難しいそうですが、どうですか。』
 氏『何、君チャイコフスキイは前の二つと比較に成るものですか。それは段違ひに容易しいです。』
 私『それでは前の二つにつゞく難しいヴイオリンコンチェルトは誰のですか。』
 氏『マクス、ブルッフです。ブルッフの曲も中々難しいし、又なかゝ綺麗です。』
 私『パガニーニはどうですか。』
 氏『パガニーニは之も中々難しいですが、前の二つに比べると幾分か容易しいです。幾らかテクニックの弾き具合が違ふので、一寸骨も折れますけれど、全体から云へば前の二つより少しやさしいです。』
 私『ヴエータンやヰーニアフスキーなどは何んなものですか。』
 氏『それ等も中々難しいです。けれ共矢張前の二つよりも大分やさしいです。』
 私『それではサンサーンスはどんなものですか。』
 氏『それ等は比較的やさしい曲です。先づ競奏曲の中では中位のところでせう。』
 私『世界中のコンチェルトの中で一番どれが最も綺麗な曲ですか。』
 氏『それは非常に難しい質問です。』
 私『私が之れまで聞いた中ではメンデルスゾーンですが、そうではありませんか。』
 氏『メンデルスゾーンは中々綺麗です。恐らくいつまでも、あの美しさは失はずに残ってゆくでせう。メンデルスゾーンのコンチェルトの中では第三楽章が一番難しくもあり、又綺麗です。』
 私『それはテンポーが早いから難しいのですか。』
 氏『そればかりではありません。テクニックが中々弾きこなし難いのです。』
 私『一体世界中のヴイオリンの中で何が一番難しいですか。』
 氏『それも難しい質問です。』
 私『バッハのシャコンヌなど最も難しいではありますまいか。』
 氏『恐らくそうでせう。バッハのソナタは今日から見て、割に単純ではありますが、クラシック独特のテクニックが必要としますから、ヴイオリン弾にとって特別の技術と又理解力が必要で従ってあの曲などは、僅かに八章節から成って、すぐテーマが変化して、幾度となく現はれるので、実際聴く人の知らない苦心を要します。』
 私『サンリューバンのルチアのゼックステットは中々いゝ曲ですが、あれは世界で難しい曲ではありませんでせうか。』
 氏『何あなた、あう云ふ曲はみかけ程難しい曲ではありません。バッハのソナタなんかには比較になるものですか。然し中々綺麗ですな。』
 私『ヰーニアスキーの中ではどれが最も難曲ですか。』
 氏『勿論第一コンチェルトです。』
 私『その次は何ですか。』
 氏『第二コンチェルトです。』
 私『スーヴニールドウモスコーやポーゼンはどんなものでせうか。』
 氏『それはあなた、コンチェルトに比較出来るものですか。あゝ云ふ曲は実際のところあまり骨は折れません。』
 私『あなたがお聴きになりました世界のヴイオリン弾きの中で、どう云ふ人が最も偉い弾手ですか。』
 氏『古い人では私の先生のアウェ ルとイザイエです、新しいところで私の好きな人は、クライスラーとハイフェッツとエルマンです。』
 私『此の三人の中では誰が一番上ですか。』
 氏『それはとても云へません。皆それゞ独特の個性を持って居りますから。』
 私『この三人を一室に集めて、同じ難曲を三十か五十、順番に弾かせて見たら解るのでせう。』
 氏『それは駄目です。アメリカで一度そう云ふ事をやつて見て、大勢の批評家に意見を云はせて見ましたが、意見がまちゝで皆各々特色があるものですから、何れが一番偉いといふ事などはとても云へたものではありません。』
 私『世界中のコンダクターで誰が一番偉いでせうか。』
 氏『それは殆んど問題にはなりません。勿論ニッキッシュでした。』
 私『その次は誰ですか。』
 氏『少し段が離れて、カルホルニヤに居るストコフスキーです。』
 私『ワインガルトナーやメンゲルベルヒはどうですか。』
 氏『この人達も随分偉い人ですが、矢張ニッキッシュに競べると段ちがひに落ちます。』
 私『イザイェはシンシナティで弾者をやって居るやうですが、何うですか。』
 氏『いや何うも拙劣な弾者です。』
 私『イザイェはこの頃ソロは弾かないやうですがどうですか。』
 氏『五年以来あまり弾きません。』
 私『今も未だ昔のやうに上手でせうか。』
 氏『それは何とも云へませんが、最後に私が聴いた時の印象は実に非常な見事なものでした。此後に聴いて、あのいゝ印象を傷つけたく無いと思って居ります。』
 私『イザイェは作曲するやうですが、作曲者としては何ですか。』
 氏『いや、あまり大した者ではないやうです。』
 私『一体あなたはオーケストラの伴奏で弾くのと、ピアノの伴奏で弾くのと、何れがお好きですか。』
 氏『それは無論オーケストラの伴奏です。』
 私『然し、もしそのオーケストラが下手でしたらどうですか。』
 氏『いや、そいつは真つ平御免です。』
 私『一体世界のオーケストラで何処のが最も上手ですか。』
 氏『ヒィワデルヒャとウヰーンです。』
 私『大概何人位ですか。』
 氏『百人内外です。』
 私『それは都会のオーケストラですか、それ共学校のオーケストラですか。』
 氏『市でもってゐるオーケストラです。』
 私『私はボストンのが世界で有名のものと聞いて居りましたが、そうではありませんか。』
 氏『以前はそうでしたが、近頃はヒィワデルヒャのより少し落ちます。』
 私『ローマにも中々いゝオーケストラがあるそうですが、何うですか。』
 氏『中々いゝですが特に第一流といふ訳ではありません。』
 私『ドイツにはいゝオーケストラがあるでせう。』
 氏『いや、ドイツには何処へ行つても、どんな小さな街へ行ってもオーケストラがあります。そうして頗る上手なのもあれば、甚だ拙劣なものもあります。』
 私『何処のが一番良う御ざんすか。』
 氏『無論ベルーリンのフィルハルモニーです。』
 私『拙劣なのは何処のが拙劣ですか。』
 氏『小さな街のはいけません。』
 私『小さい街と喩へば何処です。』
 氏『ゴータなどです。』
 私『ロストックなどはどうですか。』
 氏『矢張いけませんな。』
 私『イギリスやフランスにはいゝオーケストラはありませんか。』
 氏『中々いゝのもありますが、世界第一流には入りにくいです。』
 私『世界中の音楽堂で何処のが一番いゝですか。』
 氏『世界には音楽堂が沢山ありますからそれも難しい質問です。然しボストンの音楽堂などは確に最もいゝ音楽堂の一つです。』
 私『それは市の音楽堂ですか。』
 氏『それは市とも関係がありますが、つまりオーケストラの団体に属してゐるのです。尚ソートレーキのモルモンの会場なども非常にいゝ会堂です。』
 私『あゝ、あのテバナクルの事ですか。確か二万人とかは入れて世界第一のパイプオルガンのある所でせう。』
 氏『そうです。然しそんなにはは入れませんよ。確か五六千人位でせう。』
 私『ドイツにはいゝ音楽堂があるでせうか、どうでせう。』
 氏『あります。中々いゝのが沢山あります。』
 私『喩へば何処のが一番良う御ざんすか。』
 氏『先づベルリーンのヒルハㇽモニーの楽堂などはそうでせう。ベートーベンザールも中々いゝです。』
 私『一体あなたは大勢の前で弾くのと、割合い少い聴手の前で弾くのと何れがお好きです。』
 氏『いや、あまり多い聴手よりも少い方が好きです。』
 私『大概何人位のところが一番好ですか。』
 氏『先づ千五百人位の聴手が一番いゝと思ひます。』
 私『失礼ですが、あなたの奥様は何処の国のお方ですか。』
 氏『ルーマニヤです。』
 私『グルックといふお名前がドイツ人のやうですが、何か先祖の関係が御ざいますか。』
 氏『何か関係はあるでせうが知りません。然しこのグルックといふ名前は舞台名ですよ。』
 私『それでは本名は何んとおっしゃいますか。』
 氏『さあ、何んと云ひましたか。』(とこゝに至って側に居た心理学者の上野文学士などゝ、自分の女房の名前を知らないのは随分のん気な話だなあと大笑ひしました。)
 私『奥様は歌をドイツでお習ひになったのですか。』
 氏『いゝえ、殆どあれはドイツへ行った事が無いのです。』
 私『あなたは何処にお住居ですか。』
 氏『ニューヨークです。両親がライプチッヒに居るものですから今度帰宅したら、ライプチッヒへ行くつもりです。』
 私『初めてドイツへお出になりました頃ヨハヒムのヴイオリンをお聴きになりましたか。』
 氏『いや私は不幸にしてヨハヒムを聴かずにしまひました。私がベルリーンへ到着したのは、ヨハヒムが死んでから三週間ばかり経ってからです。』
 私『あゝ、それでは千九百十年の夏ですね。』
 氏『そうです。十年の八月の末か九月でした。』
 私『あなたはサラサーテをお聴きになりましたか。』
 氏『何遍も聴きました。』
 私『サラサーテのヴイオリンは如何ですか。』
 氏『いや、どうも絶美です。そのテクニックに至っては、何人も匹敵する事は出来ません。只その精神上の表出に至っては別に世界第一といふ訳ではありません。』
 私『あなたの先生のアウエルは今はどこに居られますか。』
 氏『今はニューヨークです、五年前いロシアから逃げて来た時は殆ど洋服一枚でした。』
 私『ロシアの労農政府は芸術家を中々尊敬するそうですが、一体アウエルの財産を没収して仕舞ったのですか。』
 氏『そうです、悉く没収したのです。』
 私『今度は何処と何処で演奏なさるのですか。』
 氏『帝劇で五回、横浜で二回、名古屋で二回、京都で二回、大阪で二回、神戸で一回、岡山で一回、福岡で一回、順序はよく知りません。』
 私『それでは可なりお忙しくて日本を見物する日程はありませんね。』
 氏『どうも無いやうです。甚だ残念ですが、仕方がありません。然し京都の方へ行く時に富士山が見えるやうですね。』
 私『見えますが、それなら昼汽車でお出にならないといけません夜行では駄目ですよ。それであなたは日本の外で東洋で演奏なさいますか。』
 氏『上海と、香港と、マニラでやります。』
 私『南洋の方へはお出になりませんか。』
 氏『ジャバーと印度から招待されましたけれども、遠いから行かないで、直ぐアメリカへ帰る心算です。それに南洋は熱いからいけません。』
 私『帰りに又日本へ寄っておやりですか。』
 氏『福岡の帰りか、マニアの帰りか知りませんが、又今月の末か、来月の初めに帝劇で三日間やる心算です。』
 (斯んな事を話してゐる中テーブルの上にあった赤い綺麗なつゝじを見てチンバリスト氏は、)
 氏『綺麗な花ですな、ドイツ語では何んと云ひましたね。』
 私『アツァァーリエンです。ロシアにも御ざいますか。』
 氏『ロシアにあるか何うか私は覚えません。何しろ小さな時ロシアを出て、其後帰っても、恰度この花の時節ではなかったものですから。』
 私『エルマン氏の故郷はオデッサだそうですが、あなたのは何処ですか。』
 氏『ロシアの真中あたりより少し南の辺です。』
 (然し之だけで話してゐる中に特に感じたのは、チンバリスト氏は実に謙遜で、丁寧で、仮初にも出鱈目な返事などはせずに、よく熟考した上に極めて明瞭な答をするやうな、誠に立派な性格をもった人だと思ったことであります。ことに態度の礼儀正しいのには全くもって感服いたしました。徳川頼貞君も、その態度の立派なのを非常に誉めて居ました。
                                  (五月四日夜)

 上の文と写真は、『中央美術』 第八巻 第六号 大正十一年 〔一九二二年〕 六月一日発行 に掲載された。
 
 なお、下の写真は、『音楽グラフ』 八月号 (第三巻 第八号) にある。

 賀の祝をしたアウアーと其弟子

 
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「帝劇のクライスラー音楽会」 (1923.5)

2012年08月11日 | 来日ヴァイオリニスト


 大正十二年 〔一九二三年〕 五月、フリッツ・クライスラー〔Fritz Kreisler〕の帝劇公演の広告絵葉書である。

 帝劇のクライスラー音楽会

 クライスラー提琴大音楽会   自一日至五日毎夕七時半開演  帝国劇場
  
  御入場料   特等 拾五圓 一等 拾三圓 二等 拾圓 三等 四圓 四等 貳圓
  特別一般割引 四月三十日迄に前賣切符お買求めのお方に限る
          特等 十二円 一等 十円  二等 八円 三等 三円 四等 一円五十銭
  特別團體割引 毎日各等二百人丈三十人以上の学生及学生團體に(座席限定)かぎる
         一等 七円 二等 五円 三等 二円

  クライスラー氏は一八五七年 〔一八七五年〕 ヴヰンに生る。氏の父は有名な刀圭家である。併し今日では氏は一個のオーストリヤ人でなく、國籍を超越せる世界人で、氏の藝術は淵のやうに深い、ロマンティシズムなポースを融合させたのが彼獨自の技巧だと云はれる。また氏は人格者として知られ、米國では「紐育の基督」と云はるゝ程の人である。

    

 左の写真:『国際写真情報』 大正十二年 六月号 第二巻 第六号 に掲載されたもの。

  世界的提琴家クライスラー氏を東京駅に迎へた帝劇の女優連。

  Actressess of the Imperial Theatre welcoming Mr. Kreisler, a famous violinist of the world, at Tokyo Station.

 右の写真:『写真通信』 大正十二年 六月号 第一百十二号 に掲載されたもの。

  名提琴家クライスラー氏を迎へて

  蓄音器のレコードで既にお馴染みのヴアイオリンの世界的名手クライスラー氏が我国を訪れ五月初旬帝劇で霊腕を振ひ聴衆に深き印象を刻みつけた。五月三日には畏くも秩父宮久邇宮両殿下台臨を給ひ名ヴアイオリニストは見に余る光栄に号泣した。甲冑界の新人三島章道子は千駄ヶ谷の自邸に遠来の珍客を招待し盛大な園遊会を催した。写真中央は三島子爵邸に於ける園遊会で右図は帝劇で演奏を終へた同氏左図は帝劇御成りの秩父久邇宮両殿下

 MR. KLEISLER, POSSESSOR OF THE WORLD-WIDE FAME ON VIOLIN COMES TO JAPAN

 

 表紙には、「提琴界の覇王 クライスラー 〔Fritz Kreisler〕 氏演奏会 伴奏 ミハエル・ラパイゼン 〔MICHAEL RACHEISEN〕氏 〔大正十二年:一九二三年〕 五月十四日(月) 十五日(火) 両夜七時半 於 岡崎公会堂 主催 京都フヰルハーモニツク ソサイエテー 後援 大阪毎日新聞社京都支局 会員券 八圓・五圓・参圓・学生券貳圓」とある。
22.4センチ、二つ折れ。

 

 上は、「クライスラーと音楽同好俱楽部並にフィルハーモニー・ソサイエティーの人々 大正十二年五月十四日稲畑邸にて」〔『京都音楽史』 一九四二年〕
   
 下は、日文のプログラムである。

    曲目

   五月十四日

 1.クロイツエル ソナタ 作品四七 ‥‥ ベートーヴエン
      アダヂオ ソステヌート
        プレスト
           アンダンテ コン ヴアリアチオーニ
 
 2.コンチエルト ホ短調 作品六七 ‥‥ メンデルスゾーン
      アレグロ モルト アツパツシヨナート
        アルレグレツト ノン トロツポ
           アルレグロ モルト ヴイヴアチエ

             休憩

 3.イ)ロンド ト長調   ‥‥ モツアルト
  ロ)ワルツ       ‥‥ ブラームスーホツチスタイン
  ハ)ユーモレスク    ‥‥ ドボルヂヤツクークライスラー
  ニ)カプリス・ヴエノア ‥‥ クライスラー
  ホ)タムボラン・シノア ‥‥ クライスラー

    五月十五日

 1.ソナタ ホ長調 ‥‥ バツハ
      プレリュード
        ガボツト
           ミヌエツト 1-2
             ヂーグ
 
 2.コンチエルト 第一 ト短調 作品二六 ‥‥ ブルツク
      プレリュード
        アレグロ モデラート
           アダヂオ
             アルレグロ エネルヂゴ

             休憩

 3.イ)上藹         ‥‥ クープランークライスラー
  ロ)ヴエリエーシヨンス  ‥‥ タルテイーニークライスラー
  ハ)ロンド ニー長調   ‥‥ シューベルトーフリードベルヒ
  ニ)印度人の哀歌     ‥‥ ドボルヂヤツクークライスラー
  ホ)古都ウインナのワルツ 三曲 ‥‥ クライスラー
      1.哀しき恋 2.麗しきロズマリン 3.恋の歓び

 なお、裏表紙は、「大丸呉服店」の広告である。



表紙には、「クライスラー 演奏曲目解説」とあり、「発行所 東京 山野楽器店 銀座」とある。表紙の写真下には、「横浜港内グラント号に於けるクライスラー氏夫妻」とある。19.3センチ、序(大正十二年 〔一九二三年〕 四月二十三日 解説者識)・本文11頁。広告2頁。
 内容は、「クライスラーの演奏曲目 門馬直衛解説」である。一から十五までで、曲目・解説がある。
 下は、その曲目である〔解説は省略〕。

一、(イ)コンチエルト は長調 ‥‥ ヴイヴアルデイ作曲
    (a)アレグロ・エネルジコ
    (b)アンダンテ・ドロローズ
    (c)アレグロ・モルト
   (ロ)前奏曲と快速曲 ‥‥ プニアーニ作曲
 
 ニ、ソナタ と短調 ‥‥ バッハ作曲  
   (a)アダジオ (b)フーゲ (c)シゝリアノ (d)プレスト
 
 三、(イ)アンダンテイノ ‥‥ パドレ・マルテイニ作曲
                 クライスラー編曲
   (ロ)ルイ十三世の歌とパヴアーヌ舞曲 ‥‥ クープラン作曲
                         クライスラー作曲
   (ハ)『ロザムンデ』中の舞曲 ‥‥ シユーバート作曲
                     クライスラー編曲
   (ニ)歌劇『金鶏』中の太陽の讃歌 ‥‥ リムスキーコルサコフ作曲
                       クライスラー編曲
   (ホ)カプリス・ヴイノア ‥‥ クライスラー作曲
   (ヘ)タンブラン・シノア ‥‥ クライスラー作曲
 
 四、クロイツアー・ソナタ作品四十七番 ‥‥ ベートーヴェン作曲
   (a) アダジオ・ソステヌート
   (b) プレスト
   (c) アンダンテ・コン・バリアチオーニ
 
 五、コンチエルトE短調作品六十四番 ‥‥ メンデルスゾーン作曲
   (a) アフグロ・モルト・アツパショナート
   (b) アレグレット・マノン、トロッポ
   (c) カレグロ・モルト・ブイバーヂエ
 
 六、(イ)旋律 ‥‥ グルツク作曲
   (ロ)ロンドG長調 ‥‥ モツアルト作曲
   (ハ)ワルツ ‥‥ プラームス作曲
              ホツホシタイン編曲
   (ニ)ロータス・ランド ‥‥ シリル・スツコト作曲
   (ホ)二つの狂想曲 ‥‥ パガニーニ作曲
                   クライスラー編曲
    (a)B短調 (b)E短調
 
 七、ソナタ ‥‥ バツハ作曲
    (a)前奏曲
    (b)ガヴオツト
    (c)メヌエツト
    (d)ジイグ
 
 八、コンチエルトG短調作品二十六番 ‥‥ マツクス・ブルツフ作
    (a)前奏曲 (b)終曲
 
 九、(イ)ラ・プレシユーズ ‥‥ クープラン作曲
                     クライスラー編曲
   (ロ)變奏曲 ‥‥ タルテイニ作曲
               クライスラー編曲
   (ハ)ロンドD長調 ‥‥ シユーバート作曲
                  フリートベルヒ編曲
   (ニ)印度哀傷曲 ‥‥ ドヴオルジヤツク作曲
                  クライスラー編曲
   (ホ)“ウイーンの古代”ワルツ三曲 ‥‥ クライスラー作曲
 
 十、ソナタG長調作品七十八番 ‥‥ ブラームス作曲
   (a)ヴイヴアーチエ・マ・ノン・トロツポ
   (b)アダジヨ
   (c)アングロ・モルト・モデラート

 十一、第二コンチエルト ‥‥ ヴイオツテイ作曲
   (a)モデラート (b)アダジオ (c)アジタート・アツサイ

 十二、(イ)アリア ‥‥ バツハ作曲
    (ロ)メヌエツト ‥‥ ポルポーラ作曲
                 クライスラー編曲
    (ハ)モーマン・ミユジカル ‥‥ シユバート作曲
                        クライスラー編曲
    (ニ)印度の歌 ‥‥ リムスキー・コルサコフ作曲
                 クライスラー編曲
    (ホ)道化役者の小夜曲 ‥‥ クライスラー作曲
    (ヘ)ボヘミア幻想曲 ‥‥ シメタナ作曲

 十三、ソナタC短調作品三十番 ‥‥ ベートーヴエン作曲 
    (a)アレグロ
    (b)アダジオ・カンタビレ
    (c)スケルツオ・アレグロ
    (d)アレグロ

 十四、シヤコンヌ ‥‥ バツハ作曲

 十五、(イ)歌詞 ‥‥ ゴールトマーク作曲
    (ロ)狩(狂想曲) ‥‥ カルテイエー作曲
    (ハ)二つのスラヴ舞曲作品四十六番 ‥‥ ドヴオルジヤツク作曲
                         クライスラー編曲
       (a)G短調 (b)G長調
    (ニ)ロンド・カプリチオーソ ‥‥ サン・サーンス作曲

 広告は、下のビクターレコードのリストである。

     

  ・THE KREISLER RECORDS 〔61枚〕
  ・FRITZ KRELISLER AND HUGO KREISLER - Violin and ‘Cello 〔2枚〕
  ・KREISLER & ZIMBALIST 〔3枚〕
  ・McCORMACK & KREISLER. 〔16枚〕
  ・FARRAR & KREISLER 〔2枚〕

 裏表紙は、「山野楽器店」の広告で、「クライスラーの演奏はビクターレコードに吹込まれてゐます。 ビクターレコードはビクトロラに依つて最も完全に聞かれます。」などの文もある。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「エルマン氏大音楽演奏会曲目」 帝国劇場 (1921.2)

2012年06月26日 | 来日ヴァイオリニスト
 表紙には、「大正拾年 〔一九二一年〕 貮月  十六日(水曜日)十七日(木曜日)十八日(金曜日)十九日(土曜日)二十日(日曜日) 毎夜八時開演 御入場料 特等ー金十五円 一等ー金十二円 二等ー金八円 三等ー金四円 四等ー金二円  エルマン氏大音楽演奏会曲目 バイオリン独奏 ミッシャ・エルマン氏 ピアノ伴奏 アーサー・レッサー氏 出演  帝国劇場」とある。18.3センチ、和紙三つ折れ。

 演奏曲目梗概(二月十九日)〔曲の解説は,省略〕

 一、ソナタ(ト短調)           ‥‥タルティーニ作曲
 二、バイオリン司伴楽第五(イ短調) ‥‥ヴュータン作曲

    休憩 廿分間

 三、(イ)G線にて奏さるゝ歌詞      バッハ作曲
    (ロ)春の声            ‥‥バガニ作曲 フォグリッヒ編曲
    (ハ)ノクターン(夜楽)      ‥‥ショパン作曲 ウイルヘルミ編曲
 四、(イ)ハバネラ            ‥‥サラサーテ作曲
    (ロ)唯わが心悩ぞ知らめ     ‥‥チャイコフスキー作曲 エルマン編曲
    (ハ)ポロネーズ・ブリリアンテ   ‥‥ウィニアウスキー作曲

 -【解説者-大田黒元雄・妹尾幸陽】-

   曲の解説は、次のようなものである〔「ポロネーズ・ブリリアンテ」の場合〕。

   ポロネーズは波蘭土固有の舞踏曲である。而して波蘭土人でありウイニアウスキーは其の形式を用ゐて極めて華麗な此の曲を作つた。而して此の曲は演奏者の技巧を飽く迄も発揮させる。

  伴奏のアーサー・レッサー〔Arthur Loesser〕については、「アーサー・レッサー氏の事」という簡単な紹介記事がある(『帝劇』 40号 大正十五年三月号)。

    

 また、三月十一日・十二日・十三日は、送別演奏会が料金の安いマチネーで開かれた。

 

 表紙には、「大正拾年 〔一九二一年〕 参月  十一日(金曜日)十二日(土曜日)十三日(日曜日) 毎日午後一時開演 エルマン氏送別大演奏会曲目 帝国劇場」とあり、その下は「御木本装身具店」の広告である。22.3センチ、5頁。

 演奏曲目解説(三月十二日)〔曲の解説は、省略〕

  バイオリン独奏 ミッシャ・エルマン氏
  ピアノ伴奏    アーサー・レッサー氏

 一、第三司伴楽(ロ短調)       ‥‥サン・サーン曲
     第一楽章 アレグロ・ノン・トロッポ 
     第二楽章 アンダンティノ・クアシ・アレグレット
     第三楽章 モルト・モデラート・エ・マエストーソ
 二、(イ)イントラダ‥‥ジオヴァンニ・アントニオ・デプラーヌ作曲
             テイヴァダル・ナシエーヌ編曲
    (ロ)リゴウドン‥‥ピエル・アレキサンドル・モンシニイ作曲
    (ハ)メヌエツト(変ほ長調)‥‥ハイドン作曲
                    ブルメスター編曲
 (ニ)シチリアノとリゴウドン  ‥‥フランクール作曲
                     クライスラー編曲
       休憩 廿分間
 三、(イ)コール・ニドライ(作品四十七)‥‥マクス・ブルッフ作曲
    (ロ)預言者の鳥          ‥‥シューマン作曲 アウアー編曲
    (ハ)オリエンタール         ‥‥ヱノ・フーバイ作曲
 四、(イ)メロディー(作品四十二第三) ‥‥チャイコフスキー作曲
    (ロ)小鬼のロンド(作品廿五)   ‥‥バッチニ作曲

      -【解説者-大田黒元雄、妹尾幸陽】-

 

 エルマン氏「日本知己感激奉仕」について 
                                  帝国劇場専務取締役 山本久三郎氏談

   
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「小野アンナ ヴァイオリン独奏会」 神田青年会館 (1923.1)

2012年06月19日 | 来日ヴァイオリニスト
 

 この写真は、『写真通信』 第百八号 大正十二年 〔一九二三年〕 二月号 掲載されたものである。

  金髪のアンナ夫人が日本で初めての独奏会 奇縁に結ばれて彼女は小野夫人となつた
 
 帝都露西亜の覆滅と云ふ暗澹たる場面をバツクとして若い日本の生物学者たる興業銀行副総裁の息小野俊一氏と奇縁に結ばれたロシアの伯爵令嬢アンナ、パブノフさんは小野夫人として来朝後小石川雑司ケ谷所在日本少年寮に収容の少年少女の音楽教授に献身的努力を傾倒してゐるが今度同寮園内に建設される音楽堂資金の一部に充つる為めに一月十三日午後七時から神田青年会館で来朝以来最初の公開ヴァイオリン独奏を為した。舞台上に立るが同夫人左上小野氏宅に於る夫人

 写真の舞台右の演目には、「三、い グルツク・クライスラー 歌詞 ろ プニッーニ・クライスラー 前奏曲ト快速調」と書かれている(?)。
 『回想の小野アンナ』(小野アンナ記念会編 音楽之友社 昭和六十三年)にある「また会う日まで 石井米子」によれば、「当時難曲中の難曲とされた《バッハ無伴奏奏鳴曲》本邦初演というふれこみ」で、この独奏会が開催されたとのことである。
 また、昭和二十六年 〔一九五一年〕の『婦人俱楽部』 五月号 第五六八号 に「日本音楽家の母(小野アンナ女史)‥‥清閑寺健」がある。
 なお、『提琴有情』(松本善三著)には、プログラムの記載もあるが、この独奏会は、アンナ自身の最初の独奏会ではないという。

 

 表紙には、「音楽大演奏会 ヴアイオリン独奏家 アンナ、ブブノフ小野 〔小野アンナ Anna Boubnoff-Ono〕 女史 ピアノ、東京音楽学校教授 ウヰリー、バルダス 〔Willy Bardas〕 氏 主催 京都音楽協会 〔大正十三年:一九二四年〕 四月十四日(月)午后七時 於 岡崎公会堂 指定席 五圓 白券席 三圓 青券席 ニ圓 桃券席 一圓」とあり、「K.M.A.Concert No.7」などともある。20センチ、二つ折れ。

 曲目

 1. ヴアヰオリン・ピアノ合奏 ‥‥ アンナ・ブブノフ小野女史
                   ウヰリー・バルダス氏

    クロイツエル ソナタ 作品第四七   ベートウベン
      アダヂオ ソステヌート
        アンダンテ コン ヴアリアチオーニ
          プレスト

 2. ピアノ独奏 ‥‥ ウヰリー・バルダス氏

    アパシヨナート ソナタ 作品第五七   ベートウベン
      アルレグロ 
        アンダンテ
           アルレグロ

 3.ヴアヰオリン独奏 ‥‥ アンナ・ブブノフ小野女史

    シムホニー エスパニヨーレ 作品第二一  ラロー
      アルレグロ ノン トロツポ
        アンダンテ
           アルレグロ (ロンド)

 4.ピアノ独奏 ‥‥ ウヰリー・バルダス氏

   イ) アムブロムプテユ ロ長調 作品第一四二  シユウベルト
   ロ) ラプソデイー   ト短調         ブラームス
   ハ) スケルツオ    ロ短調         シヨパン

 

 なお、裏表紙の広告は、京都烏丸の高島屋呉服店のものである。

 

 表紙には、「貧困なる在京ロシヤ人達を 救ふために! 小野アンナ 〔Anna Boubnova-Ono〕 夫人提琴独奏会 レオニッド・コハンスキ 〔Leonid Kochanski〕 氏賛助出演 大正十四年 〔一九二五年 〕十一月十八日(日) 午後七時半ヨリ 青山六丁目 青山会館ニ於テ 白券 五圓 青券 三圓 赤券 二圓 学生券 一圓 日露懇話会基金募集」などとある。  

  演奏曲目

   第一部

 1.ベートーヴェン   …    ソナタ 作品第四七
                  (「クロイツエル・ソナタ」)
                  (ヴァイオリン及びピアノ合奏曲)
                アダヂオ ソステヌート、ブレスト、
                   アンダンテ コン ヴァリアチオーニ、
                     ブレスト
 2.サン・サンス    …    イントロダクシヨン と
                  ロンドカプリチオーソ
                (ヴァイオリン独奏曲)

             休憩 - 十五分

   第二部

 3.イ)ルイ・クゥペラン - クライズラァ … {ルイ十三世時代の歌と舞踊
   ロ)シューベルト - ウィルヘルミィ  … アァヴェ マリア
   ハ)グラナトス - クライズラァ    … 西班牙舞踊
   ニ)ドヴォルジャック - クライズラァ … フモレスク
              (ヴァイオリン独奏曲)
 4.イ)デビュシィ   …    序曲 い短調
   ロ)シヨパン    …    夜の調べ 嬰へ長調
   ハ)リスト     …    ラプソディー 第十五番
                 (「ラコチィ 行進曲」)
              (ピアノ独奏曲)
 5.イ)ショパン - ウィルヘルミィ 夜の調べ 変に長調
   ロ)ツィムバリスト …      日本調によれる即興曲
   ハ)ヰ゛ニァアヴスキィ …    ポロネーズ プリラント
              (ヴァイオリン独奏曲)

      ブリュートナー、ピアノ使用
           外国ピアノ輸入商会 廣田楽器商会

 

 なお、裏表紙には、この会の「趣意」および「日露懇話会日本人側会員(ABC順)」がある。

 

 趣意 〔省略〕

 日露懇話会日本人側会員(ABC順)

 荒木貞夫 芦田均    藤沢親雄  福田房男 福村進   今井政吉
 今井時郎 小松原道太郎 小湊不二雄 加藤寅亮 三輪美之輔 宮川船夫
 宮下義信 茂木威一   中島六郎  中村白葉 岡田忠一  大久保俊次郎
 小野俊一 須田正継   山本鼎   八杉貞利 米川正夫

 

 表紙には、「帝国発明協会ノ為ノ 恩賜記念発明奨励基金募集  音楽演奏会曲目 小野アンナ夫人提琴独奏 レオニツド・コハンスキイ教授賛助出演 昭和二年 〔一九二七年〕 三月二十六日(土) 青山日本青年会館ニ於テ 白券 五圓 青券 参圓 赤券 貮圓 学生券 壹圓  主催 発明実施研究所 後援 帝国発明協会」とある。22.7センチ、二つ折。

  

 演奏曲目

   第一部

 1.ブラームス     …    奏鳴曲(ニ短調)

    アレグロ
     アダヂオ
      ウン ポコ プレスト エ コン センチメント
       プレスト アヂタート
 2.グラヅノフ    …    競争曲
                  (ヴアイオリン)

             休憩

   第二部

 3.(イ)プニアーニ = クライズラー … 前奏曲と急速調
   (ロ)クープラン = クライズラー … ルイ13世の歌とパヴアーヌ
   (ハ)モツアルト = クライズラー … ロンド
 4.サンーサーンス           … ハヴァネーイズ
                           (ヴアイオリン)
 5.(イ)デビユツシー          … 前奏曲(へ長調)
   (ロ)  〃              … 金魚
   (ハ)  〃              … レントより遅き舞踏調
   (ニ)  〃              … 雨降る庭
                           (ピアノ)
 6.(イ)リムスキーコルサコフ     … 歌劇“金鶏”中の
       = クライズラー         太陽への讃歌
   (ロ)ウヰニアウスキー       … 華麗なるポロネーズ
                           (ヴアイオリン)

 なお、裏表紙には、「御挨拶 発明実施研究所所員一同」の一文がある。
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「ヤシャ・ハイフェッツ氏 バイオリン大演奏会曲目」 帝国ホテル演芸場 (1923.11) 

2012年03月01日 | 来日ヴァイオリニスト
 

 ヤシャ・ハイフェッツ氏
   バイオリン大演奏会曲目Ⅰ    帝劇経営 帝国ホテル演芸場にて

  大正十二年十一月九日(金曜日)十日(土曜日)十一日(日曜日)午後四時開演 白券 十円 青券 六円

     第一日(九日金曜)曲目

 一、シャコンヌ … トーマソ・ヴィタリ作 レオポルド・シャーリエ編
 二、コンセルト(短に調) … ウ井ーニアウスキー作
     アレグロ・モデラート
     ローマンス・アンダンテ・ノン・トロッポ
     終曲、 ア・ラ・ツィンガラ
   -休憩-
 三、(イ)アベ・マリア … シューベルト作
   (ロ)ミヌエット … モッツアルト作
   (ハ)ノックターン(長に調) … ショパン作 ウィルヘルミ編
   (ニ)苦行僧の合唱 … ベートーベン作 アウァー編
   (ホ)土耳古行進曲 …
 四、(イ)メロディー … チャイコウスキー作
   (ロ)ロンド・デ・ルタン … バッチニ作

       ピアノ伴奏 イシダー・アクロン氏

     スタインウエーピアノ使用(竹内楽器店提供)

 

 楽壇の若き天才

  『新たに熟せんとする果物』
     本年二十四歳のハイフェッツ氏

 世界的大提琴家ハイフェッツ氏は九月下旬帝劇で演奏会を催す筈であったところ、震災の為め中止となって氏は一時支那へ赴いたが、来朝の志望を断念せず本月七日上海から来朝して、九日より三日間帝国ホテルの演芸場で演奏会を開き、荒廃した帝都に芸術復興の第一幕をあげた。

 ヤッシャ・ハイフェッツ氏は千八百九十九年露西亜のウイルナに生まれた、だからことしは二十四歳である。さう言ふ若い世界的のヴァイオリンの天才である。幼時からその匂ひの濃いものがあって、型の如く、露都のレオポルド、アウワア門下となって世に出た。
 露都戦乱と同時に、西伯利線で浦潮斯徳 〔ウラジオストック〕 、敦賀、横浜を経て米国に行った。アメリカの初舞台は千九百十七年、カアネギイ・ホールで演った、一躍して米大陸の人気者になった。アメリカの批評家は氏を指して『新たに熟せんとする果物だ』と言った人がある。新秋の果物の新鮮な大地の匂ひを、氏の芸術に聴くことができたのは快心なことである。

 上の写真と文は、大正十二年 〔一九二三年〕 十一月十四日発行の『アサヒグラフ』 第一巻 第一号 創刊号 に掲載されたものである。

 

 表紙には、「HEIFETZ Programme September 1931 TOKYO-GEKIJO 」とある。内表紙には、「昭和六年 〔一九三一年〕 九月二十六日より四日間 午後七時開演 (毎夕曲目変更) 若き楽聖 (ビクター専属芸術家) ハイフェッツ氏提琴大演奏会曲目 洋楽伴奏 イシドール・アークロン 〔ISIDOR ACHRON〕 氏 入場料 六、〇〇 四、〇〇 二、五〇 東京劇場」とある。

  

 上の写真2枚は、この公演の際、販売されたと思われる絵葉書のもの。

 下は、日文のプログラム〔註は省略〕。 

第一夜演目(九月二十六日)
 
 一、シャコンヌ と短調 ‥‥ヴィターリ 
 二、協奏曲 ほ短調 作品六十四 ‥‥メンデルスゾーン
     アレグロ・モルト・アッパショナート
       アンダンテ
          アレグレット・ノン・トゥロッポ
            アレグロ・ヴィヴァーチェ
   【休憩】
 三、い、G線上の抒情調  ‥‥バッハ
   ろ、ロンド      ‥‥シューバート
   は、亜麻色の髪の娘  ‥‥ドビュッシイ ハルトマン
   に、ホラ・スタッカト ‥‥ディニーク ハイフェッツ
   ほ、ホータ      ‥‥ド・ファイア
 四、キャプリス第二十四  ‥‥パガニーニ アウエル

第二夜演目(九月二十七日)
 
 一、奏鳴曲 い長調 ‥‥セザール・フランク
    アレグレット・ベン・モデラート ー アレグロ
      レチタティヴォ・ファンタジア(ベン・モデラート)
        アレグレット・ポコ・モッソ 
 二、競奏曲 い長調 ‥‥モーツァルト
     アレグロ・アペルト
       アダヂオ
         ロンド(ミヌエット調)
   【休憩】
 三、い、G線上のラルゴ  ‥‥クレラムボー
   ろ、小さい風車    ‥‥クープラン
   は、シシリエンヌ   ‥‥バッハ
   に、前奏曲      ‥‥バッハ クライスラー
 四、い、スラヴ舞曲第二 ほ短調 ‥‥ドゥヴォルザーク
   ろ、ロンド 變ほ調(初演) ‥‥フムメル ハイフェッツ
   は、托鉢僧の聯舞   ‥‥ ベートーフェン アウエル

第三夜演目(九月二十八日)
 
 一、奏鳴曲 變ろ長調 ‥‥モーツァルト
    ラルゴ - アレグロ
      アダーヂオ
        アレグレット 
 二、競奏曲 に短調 ‥‥ウィーニアウスキイ
     アレグロ・モデラート
       ロマンス(アンダンテ・ノン・トゥロッポ)
         アレグロ・コン・フォコ
           ア・ラ・チンガラ(アレグロ・モデラート)
   【休憩】
 三、い、ハバネラ     ‥‥ラヴェル
   ろ、衛兵の進軍    ‥‥コルンゴルド
   は、淋しきリューレに ‥‥シュトラウス
   に、シュマーレイ   ‥‥ミルオー
   ほ、狩猟       ‥‥ゴベール
 四、ジプシイの歌(チゴイネルワイゼン)作品二十 ‥‥サラサーテ

第四夜演目(九月二十九日)
 
 一、クロイツェル・ソナタ 作品四十七 ‥‥ベートーフェン
     アダヂオ・ソステヌート ー プレスト
      アンダンテ・コン・ヴァリアチオーニ
       フィナーレ(プレスト) 
 二、シャコンヌ(無伴奏)
   【休憩】
 三、い、ラ・プリュ・ク・ラント       ‥‥ドビュッシイ
   ろ、ゴリウォッグのケークウォーク  ‥‥ドビュッシイ
   は、前奏曲(歌劇「放蕩息子」より) ‥‥ドビュッシイ
   に、ジプシーの踊(初演)       ‥‥ハルフテル ハイフェッツ
 四、い、ヘブライの曲           ‥‥アークロン
   ろ、ハバネラ              ‥‥サラサーテ

    (スタインウェーピアノ使用:特約店 竹内楽器店)

    

 

 HEIFETZ 
        accompagnement: ISIDOR ACHRON〔イジドル・アクロン〕
           Directeur exclusif: A.Strok

     主催 朝日新聞社会事業団 
 
  名古屋 十月二日    午后七時 於名古屋市公会堂 
  大阪    三日 四日      於朝日会館 
  京都    六日         於京都市公会堂 
  神戸    八日 午后七時三十分 於旧関西学院講堂 

 名古屋・プログラム
 
  1.悪魔の顫音            … タルテイニ作 
 2・交響楽“エスパニョール”     … ラロー作
     アレグロ・ノン・トロツポ
     スケルツアンド
     アンダンテ
     ロンド(アレグロ)
 
         休憩十五分
 
  3.a.ノクターン           …  リリ・ブウランジェ作 
  b.インテルメッツォ・スケルツォ  …  サンゼェル作 
  c.ナヴァラ            …  アルベニス作=ハイフェッツ編 
  d.アルト・ウイン         …  ゴドフスキー作=ハイフェッツ編 
  e.絶えざる律動          …  ノヴァチェツク作 
  4.ロンド・カプリシオーソ      …  サン・サン作

 大阪第一夜・プログラム
 
  1.シアコンヌ            …  ヴイターリ作 
 2.「コンチェルト」ホ短調 作品六四番…  メンデルスゾーン作
      アレグロ・モルト・アツパシオナート
      アンダンテ
      アレグレット・ノン・トロツポ;アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
       
        休憩十五分
 
 3.a.G線上のアリア         …  バッハ作 
   b.ロンド             …  シュウベルト作 
   c.亜麻髪の娘           …  デビユゥシイ作ーハルトマン編 
   d.ホラ・スタカット        …  デイニク作ーハイフェッツ編 
   e.ホタ              …  ド・ファリア作 
  4.カピリス 第二四番イ短調(変奏曲)…  パガニーニ作ーアウア編

 大阪第二夜・ラ・ロシエンヌ・プログラム
 
  1.コンチェルト           …  グラズノフ作
      アレグロ・モデラート
      カンツォネッタ(アンダンテ)
      フィナーレ(アレグロ・ヴィヴァチシモ)
 
  2. コンチェルト‥チヤィコフスキー作 
         休憩十五分
 
  3. a.ロマンス             …  アウア作
   b.テンポ・デイ・ヴァルサ      …  アレンスキー作ーハイフェッツ編
   c.子守歌              …  クイ作
    d.気分               …  ゼ・アクロン作
   e.あな蜂              …  リムスキーコルサコフ作
  4.モスコウの追想           …  ウイニアウスキー作

 京都・プログラム 
 
  1.ソナタ 第九イ短調 作品四七番 “クロイッエル”  …  ベエトヴェン作
      アダチオ・ソステヌート(プレスト)
      アンダンテ・コン・ヴアリアチオニ
      フイナーレ(プレスト)
  2.シアコンヌ    …  (無伴奏) …  バッハ作

         休憩十五分

  3.a.ラ・ブリュ・ク・ラン       …  ドビュツッシ曲
   b.ゴリイウォグのケークウォーク   …
   c.プレリュード(“放蕩息子”より) …
   d.ギターナの踊           …  アルフテル作ーハイフェッツ編
  4.希伯来風のメロデイー        …  サラサアテ作

 神戸・ラ・クラシック・プログラム
 
  1.ソナタ               …  セザル・フランク作
      アレグレツト・ベン・モデラアトーアレグロ
      レヂタチイヴオ・フアンタシア(ベン・モデラート)
      アレグソツト・ポコ・モツソ
  2.コンチェルト イ長調        …  モツアルト作

          休憩十五分

  3.a.G線上のアリア          …  クレラムバウルト作
   b.小さき風車            …  クープラン作
   c.シシリアンヌ           …  バッハ作
   d.プレリュード           …  バッハ作=クライスラー編
  4.a.スラヴォニック・ダンス 2番 ホ短調  …  ドヴォルザツク作
   b.ロンド 変ホ短調         …  ウーメル作=ハイフェッツ編
   c.回教徒の合唱           …  ベェトヴェン作=アウア編

         

 

 上は、ビクターレコードの広告ビラで、ヤッシャ・ハイフェッツの写真とともに、次の記載がある。

 われらの楽聖
 ビクター専属芸術家
    ハイフェッツ氏 吹込レコード  

  ・エストレリータ 火花の円舞曲(舞踊の歌劇)     一三三二 
  ・円舞曲(一)亜麻色の髪の娘 (二)スケルツオ    六六二二 
  ・アヴェ・マリア ロンド                   六六九一 
  ・ヘブライの旋律 ザバテアード              六六九五 
  ・歌の翼に乗りて ホタ バック              六八四八 
  ・妖精の踊り スケルツオ調              ※六一五九 
  ・スパニッシュダンス 導入部とタランテラ舞踏調  ※六一五四 
  ・ツィゴイネルヴァイセン                 ※六一五三  
  
  オルソフオニツク ビクター レコード
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

「ヂンバリスト氏大演奏会曲目」 東京・京都 (1922.5)

2011年07月30日 | 来日ヴァイオリニスト
 表紙には、「ヂンバリスト氏大演奏会曲目 〔大正十一年:一九二二年〕 五月 一日(月曜日) 二日(火曜日) 三日(水曜日) 四日(木曜日) 五日(金曜日) 毎夜七時開演 帝国劇場  御入場料・特等十五円・一等十三円・二等金八円・三等金四円・四等金二円 」とある。二つ折れ、14.8センチ。

      

 楽聖ヂンバリスト氏招聘に就て 
                         帝国劇場専務取締役 山本久三郎氏談

 例へば輸奐を極めた帝劇といふ一大殿堂も沢山な松杙棒や割栗石やが地下に潜んで其の基礎を成して居るやうに、我音楽界も亦私共が盛んに杙や石を打込んで基礎を築かねばならぬ、と、斯やうに私は常に考て居るのであります。曩にエルマン氏やシューマン・ハインク女史を迎えましたのも、今回ヂンバリスト氏に来て戴いたことも、皆んな我音楽界の建設工事に必要欠く可らざる大杙棒であり大礎石であると信ずるのであります。
 ヂンバリスト氏はクライスラー、ハイフェッツ、エルマン及びクベリックの四氏と共に現世界に於ける最も傑出したところの大提琴家である事は夙に諸賢の御承知の事でありますが、氏の芸術はハイフェッツのやうに華やかな処はありませぬが所謂渋味に於て優つて居るのであります、尚ほ其上にもヂンバリスト氏は可成り勝れた作曲家で又此等天才中稀れに見る人格者です、其の幽玄にして神秘的な大芸術と崇高な大人格とは、現夫人である一代の名歌手アルマ・グルック女史を魅了し、遂に彼女の熱烈な恋の対象となった事に依って氏の非凡さが窺はれるのであります。
 私は万障を排して此の楽聖を多忙なアメリカ楽壇から迎へました、朝野有識の士が斯かる巨星の来遊に就いて如何なる用意を持つて居られるか政治界や経済界の名流の来朝に際しては驚く程忠実な方々も、楽界の名士に対しては聊か礼を失する誹りがないでもないのは洵に遺憾に存じます。然し乍ら今夕御来聴の諸賢は芸術の理解者である、取りも直さずヂンバリスト氏の知己である、せめては諸賢に於て心ゆくまで其の絶技に触れ、急霞の如き大拍手を浴せて遠来の労を謝していただきたいのでありますそしてエルマン氏の如くシューマン・ハインク女史の如く、日本及び日本人の文化を氏を通じて欧米人士に宣伝せしむる事は国家の為め一大慶事であらねばなりませぬ。
 楽聖エフレム・ヂンバリスト氏を迎へて、茲に聊か所感を述ぶる次第であります。(文責は筆者杉浦善三に在り)

  

 ヂンバリスト氏演奏曲目 (第二日、五月二日)

 A ソナタ(ほ調) ヘンデル
 B コンチェルト  メンデルズゾオン
     アルレグロ、モルト、アッパシュナート
     アンダンテ
     アルレグロ、モルト、ビバーチェ
     
     -(休憩時間、十五分)-

 A ミュゼット ラモウ
 B ビバゼ ハイドン…アウワア編
 C プレイエラ サラサーテ
 D ザパデアート サラサーテ

     -(休憩時間、十五分)-

   ファウスト幻想曲 グノー…ウイニアウスキー

         (伴奏者グレゴリイ、アッシュマン氏)

  

 表紙には、「ヂンバリスト 〔EFREM ZIMBALIST〕 氏大演奏曲目 〔大正十一年:一九二二年〕 五月十七日(水曜)十八日(木曜) 京都岡崎市公会堂に於て 主催 京都フイルハーモニーソサイエテイー 後援 大阪毎日新聞社京都支局」とある。二つ折れ、14.8センチ。  

 五月十七日演奏曲目    

  第一部  

 1. コンチエルト ‥‥ アントニオ・ビバルデイ 
 2. 西班牙交響曲 ‥‥ ラロー     
     アレグロ       
       ラルゴー         
         プレスト    

  第二部  

 1. a) ロマンザ アンダルウザ ‥‥ サラサーテ  
   b) ホルタ ナヴアラ ‥‥ サラサーテ 
 2. a) プレスリード ‥‥ ヴグナー  
   b) サムプロンツ ‥‥ トア アウリン    
    チゴイネル  ‥‥ ワイゼン(サラサーテ編)  

 五月十八日演奏曲目    

   第一部  

 1. ソナータ ‥‥ パガニーニ 
 2. ローマンス ‥‥ ヴエトウーベン 
 3. タンボリンとサイノア ‥‥ クライスラー 
 4. ハンガリアン・ダンチ ‥‥ ブラムス    

  第二部  

 1. アンダンテ カンタービル ‥‥ チヤイコフチキー 
 2. カルメン「幻想曲」 ‥‥ サラサーテ  
   シャコンヌ(無伴奏独奏) ‥‥ バツハ  

裏表紙は、「高島屋呉服店」の広告で、「音楽演奏 毎日曜日弊店食堂に於て」などの文もある。

 

 表紙には、「ヂンバリスト氏送別大演奏会曲目 帝国劇場 御入場料・特等 金十五円・一等 金十三円・二等 金八円・三等 金四円・四等 金二円 大正十一年 〔一九二二年〕 五月 十九日(金) 二十日(土) 二十一日(日) 毎日一時半開演」とある。
 
 楽聖ヂンバリスト氏招聘に就て  帝国劇場専務取締役 山本久三郎氏談 〔省略〕

  ヂムバリスト氏演奏曲目 (第二日、五月二十日)

 一、甲、古き形式に拠る組曲 ‥‥ヂムバリスト作曲
       プレリュード 
       シシリアンヌ 
       メヌエット 
       ラルゴ 
       フィナーレ
    乙、クロイツェルソナタ   ‥‥ベートーヱ゛ン 〔ベートーヴェン〕 作曲
          休憩十五分
 二、甲、アダーヂョとフーガ  ‥‥バッハ作曲
         (無伴奏)
    乙、ハヴァネーズ   ‥‥サン-サアンス作曲
    丙、レヂェンド     ‥‥ウィーニアフスキー作曲
    丁、マヅルカ     ‥‥ウィーニアフスキー作曲
          休憩十五分
 三、甲、セレナード メランコリック  ‥‥チャイコフスキー作曲
    乙、カブリス ドゥパガニーニ   ‥‥アウエル作曲

   

  

 上の写真は、『歴史写真』 第百八号 大正十一年七月 に掲載された。

 初夏の明るき花園にヂムバリスト氏の送別会   文壇楽壇の諸家が千駄ヶ谷なる三島子邸に於て

 三島章道、土方與志、近衛秀麿、山田耕作、徳田秋声其他文壇、楽壇等の重なる人々五十余名は大正十一年五月二十二日の正午過ぎより東京千駄ヶ谷なる三島子爵邸に来朝中の世界的音楽家ヂムバリスト氏及び伴奏家アシュマン氏を招きて送別の茶話会を催した。奥の広間に於ける歓談に時の移るをも忘れたる人々は軈(やが)て薔薇、芍薬の咲き誇れる花ぞのの一隅に設けられた楽焼場に出でて、我も我もとヂムバリスト氏に署名を乞ひ、同氏は大きなる菓子皿の一枚に『私の赤ん坊の為に‥‥‥』と此日を記念し、四時過ぎ名残惜しく散会した。写真は当日の撮影に係るもので左より小野夫人、ヂムバリスト氏、三島夫人、アシュマン氏、土方夫人等である。 

 ジンバリストは、この送別会の前日の二十一日まで、帝国劇場で三日間の送別演奏会を開いていた。
 なお、小野夫人とは、ジンバリストと同じアウベル門下生の小野アンナ女史で、右の三人は、左より吉屋信子女史、土方伯爵夫人、チエレミシノフ女史である。

 これと同じ写真は、『時事画報』 一百一号 大正十一年七月号 にも掲載された。

 

 上は、大正十三年 〔一九二四年〕 十二月 の帝国劇場での演奏会プログラムである。

 演奏曲目 (十二月三日)

    バイオリン独奏 エフレム・ジンバリスト氏
    ピアノ伴奏   エミル・ベイ氏

 一、古い様式に依る組曲 … ジンバリスト作曲
     プレリュード
     シシリアノ
     ミニュエット
     ラルゴー
     フィナーレ
 二、バイオリン・コンチェルト(ほ短調) … メンデルスゾーン作曲
     アレグロ・モルト・アッパシォナート
     アンダンテ
     アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
            休憩(二十分間)
 三、(イ)、G線上のアリア … バッハ作曲
   (ロ)、ガボット … ゴセック作曲
   (ハ)、ロンディーノ … ベートーベン作曲 クライスラー編曲
   (ニ)、ルイ十三世の歌とパヴァンヌ … クプラン作曲
   (ホ)、タンブラン(小太鼓) … ラモー作曲
            休憩(十分間)
 四、歌劇「カルメン」幻想曲 … サラサーテ作曲

 

 


 表紙には、「ヱフレムヂムバリスト氏提琴大演奏会 第五夜番組 丸の内 帝国劇場 昭和五年 〔一九三〇年〕 九月廿六日より卅日まで毎夕七時開演」などとある。18.2センチ。

 第五夜(九月三十日)

 一、協奏曲 … メンデルスゾーン作

    ア〓レグロ モルト アパッショナート
      アンダンテ
        ア〓レグロ モルト ヴヰヴァーチェ

           休憩十分

 二、奏鳴曲(クロイツェル ソナタ) … ベートーヴェン作

    アダージオ ソステヌート
      プレスト
        アンダンテ コン ヴァリアツィオーネ
          フィナーレ

           休憩十五分

 三、(い)アンダンテ カンタービレ … チャイコフスキ原作
                     アウアー編
   (ろ)ザパデアーデ … サラサーテ作
   (は)波斯の歌   … グリンカ原作
               ツ゛ィムバリスト編
   (に)金鶏     … リムスキイ・コルサコフ原作
               ツ゛ィムバリスト編

         洋琴伴奏 ハリー カウフマン氏

芝三田竹内楽器店提供スタインウエーピアノ提供

  

  

 表紙には、ジンバリストの肖像写真があり、「EFREM ZIMBALIST  (VIOLINIST) IN FIVE RECITALS 7p.m SEPTEMBER,、26th-30th、1932 AT THE TOKYO THEATRE」(エフレム・ジンバリスト 提琴演奏家 五夜連続独奏会 一九三二年 〔昭和七年〕 九月二十六日ー三十日 午後七時)とある。22.1センチ。
 
 第一夜 

  九月二十六日・月曜日  会費 5円・3円・2円

  ① a. 組曲 イ短調 … シンデイング作
       テムポ ジュスト
        アダジオ
         プレスト
    b. 協奏曲 ニ長調 … パガニーニ作
  ② パルテイタ ニ短調(無伴奏) … バッハ作
       アレマンド
        クウラント
         サラバンド
          ジーグ
           シャコンヌ  
  ③ a. ヴァウチセーフ・オ・ロード … ヘンデル作 フレッシュ編
    b. 即興曲           … トール・アウリン作
    c. 来るか来るか        … 山田耕筰作
    d. 森の中で          … パガニーニ作 フォーグリッヒ編
    e. 常動曲           … パガニーニ作
             ピアノ伴奏  シオドア・ザイデンベルグ

 第二夜

  九月二十七日・火曜日

  ① 奏鳴曲 イ調  … ベエト―ヴェン作
     (クロイツェル・ソナタ)
       アダヂオ ソステヌート プレスト
        アンダンテ コン ヴァリアツィオーニ
         プレスト
  ② 協奏曲 ニ短調  … シベリウス作
      アレグロ モデラート
       アダヂオ ディ モルト
        アレグロ マ ノン タント
  ③ a. ジーグフリード布衍曲  … ワグネル作 ウイルヘルミ編
    b. 紡ぎ歌         … ポッパー作 アウアー編
    c. 牧童          … ドッビシー作
    d. ジャズの幻想      … グジコフ作 マッヘン作
             ピアノ伴奏 シオドア・ザイデンベルグ作

 第三夜

  九月二十八日・水曜日

  ① a. 協奏曲 ホ短調  … バッハ作
       アレグロ
        アダヂオ
         アレグロ アッサイ
    b. 前奏曲  … バッハ作 クライスラー編
  ② a. アヴァネーズ  … サンサーンス作
    b. 狂想曲     … サンサーンス作 イザイ編
  ③ a. アダヂオ    … スポール作
    b. 木蔭の踊り   … パガニーニ作 フオグリッヒ作
    c. ニイグン(即興曲)  … ブロッホ作
    d. タランテラ   … シマノフスキイ作
            ピアノ伴奏 シオドア・ザイデンベルグ作

 第四夜

  九月二十九日・木曜日

  ① a. シャコンヌ  … ヴィターリ作
    b. 怪奇な組曲  … アクロン作
     (イ)火花
     (ロ)準円舞曲
     (ハ)めぐみ
     (ニ)渋面
     (ホ)婦人に対する慇勲
     (ヘ)牧歌
     (ト)劇的瞬間
     (チ)グロテスク行進曲
  ② 協奏曲 ト短調  … フバイ作
      イントロダクション スケルツオ
       アダヂオ
        フィナーレ
  ③ a. ひばり  … グリンカ作 アウア編
    b. ダンス  … シリル・スコット作
    c. 維納振り … ゴドウスキー作
    d. 金鷄幻想曲 … リムスキー・コルサコフ作 ヂムバリスト編
          ピアノ伴奏 シオドア・ザイデンベルグ

 第五夜

  九月三十日・金曜日

  ① 奏鳴曲 イ調  … ベエトーヴェン作
        (クロイツェル・ソナタ)
     アダヂオ ソステヌート プレスト
      アンダンテ コン ヴァリアツィオーニ
       プレスト
  ② 協奏曲 ホ短調  … メンデルスゾーン作
     アレグロ モルト アッパショナート
      アンダンテ
       アレグロ モルト ヴィヴァーチェ
  ③ a. アヴェ マリア  … シューベルト作 ウイルヘルミ編
    b. 日本曲に拠る即興曲  … ヂムバリスト作
    c. ブルレスカ    … スーク作
    d. 妖魔のロンド   … バッヅィーニ作
            ピアノ伴奏 シオドア・ザイデンベルグ

          スタインウエイ ピアノ使用
               芝、三田 竹内楽器店 提供

 なお、裏表紙は、「ヂムバリスト氏吹込 コロムビアレコード」11枚の広告である。

  

 エフレム・ジンバリスト〔Efrem Zimbalist〕の札幌公演〔昭和七年:一九三二年十月?)の前売り宣伝チラシである。
 「大提琴家 ヂムバリスト氏 独奏会< 日時 〔一九三二年?〕十月十九日(日曜日)午後七時 会場 札幌市公会堂 主催 札幌音楽協会 後援 アカシア楽器店 司会者 石井春省 前売券 特等 二、五〇 普通 二、〇〇 学生 一、〇〇」などとある。

 なお、昭和十年(一九三五年)の来日では、聶耳〔中華人民共和国国歌作曲者、ヴァイオリニスト〕が日比谷公会堂での彼の演奏を聴いている。

 「五月二十四日午後七時三十分在日比谷公会堂挙行提琴巨匠 Efrem Zimbalist 的提琴和新交響楽団的定期演奏、提琴協奏曲有 Mozart 的 No.5. Amajor 和 Mendelssohn 的 Eminor. 新響管弦楽有:Michael Glinka 的Over-ture to the opera op.64.《Ruslan and Ludmila》和 Fredrich Smetana 的交響楽詩 No.2《Moldau》。遇侯和呉QIONG英。我買了一張Zim. 氏的照片、想找他簽字、向一個外国人打听一下、他説要在散場以後、那時我也没有這様的興致了。」
 〔『聶耳日記』 大衆出版社 より:日本語訳は『聶耳物語』にある〕
コメント
この記事をはてなブックマークに追加