虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

生きる意味10~ファイスブック症候群「偽りのタイプスリップ」②~

2017-07-26 15:20:32 | 小説

 絶対につながるはずのない人たちとの接点・・・。FBというものがなければ、お互いの近況を知ることはなかっただろう。若いころの思い出のまま終わるはずった・・・。

 10代、20代の頃のあのころの記憶のまま・・・。

 柿崎 貴志、51歳。20代の頃は専門学校を卒業しプログラマーとして勤務していた。その後、25歳で退職し、調理師の資格を取り、イタリアンの店で修行した。35歳で雇われ店長まで上りつめだが、40歳の時に突然、オーナーが店を廃業することになり無職となった。

 その後、彼は高齢者の介護施設に勤めながら介護の資格を取得していった。元調理師でもあり、それでいて介護もできる彼の仕事ぶりは高く評価された。

 店のイベントでは、彼が料理をふるまうことで入所たちはとても感激した。そして、彼は猛勉強をして、その後、ケアマネージャーの資格も取る。これにより、彼の仕事はより安定したものになった。

 貴志は31歳で高校時代の後輩と結婚した。相手は市役所に勤務している女性だった。優しくて誠実な女性だった。その後、娘二人に恵まれた。上は高校3年生、下は高校一年生になっている。二人とも地元では有名な進学校に勤めている。

 さて、すっかりフェイスブックで懐かしい人たちの近況を知ることになった貴志は、そこで偶然、ある女性の名前を目にすることになる。

 村木ゆかり、51歳。貴志が28歳から30歳まで付き合った女性だ。つまり、結婚する前に付き合っていた女性ということになる。

 ゆかりは、当時、親の仕事を手伝っていた。両親がレストランやファッション関係の店を経営していた。彼女とは、親戚の紹介で付き合った。

 ゆかりの写真を親戚から手渡されたとき、貴志は、その美人な顔立ちとスレンダーなスタイルに驚いた。こんなにも素敵な女性なら何も親戚の紹介など受けなくても男性がほっとおかないだろう・・・。

 

 しかし、一つ年上のゆかりとの恋愛は、彼にとって一生忘れることのできない思い出として残っている。

 そして、彼女と20年ぶりにFBで再開する。いや、再開したと言っても、まだ友達申請など明らかな接点をもったわけではないのだが・・・。

 20年前にタイムスリップしていた貴志・・・。当時の記憶が蘇っていた。


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