虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

恩人~夏の終わり~

2017-06-18 16:20:33 | 小説


 教員採用試験が終了した。曖昧な手応えとともに、1993年の夏は熱い厚い暑い夏を過ごすことになる。

彼女は少しでも長く休みをとるたに、みんなが取らない8月下旬に夏休みをとった。そして、二人は初めての旅行に
出かけた。


 彼と彼女の初めての旅行は、二人の絆をより強くしてくれた。

ずっとずっとずっと一緒にいられることに二人は限りない喜びを感じていた。好きな人と一緒にいられることが
これほどまでにも楽しいひと時なのかと・・・。

 たくさんたくさん笑った・・・
 たくさんたくさん話をした・・・・
 たくさんたくさん素敵だと思う瞬間があった・・・
 たくさんたくさん触れ合った・・・

 夜、目を覚ますと彼女が傍にいてくれることに何よりも喜びを感じた。そして、再び、抱きしめる・・・。
 今度は反対に彼女が目を覚ます・・・。彼女は自分から彼の胸にしがみつく・・・。
 寝ている時間も好きでいられた・・・。
 
 二人の愛は順調に深まっていった・・・。

 そしてこんなにも楽しいと思える時間はあっという間に過ぎ去っていった・・・。

 季節は夏の終わりを迎えていた。

 彼の採用試験の発表は11月・・・。

 彼は採用試験に合格したら、彼女の両親に挨拶に行こうと思っていた。

 今の彼女になんの不満もない。完璧すぎるほどの彼女・・・。好きで好きでたまらない。その気持ちは変わらない。

 しかし、彼はそんなに素敵な彼女を持つことで、今の自分ならどんなことでもできそうな錯覚に陥っていた。

 それは女性に対してもそう・・・。

 よく浮気をするときは、相手に対して何らかの不満があるという・・・。しかし、そうでもない浮気も存在する。

 誰よりも好きなのに・・・。
 誰よりも彼女が好きなのに・・・。
 誰よりも今の状況を大切にしたいのに・・・。

 弱い人間は、誠実さをなかなか持てない・・・
 特に彼のように口先だけでは誠実さを伝えているが、内面は自分のことばかり・・・。
 自分さえよければ・・・。
 自分のことが優先・・・。

 そんな彼の欺瞞に満ちた性格がこの後、二人の行く末に影響を与える。

 
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