虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

恩人~本当の別れ~

2017-07-05 18:20:04 | 小説


 自分は彼女との別れが許せなかった。彼女が他の男の腕の中で・・・。そんなことを考えただけで
胸が苦しくなった・・・。

 けど、全ては自分の責任だとわかっていても・・・。

 自分から別れを告げることは許されるが、相手からの別れは絶対に認めたくなかった。
どれだけ自分は自己中心的な性格なのかと思う。

 彼女と別れてから何人かの女性と関係を持った・・・。
けど、本気にはなれなかった。彼女が一番素敵なことはわかっていた。けど、彼女は
自分のところにはもう戻ってこない・・・。


 そんな時に自分は何だかもう一度自分を育ててくれたあの街に戻りたくなった。


 彼女の近くにいることから逃れようとしている自分がいた。

 そして、自分は転勤の道を選んだ・・・。

 三月、転勤になることを彼女に告げた・・・。

 感情のこもっていない言葉で、「どこに転勤になったの」と聞かれた。彼女と自分の出会いの地に戻ることに
彼女はなんの興味も示さなかった・・・。

 そして、3月31日、彼はまたあの街へと旅立った・・・。