虚構の世界~昭和42年生まれの男の思い~

昭和42年生まれの男から見た人生の様々な交差点を綴っていきます

恩人~彼女の歌う姿~

2017-06-12 17:03:08 | 小説
 彼女を一言で例えるならば、同性からも異性からも好かれるタイプということ。
明るくて笑顔の素敵な彼女は本当に人から好かれるキャラクター・・・。男性が憧れるタイプ。

 しかし、彼はプライドが高く、理屈っぽい雰囲気を漂わせていそう・・・。同性からも異性からも第一印象は悪いだろう。何だか鼻につく奴という表現が適切だろうか。


 朝方近くまでのんだ二人は、翌日の夕方から会うことになっていった。二人で海を見に行った。

 6月らしい素敵な雰囲気の海だった。


 砂浜を二人で歩いた。彼女の横顔が知的で健康的で素敵だった。


 彼女は心から優しいと感じる場面があった。運転していると「疲れていない」と聞いてきた。

 また、彼が何か食べたいものがあると尋ねても
「食べたいものなら何でも大丈夫だよ」という好意的な返事をしてくれた。

 夜になり一軒の居酒屋に入った。

 今日はお互いのことを確認しながら話をしていた。特に彼女は彼のこれからの人生の予想図を真剣に聞いてくれた。

 「教師になりたい」
 「子供が大好きなんだ」
 「学校という空間が好きなんだ」

 ひたむきに自分の理想とする教師像を彼女は、最大限の雰囲気で聞いてくれた。

 彼女もそう・・・。自分の今までの事。仕事のこと・・・。家族の事・・・。一生懸命に話してくれた。

 彼との大きな違いは、努力を伴った進行形であるということ。彼の語る事柄は偽りの世界であるということ。そこに努力という文字は存在しない。

 二人はその後、彼のなじみの店へと場面をうつした。話が盛り上がったころ、彼女は「私、歌っていい?」と聞いてきた。

 

 彼女の歌声に彼は驚いた。魅力的な歌声だった。彼は一瞬で落ちてしまった
いっても過言ではない・・・・・・。外見も性格も・・・・、そして歌声と、もう彼は
好きで好きでたまらなくなっていた。

 彼女の歌った歌は、当時、ドラマの主題歌になっていた歌だった。


 その歌と彼女の姿に、彼はもう理性を失っていた。近くにいるのに緊張して、胸が
張り裂けそうだった。

 彼もそれなりに女性経験はある。しかし、彼女との出会いは強烈だった。


 強烈な経験したことのない緊張感と鼓動が・・・・・・・。今まで味わったことのない痛みと苦しさだった。