映画少年

映画と音楽を愛し 教育の未来を想う 少年のつぶやき

入学式の記憶

2017-04-13 06:04:32 | 日記


入学式のシーズンだ。
これまで何回入学式に参加してきただろう。
小学校、中学校、高等学校、大学、そして大学院(「少年」なのに? それはさておき)
いずれもよく覚えている。

特に小学校は、ずいぶん前のはずなのに式が終わって記念写真を撮ったときのこともよく覚えている。
確か、名前は思い出せないがすぐ前に赤い服を着た小柄な女の子がいたように思う。
一方、私のとなりには「けんちゃん」がいて、その傍らに彼のお父さんが寄り添っていたことは鮮明に覚えている。
そして、なぜか背広姿のそのお父さんが長靴だったことも。
おそらく入学式から数日後に配られたこの写真を繰り返し見ていたからこうした記憶が残っているのだろう。
また、それが「けんちゃん」とそのお父さんだったのも入学後のちエピソードによるものだろう。。
ちなみに、我が父は写真の右端の一番後ろに立って写っていた。
いつもそんな感じの父だった。

「けんちゃん」と彼のお父さんのことに話を戻そう。
彼の家は私の家からそう遠くない所にあった。
小川のほとりにあったその家は、6歳の子どもから見ても小さく、あえて表現すれば「貧相」な建物だった。
そしてそれは、素人があちこちから建材を集めて自分で建てたような家だった。
初めて「けんちゃん」の家に招かれたとき、家には誰もいなかった。
板の間にござを敷いた薄暗く狭い部屋で何をして遊んだのかまでは記憶にない。
ただ、小さな窓から外を見ると春の小川がさらさらと流れていたことはかすかに覚えているが、
そこで記憶が途絶える・・・。

後で聞いたのだが、彼のお父さんは、日雇いの土木作業員で、入学式の日は、作業現場から駆けつけたのだろう。
そして、服は着替えたものの靴までは調達できなかったのか、長靴だったのだろう。今思えばそんなふう思える。

入学してからしばらくして「けんちゃん」は、学校からいなくなった。転校である。
何処へ行ったかまったくわからなかった。
小学生になって初めて出来た友だちだったのに。
今彼は元気にしているだろうか。元気ならそれでいい。

今年も各地の小学校で入学式が行われ、記念写真が撮られたことだろう。
入学式での校長先生の話は忘れても、記念写真を撮ったときのことを子どもたちは忘れないだろう。
それでいいと思う。

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