山上俊夫・日本と世界あちこち

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北朝鮮のミサイル発射保留をうけ、米韓合同演習を中止して、米朝直接対話をすぐ行え

2017年08月17日 12時36分05秒 | Weblog
 北朝鮮とアメリカとの軍事緊張が高まっている。キューバ危機にもなぞらえる見解が出るほどだ。8月10日には、トランプ大統領が「15日までに彼がグアムに何をするか見てみよう。何かをすれば、誰も見たことがないようなことが北朝鮮で起きる」とその発言をエスカレートさせた。14日にはマティス国防長官が、「(グアム周辺にミサイルが発射されれば)一気に戦争に発展しかねない」と述べた。
 これに対し、14日、北朝鮮の金正恩委員長は「米国の様子をもう少し見守る」とミサイル発射留保を示唆する発言をした。今が米朝直接対話のチャンスだ。これに対し、トランプ大統領は16日、「北朝鮮の金正恩委員長は非常に賢く、非常に筋の通った選択をした。別の選択をすれば、破滅的で容認できない事態になっただろう」とツイッターした。
 だが、国務省のナウアート報道官は15日、北朝鮮がグアムへのミサイルへのミサイル発射を保留しただけでは対話開始の条件としては不十分で、朝鮮半島非核化の意図を示す必要があるとの認識を示している。この時点でそこまで要求したら、うまくいくものもいかなくなる。
 さらにアメリカは、21日から31日まで米韓合同軍事演習を予定している。もしこの軍事演習を強行するなら、すべてがご破算になる可能性が強い。米韓軍事演習は3~4月にも行ったが、この時も北朝鮮は対抗的にミサイル発射をやった。3~4月には、海・空からの攻撃に加え、特殊部隊を上陸させて金正恩氏ら幹部の斬首作戦の演習を行った。今度は期間が11日と前回より短く、コンピューターによる机上演習中心ということだから斬首作戦までやるのかわからないが、北朝鮮からすれば目の前で自国と指導者を壊滅する演習をやられるのは我慢できないことだ。個人レベルで考えれば、自分の家の前で家に殴り込み、命を奪う練習をしている集団がいるとしたらどうだろう。れっきとした犯罪だ。2003年、アメリカがイラクに攻め込みフセイン政権を転覆した事実は北朝鮮を震え上がらせた。それと同じ演習を目の前で繰り返すのは、国連憲章に違反する行為だ。もともと北朝鮮の一連の行為はこのイラクが引き金になっている。イラク戦争は国連憲章違反の100%の侵略戦争だ。米韓合同演習をやるとしても、カリフォルニアの海岸でやればいい。刺激しないように。目の前でやるのは、脅すためにやっているのであり、国連憲章違反だ。北が発射保留をした今、アメリカも演習を中止すべきだ。そうすれば対話はスムーズに進む。
 わたしがこれを考え、ブログに書こうと思っていたら、今日(17日)の『赤旗』に「中国、独ロと外相会談」の記事が載った。中国の王毅外相が15日、独ロ外相と相次いで電話会談をした。王毅氏はロシアのラブロフ外相に「当面の急務は米朝双方が刺激し合う言動にブレーキをかけ、『8月危機』を防ぐことだ」とのべ、ラブロフ氏は「まもなく始まる米韓合同軍事演習で、朝鮮半島情勢は再び激化する可能性がある」「軍事的手段を通じての朝鮮半島核問題の解決は全く受け入れられない」と語った。ドイツのガブリエル外相は、中国が提唱する北朝鮮の核・ミサイル実験と米韓軍事演習の『双方一時中止』の提案に理解と賛同を示したと記事は伝える。中国が提唱し、ドイツが賛同した「双方の一時中止」は次の平和的展開を生む唯一の道だ。
 『朝日』17日付けは、「中国外相、独ロと協議 対北朝鮮 米の批判かわす狙い」との記事を載せた。王毅氏は米韓の軍事演習を念頭に「8月危機はまだ終わっていない」とのべ、対立回避に向け協力を独ロによびかけたと伝えた。協議の中身はこれ以上触れていない。逆にトランプ氏が中国に不満を表明し、14日には中国対象に「通商法301条で」調査を指示した、中国は積極的な対応をアピールしてトランプ政権の対中批判をかわす狙いがありそうだと北京発の記事を結んでいる。だがちょっと変だ。なぜ中国とロシア、特にドイツとの間の協議内容を伝えずに、中国の行動が対中批判をかわすためにやっているという味付けした解釈は納得できない。ドイツは中国の狙いに利用されたのか。21日以後ふたたび危機に突入しかねないぎりぎりの状況の下、真剣な対話開始への努力が必要だ。
 そういう点で、中ロ、特に中独の協議内容は、お互いに武力を使った威嚇をやめるという、国連憲章・国際法にのっとった提案であり、国際的にただちに検討すべきものだ。国際法を認める国ならば、否定できない内容だ。
 それにつけても情けないのは日本の安倍政権だ。すすんで対話開始提案することもなくアメリカに追随するのみだ。中・ロ・独の会談の対象とされていない。15日の安倍記者会見では、かろうじて北朝鮮への「圧力」のことばを初めて外したのが若干の変化か。だが、21日の軍事演習開始をもろ手を挙げて賛成するのか、何の見解ももたないのか。
 14日からの1週間は、対話への好条件が訪れたまたとない期間だ。これを実らせるかどうかは後々に重大な影響をおよぼす。各国政府、マスコミの見識が問われる。
 
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