山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

定時制で志願者があふれる異常事態

2009年03月29日 12時05分34秒 | Weblog
 『朝日新聞』09・3・27付け1面トップに「定時制高 志願者急増 不況…私学回避・雇用不安 大阪や京都定員超え」という見出しの記事がのった。定時制志願があふれたという、日本全体から見れば極めて小さな、世間の片隅の出来事を1面トップで扱った朝日新聞に敬意を表したい。これこそ今の日本の現実を象徴する出来事だし、日本の教育・大阪の教育を象徴する出来事だ。小さな出来事、その細部に真実があるし、本質が隠されている。
 1次で定員に満たなかった学校の2次募集で、募集人員571人に対して756人が出願した。府立の布施高校では、募集24人に対して68人が志願した。寝屋川は7人に対して27人が志願した。
 定時制は最後のとりでだ。ここを落ちればもうどこにも行くところがない。27日の合格発表をひかえ、わが府高教(大阪府立高等学校教職員組合)は26日、希望者全員の受け入れを求める緊急要求書を出した。生徒があぶれるという事態を招いたのも、府教委の定時制高校半減(14校つぶし)の結果だ。
 経済的理由から私学を最初から断念し、さらに私学に受かっていたのにそれを断念して、公立に望みをかけたがそれに落ちて、定時制に志願したのだ。そのような生徒は、定時制で緊急避難措置として全員受け入れるべきだ。本来なら十分余裕をもって受け入れられるはずなのだから(学校つぶしをしなければ)。
 府教委は、これまで5%定員の枠を広げることを認めていたが、結果としてはその枠内で、18人を上乗せ合格とした。167人が不合格となった。府教委は補欠募集をおこなうといっているが、全員を受け入れる気があるのか。高校教育は社会のセーフティネットの最重要のものだ。ここが破れているのを放置するようでは政治や教育をうんぬんする資格はない。大阪府・府教委の資質が問われる。
 15歳の志願者があふれるだけが問題ではない。定時制つぶしによって、全日制を中退した勤労青年や若いときに高校にいけなかった高齢者の入学も大幅に制限されている。これらの人は家や勤務場所の近くに学校がないと通学はできない。定時制が半分に減らされたことにより、これらの人は、志願をあきらめている。府教委の統計には、15歳の新卒者しか数字として記録されないから、これらの人々は統計には全く現れない。だから、府教委は問題はない、問題は起きないなどど平然としてきた。この隠された、高校から排除された人の問題はおくとしても、あぶれる現象が出たのだから、府教委の責任は大きい。14校つぶしても昼間の学校(クリエイティブスクールと称する)をつくったから昼に行きたい生徒はみんな収容できるといって、府教委は堂々と定時制つぶしをしたが、北野定時制が廃校になったまさに今の時期に、この事態が生じているのだ。
 定時制つぶしに道理がないことが動かぬ事実で証明された。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 追悼 アレン・ネルソン | トップ | 休憩から復帰しました »

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事