山上俊夫・日本と世界あちこち

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加計問題。「政策がゆがめられている」に責任が取れるのかと恫喝した安倍氏、「行政がゆがめられた」にも恫喝するのか

2017年05月25日 10時48分51秒 | Weblog
 3月13日の参院質疑で、福島瑞穂氏の「首相は(加計学園)理事長と長年の友人で、政策がゆがめられているのではないか」と質問した。これに対して安倍首相は色を成して反論。ちょっと異常な反応だった。「もし働きかけて決めたならば責任を取る」「安倍政権のイメージを落とそう、安倍晋三をおとしめようと質問するのはやめた方がいい」「名前を出した、しかも学園の名前を出していますよね。それは生徒の募集にも大きな影響を与えますよ。これ、あなた責任取れるんですか」と何度も責任取れるのかと恫喝した。福島氏は負けずに、「国会議員の質問に対して恫喝するんですか」と抗議した。国会議員は政府に対して、疑惑の臭いがあれば、質問する権利があり、それが仕事だ。国民の委嘱を受けて質問している。これに対して、動揺したのだろう、責任取れるのかと脅しをかけた。
 森友学園疑惑では、佐川理財局長ら財務省官僚は安倍お殿様を守るためにみじめな姿をさらしながら、破棄しました、ありません、知りません、ございませんと忠誠を尽くした。
 加計学園疑惑では、文科省内部からどんどん内部資料が出てくる。ついに官僚トップの前川喜平・前事務次官が、『週刊文春』『朝日新聞』(5・25)で「行政がゆがめられた」と証言した。安倍・菅のいらだちと不安は極に達しているだろう。サミットに出張するが、気が気でないだろう。前川氏にも「あなた責任取れるんですか」と恫喝するのだろうか。だが前川氏は、首相官邸からあらぬ攻撃を受けることを承知で行動している。なんと首相官邸は読売新聞22日付けで、前川・前事務次官が出会い系バーに通っていたという記事を1面に載せた。現職公務員ではない人物の過去の、しかも不法行為を証明できていないものを、首相官邸が調べ上げろとし、これを受けて探し回って載せた。どういう理由で1面に載せたのか。明らかに前川氏が文科省情報を流していることに対して、前川氏が名乗り出る前に、この人物は籠池氏と同様信用ならない人物だと印象付けようという作戦だ。安倍首相はよく「民主党は印象操作ばかり」というが、ほんものの印象操作はこうするんだと示した。こともあろう、もはやジャーナリズムといえるか怪しい読売新聞が、忠犬ポチを買って出た。情けない姿だ。加計学園疑惑を追及せず、疑惑を告発した人物の過去の行状をさぐって攻撃する。読売は今度も、「加計問題は読売を熟読して」といってもらいたいのか。
 菅官房長官が「怪文書」といい、松野文科相が「該当する文書の存在は確認できなかった」といっている8枚の内部文書には、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だ」などの文言がある。前川氏はこの文書について、昨年9月10月6回獣医学部新設の打ち合わせをし、9月28日「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」10月4日には「大臣ご指示事項」という文書をもらったと証言した。日付まで示したのだから、怪文書でも、存在しない文書でもない。その内容について前川氏は「誰だって気にする。(文科省側が)圧力を感じなかったといえば、うそになる」と証言した。それでも怪文書だというのなら、週明けの国会で前川氏を参考人として読んで、国政調査権の下で事実を明らかにするしかない。自民・公明の与党はこのブログを書いているときに参考人招致を拒否した。与党は真相究明を妨害にでた。国民はこれを問題視しないのか。
 前川氏は、反省とともに行政がゆがめられた事実を語った。「(獣医師の需給見通しを示す)農水省や(公衆衛生を担当する)厚生労働省が、獣医師が足りていないというデータや、生命科学など新しい分野で必要な人材のニーズなどを示さない中では、本来は踏み切れない。踏むべきステップを越えろと言われたように感じ、筋を通そうにも通せなかった。行政がゆがめられた。」文科省の担当者らは、説明に来るたびに弱り切り、困り切った顔をしていたという。ここに真実がある。
 加計学園よりもずっとすすんだ、しっかりした獣医学部構想を示していた京都産業大学(ノーベル物理学賞の益川教授もいる)をなんとしても落とすために、昨年11月9日の国家戦略特区諮問会議(議長は安倍首相)で原案になかった追加条件がもりこまれた決定がなされた。「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」と決めた。直前までの原案には、「広域的に」と「限り」がなかったのに、9日、挿入されたのだ。共産党小池晃議員は、22日、新たに入手した11月8日までの原案を示して、「原案には、成案に入っている『広域的に』と『限り』との言葉がない。それは認めるな」とただしたのに対し、山本地方創生相は、「途中段階のものについては答弁を差し控える」と逃げた。でもそんな原案はなかったとはいえなかった。「広域的に」と「限り」があるとないとでは意味がまるで違う。獣医学部が存在しない地域に新設を可能とするというのであれば、単に従来の文科省の告示への「岩盤規制へのドリル」だったかもしれない。京都府には獣医学部がないため京産大は新設可能となる。しかし、広域的に存在しない地域に限り可能となると、大阪府大に獣医学があるので、京産大は門前払いとなる。他の地域で希望はなかったので、必然的に加計学園に一本化された。安倍首相の腹心の友に利益供与のおぜん立てができた。1月の諮問会議では、「1校限り」との条件をさらに追加したので、加計学園以外はもう認可されることはなくなった。獣医学部が存在しない広域的地域は、南東北(広い東北で岩手大のみ)、北関東、北信越などがある。文科省の懸念を退けて獣医師の需給見通しを無視した国家戦略特区の決定だったのに、1月には獣医師会の要請を入れて1校のみとした。岩盤規制・既得権益にドリルで穴をあけるというなら、1校に制限するというのは筋が通らない。加計学園が既得権益側に加わっただけだ。そうだ。加計学園に利益を供与するために国家戦略特区をしかも実にいやらしい手を使って、文科省の異論を「総理のご意向」で抑え込んで実行したのが加計学園問題だ。
 
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