山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

戦争法案の授業に政治介入

2015年07月04日 15時32分15秒 | Weblog
 『毎日新聞』(2015・7・4)によると、山口県の柳井高校で戦争法案=安全保障関連法案について2年生の「現代社会」で生徒が調べて発表し、どの意見が説得力があるかを投票で問うた授業に対して、県議会で自民党議員が問題にし、教育長が「配慮が不足していた」「県教委として指導不十分だった」と答弁した。あきらかに授業内容への政治介入であり許せない。18歳選挙権が来年の参院選から実施され、当然、主権者教育が大々的に行われなければならないのに、教育学的に見て何ら問題がない授業に対して介入するのだから、18歳選挙権への妨害行動だ。
 6月22日の授業で、教員が配布した日経新聞と朝日新聞の記事を参考に政府与党の見解、野党の主張、憲法学者の意見などを学習。翌日までに自宅学習で論点を整理し、プリントにまとめて24日の授業に臨んだ。24日には、4人ずつ8グループに分かれて議論し、それぞれ法案への賛否を明らかにした。2グループは賛成、6グループは反対と主張した。そのあとどのグループの違憲がもっとも説得力があったかを問う投票をした。「他国を守るのであれば、非戦闘地域での食料供給や治療(医療)でも貢献できる。自衛隊は戦争に巻き込まれてからでは遅い」と反対したグループが最多の11票を得た。
 いい授業だ。何の問題もない。2時間でよくできたものだ。自宅学習ができたからこそ可能になったといえよう。
 自民党に威嚇されて県教委は震え上がったのだろう。教育長は取材に対し、「配布した資料が新聞2紙では少ない。全体像が完全でない資料を使い、かつ時間も十分でない形で投票させた。高校生に賛否を問うこと自体、私自身は微妙だ」と答えたという。
 『日経』と『朝日』では少ない、『産経』も加えれば申し分ないのか。メディアリテラシーの授業ならばありうるが、そうでないならば、あまり煩雑にならない方がいい。論点は多いのだから。いちばんの中心は憲法に反していないかどうかを見定めること、立憲主義の理解を土台にすることだ。
 投票させたことは何の問題もない。生徒全員が個人の意見発表する代わりの方法でもある。もちろん投票しなくてもいい。グループ内で意見を言い、友達の意見を聞き、頭の中で考えをめぐらせるだけでもいい。方法は多様だ。時間をもっとかけることができれば申し分ないが、2時間だからだめなことはない。ホットな政治課題を逃げずに取り上げた担当の先生を称賛したい。こんな先生がどんどん出てこないと、日本の政治教育は干からびてしまう。自民党と県教委がいっしょに授業内容に介入するという恐ろしい事態が現にある。現代史教育では、15年戦争、慰安婦問題、南京大虐殺、沖縄戦などへの安倍・百田・稲田・長谷川ラインにつながる連中による教育介入が激しい。身の危険を感じるくらいの攻撃だ。攻撃する極右メンバーはうしろに安倍がついているから怖いものなしで乱暴の限りをする。中高だけでなく大学に対してもだ。
 全国の中高校でいまこそ、憲法教育のケーススタディとして「戦争法案」を取り上げるべきだ。期末試験も終わった後、1,2時間しかないと思うが、今やらなかったら生きた教育にならない。
 
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