山上俊夫・日本と世界あちこち

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安倍首相の挑戦的9条改憲を許してはならない

2017年05月09日 23時55分15秒 | Weblog
 憲法記念日の2017年5月3日、安倍首相は改憲派の集会にビデオメッセージを寄せて、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言した。9条1項2項は残して、3項を設け自衛隊を明文化し自衛隊違憲の議論の余地をなくす、また高等教育無償化も書き込むという。
 まず問題なのは、首相が憲法99条による憲法尊重擁護義務に違反していることだ。改憲の発議は議会の権限なのに、行政府の長が期限を切って改憲の中身を指定するのは、憲法遵守義務に反する越権行為だ。
 国会で発言の真意を問われたら、読売新聞に書いてあるから読めという。あまりの国会軽視、国会議員の背後にいる国民無視だ。発言は党総裁としてのもので、首相としては答える立場にないという。あまりにずるい使い分けだ。党総裁でもあるが、あくまでも首相の立場がすべてで、いつでもどこでも首相の責任で発言行動すべきだ。読売新聞でも首相インタヴューとなっている。
 『朝日新聞』5月9日付け社説は、「首相のこの考えは、平和国家としての日本の形を変えかねない。容認できない」と批判した。だが同日の耕論欄で桜美林大学教授の加藤朗氏が「安倍さんが投げた曲玉」「護憲派はどう打ち返していいかわからない」「端的に言えば現状の追認です」と発言した。これは安倍追随の浅はかな見方だ。安倍9条改憲は、はたして現状追認なのか。これから大問題になる論点だ。
 耕論欄では、元経済企画庁長官の田中秀征さんの発言もある。氏は「唐突で強引、内容も粗雑だ」「戦力不保持を規定した2項をそのままにして3項に自衛隊を書き込むのは、明らかに矛盾です。自衛隊を認めながら、戦力ではないというのは通りません」「そもそも、自民党の憲法改正草案と違うではないか。政治家が憲法での姿勢でぶれるのは、政治生命にかかわる死活的な問題です。石破茂・元防衛相も今回の9条3項には否定的」と述べている。うなずける内容だ。
 これまでの9条改憲論は、9条2項を破棄し、戦力不保持・交戦権否認をなくし、自衛軍あるいは国防軍を盛り込むというものだった。積極的でない公明党をいっきに9条改憲にひきずりこむために、形式は加憲風にした。かねてから加憲をいう公明党はこれで断れないだろうという読みだ。しかし、加憲は人権規定に何か付け加えるというもので、これを加憲と思うのは安倍の貧困な憲法観のあらわれだ。
 現状追認改憲だという論の誤りは明らかだ。もし現状追認に切り換えたのならば、2012年の自民党改憲案を破棄すべきだ。しかし国会答弁で安倍氏は拒否している。
 安倍改憲は、自衛隊の活動は個別的自衛権の範囲内だと書くはずがない。集団的自衛権を明記する可能性がある。あるいは少しぼかして自衛隊の活動範囲を広げる文言を入れることは大いにある。そうなれば、米軍とともに歯止めなき武力行使の世界が開けることになる。
 たとえ集団的自衛権的なことは書かないとしても、すでに憲法解釈を変えて集団的自衛権に踏み込んでいるのだから、現状(集団自衛権的現状)が最低ラインになる。立憲主義破壊の解釈で集団的自衛権に踏み込み、南スーダンで新任務を付与し、米軍艦を護衛する行動に出た自衛隊が、改憲で、違憲的現状を足場に最大限きりきりまで、世界規模で武力行使の道にふみだすことは見やすい道理だ。
 安心です、何もありません、自衛隊と書くだけです、というなら、あえて改憲しなくていい。自衛隊は合憲という立場は不変だと安倍は言った。合憲ならば改憲する必要はない。世の中に違憲論があるから改憲するというが、それなら合憲の根拠が弱くて、現状は違憲だと認めるということになるではないか。とにかく、安倍改憲は現状追認だというのは、国民の9条意識を丸裸にし、誤った認識に引き込むものでしかない。
 安倍改憲論が、高等教育無償化のために改憲するというのも奇怪千万だ。民主党政権の高校授業料無償化に反対した自民党が、いきなり大学無償化を憲法に書き込むという異常さ。維新を改憲与党に引き込み、これによって公明党が改憲から逃げられないようにする政治的狙いがある。政略的改憲だ。
 高等教育無償化は憲法に書かなくても法律をつくればできる。憲法に書き込んでまでやりたいのならば、法制化しすぐにでも始めればいい。アメリカ、韓国とともに異常な教育費の国として世界から奇異の目で見られている日本。それを推進してきた自民党が、その正反対を改憲の目玉としてやる。日本の高等教育費の異常とともに、安倍の憲法観の異常として指摘したい。
 このたびの安倍首相の期限を切った改憲論は、日本国憲法に対する挑戦だ。心ある国民は腹をくくって立ち上がらなければならない。

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