ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『夕凪の街 桜の国』 終わらない物語

2007-08-15 00:22:49 | 映画
長崎の原爆忌に、新宿のシネマスクエアとうきゅうで。

原爆投下13年後の広島、原爆スラムで慎ましく暮らす皆実。そして平成19年を生きる七波の物語。何気ない日常の描写の中に、生きること、死ぬこと、命がつながっていること、そんなことを考えさせられて、涙がポロポロ止まらなかった。

原爆の生々しい表現は無いけれど、心身に負った傷は癒えることなく深く残っている。そして、その生を受け継いだ二世三世もまた現実に直面する。そんなことがあるとは自分自身も知らなかったが、七海もまた避けていたのかもしれない。彼女は広島の旅を通して、その事実を静かに受け入れ、この物語を続ける決意をする。それがうれしかった。

最近の戦争モノは、安易に現代のシーンを添えて観客に訴えかけようとするが、それは逆効果だと思う。『男たちのYAMATO』も、『硫黄島からの手紙』も、『さとうきび畑の唄』もそう。「現在」だけを対比的に描くことで、戦争を「過去」というパッケージにはめ込んでしまうからだ。この作品は、昭和33年から現在までの生の物語を、原作のストーリーを補い丁寧に描いている。そのことに拍手を送りたい。原作もまた、一つ一つの言葉が良くて、映画でもそのまま使われていた。

主役二人を演じる麻生久美子と田中麗奈がとてもいい。加えて七波の友人・東子役の中越典子、この三人には何か共通するものを感じる。それが、この作品の柔らかな中にも凛とした品を与えているのかな。

去年の夏は『時かけ』。今年はこの『夕凪』だろう。多くの人に観てもらいたい。

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1 コメント

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マンガもよかったです (kiyosumi)
2007-08-15 14:57:31
お久しぶりです。
ブログ楽しく読んでいます!

『夕凪の街~』は一昨年マンガを読み、
とても印象に残った作品です。

映画もきっといいのでしょうね。またね。
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