評論家の犬養道子さんが亡くなったという報道。
いつのまにやら96歳だったんですね。。。。
20代で購入した著作『マーチン街日記』。
これまでに何度となく読み返し、その度に刺激を受け、感動を与えてくれる本です。
(年齢とともに、刺激を受ける箇所は変わってくるから不思議ですが)
これは、43歳でもう一度勉強したい・・・とハーバード大に留学した時の日記。
母を一人日本に残しての渡米は、様々な覚悟の上のことでした。
人間は、生活リズムや「自分の世界」や、築き上げた地位基盤などによりかかり
それらの中にここちよく安住する安易さから、
たえず自分をふりほどかねばならぬ。
空転の中に宙吊りにされたような、のっぴきならぬ気持ちに、
また安逸をはなれた精神の孤独に廔々かえってゆかねばならぬ。
その気持ちと孤独の中でだけ、
人は――少なくとも私は、自分自身と出会うことが出来、
沈黙と呼ばれる豊饒の中で、
自分の「言葉」を生み出すことが出来る。
とにかく学ぼう。とにかく考えよう。
今日の以前に在って、今日を生んだものの姿を見よう。
本の上ばかりでなく、自然の上に書きつねられてきた文字を読もう。
無駄ということは、仕事や人生の途上では、何一つしてない。
心において、唇において、沈黙を生むこと。
いつか本当に「言葉」を語れる人間になるために。
それまで築き上げてきた全てのものを断ち切り、
今一度学問と向き合うための渡米。
ゆっくりと時間をかけて、一生を費やしてまで掴みたいテーマを持つ彼女が
羨ましいとさえ思えました。
自分を甘やかさず、冷静に考え学び続ける姿勢が
本当に好きで好きで。
人生で、何かある度に手に取る本
私にとって『マーチン街日記』はそんな本です。
何十年もの間、私のバイブルになる本を書いてくださって
ありがとうございました。
犬養道子さん 安らかに。。。。。