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『たたり』

2011年01月21日 00時17分58秒 | ホラー映画
たたり [DVD]
クリエーター情報なし
ワーナー・ホーム・ビデオ


『たたり』 1963年(英)監督ロバート・ワイズ

●サイコ・ミステリー、怪奇映画の古典
 本作は幽霊やお化けといったモンスター的な恐怖を描いた作品ではないように思える。幽霊や妖怪、お化けやモンスターが一度も登場しないどころか、死霊や幽霊、怨霊といった牴燭瓩本当に、家にとり憑いているのかどうかさえも最後までわからない。図書館の螺旋階段でついに亡霊が登場したかに思えたが実はそれ自体も管理人の女であり、数々の怪奇現象ももしかしたら誰かの仕業なのかもしれないという勝手な予測まで打ち立てるほど、本作は解決されない謎に溢れていた。
 幽霊の仕業だとも限らないし、目撃者が少なくアリバイのない人間が数多くいるため、第三者の嫌がらせとも受け取れる。つまり本作は、そもそも幽霊や亡霊、怨霊といった存在を明確に描いてはいないのである。妄想なのか幻想なのかどっちつかずの出来事として片付けられてしまうから魅惑的だ。そのため主人公の女性に感情移入させるような創りにはなっていない。
 『サイコ』(60)でジャネット・リーが様々な想いを巡らせているシーンと全く同じ構図で、主人公の女性は車内で独白する。それも全編ほとんどが彼女の独白で彩られるのだ。彼女の心境が独白で語られることによって、観る者は彼女がいかにヒステリックで、妄想癖の激しい人間であるかを感じさせられる。独白は、何よりも彼女自身への感情移入を意図的に妨げ、ヒステリックで妄想的な彼女を客観視させているのではないだろうか。
 徐々にヒステリックになっていく彼女を客観視させることで、本作の主軸は幽霊や亡霊を扱った爛カルト瓩ら、彼女たちに巻き起こるサイキックな心理現象の怪奇という爛汽ぅ魁Ε潺好謄蝓辞瓩悗畔冕討靴燭茲Δ忙廚┐襦だからオカルト映画というよりも『インシテミル/10日間のデスゲーム』(10)のようなソリッド・ソリューション・スリラーに近いし、『白い肌に狂う鞭』(63)のような怪奇映画とも言えるのではないだろうか。
 当時のイギリス製のホラーと言えばハマー・フィルムによるテレンス・フィッシャーの『フランケンシュタインの逆襲』(57)や『吸血鬼ドラキュラ』(57)『吸血狼男』(60)といった古典的モンスターが主流であったように思える。63年という時代に本作のようなモンスターの出てこない怪奇映画が登場する事実には驚かされるし、鶴田法男や黒沢清、中田秀夫など犖せない恐怖瓩鯀呂蟒个靴織献礇僖法璽此Ε曠蕁失邁箸砲眥未犬覯奇要素が本作にはひっそりと存在しているように思える。

●編集の映像美
 さらに巧みな編集と類まれな映像表現も公開当時から古典とされるべき傑作である。鳴りやまぬことなく壁を叩く音に怯えるシーン。隣で眠る女性の手をしっかりと握りしめ、恐怖に怯える女性。そして思いきって悲鳴をあげるとズームによってベッドで眠る女へとカメラはせまり、次のショットで恐怖に怯えていた彼女はソファで眠っていたことが明かされ、「私の手を握りしめていたのは誰…」と怪奇に怯える彼女の手が映し出されるのだ。今となっては古典的な怪奇描写だが、打楽器的な編集と強烈なダッチ・アングル(カメラを斜めに傾けて撮影する手法。主に人物の不安や異様な空気を醸しだす際に用いられる)、そして闇の画面に一筋だけ照らされる照明演出の妙によって、今見てもなお不気味さをまざまざと感じさせられるのではないだろうか。
 たベランダで悲鳴をあげて転落しそうになるシーンでも鮮烈のズームとヒッチコック的な爐瓩泙き瓮轡腑奪箸慮鮑垢婆イ擦覬覗表現も強烈だし、螺旋階段のサスペンスにしたって口をポカンと開けてしまうほどに魅せられる。例をあげればきりがないほど、本作の猜埆故呂旅さ瓩鉢猖阿させない怪奇瓠△修靴謄汽ぅ魁Ε潺好謄蝓爾琉譴弔梁藐鑢でもある倏燦なサスペンス瓩砲いては、ショット分析をすればするほど、その旨味を感じることができるのではないだろうか。しかも音の使い方にしたって素晴らしく、伴奏音楽はほとんど使わず、物語り上に流れる音楽だけで怪奇という不安感を演出しているから傑作だ。
 モンスターや幽霊、亡霊などを一切登場させず、映画的な演出だけで引っ張っていく演出力の凄まじさは、もはや欠かすことのできない古典である。本作を抜きにして60年代のモダン・ホラーを語るのは恥ずかしいほど本作の威厳さは現代に追いてもモダンと言えるのではないだろうか。


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