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『ファム・ファタール』

2008年06月27日 22時04分43秒 | ブライアン・デ・パルマ
ファム・ファタール [DVD]

東宝

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 『ファム・ファタール』   2002年(仏)監督ブライアン・デ・パルマ

 これほどまでにサスペンスフルで、興奮の極みを体感させてくれる作品に出会えたことは映画人生においてもっとも大きな幸福である。オープニングから傑作だ。
 何やら話し声が聞こえる。画面が映ると、そこにはビリー・ワイルダーの「深夜の告白」を全裸で観る女がいる。カメラは長廻しで、念密にたてられた宝石強奪計画の全貌を話す男を映し、そしてすぐ外で華やかに開かれている映画祭へと視線は向けられる。監視モニター室では、内通者がいて、彼が強奪犯を内部に侵入する手助けをしていることが視覚的に、一つのフレームいっぱいに映し出される。そして、「ボレロ」のような壮大なサウンドで緊張感溢れる犯罪計画の幕が開き、流れるサウンドと共に、様々な登場人物とそこで巻き起こる出来事をカットバックによって劇的に映し出す。
宝石を身に付けた女優をトイレに導きレズ・プレイを始める女。係員の鍵を盗み、急いで仲間に届けようと走る男。異常に気付き、トイレに近づく護衛。彼を殺そうと機会を待ち、さらには、まんまと盗みに成功する男。電気を消そうと、懸命に機械を操作する強奪犯の仲間。もうそれら全てがカットバックと勢いを増し荒波のように鳴り響くサウンドや俯瞰ショットなどで宝石強盗を恐ろしいほどドラマティックに描き、視覚的・聴覚的といった映画的表現で、観客に最高の高揚感とサスペンスの極みにも思える極度の緊張を感じさせてくれるのだから、それはもう巧み技の何物でもないのである。
 さらに、画面を分割したスプリット・スクリーンの効果も絶大だ。中盤、アメリカ大使館夫人の写真を撮るようにと依頼を受けたアントニオ・バンデラスがスプリット・スクリーンで映し出される。片方は彼のバスト・ショットで、もう片方は、彼を映していたが、どんどんと引き、ついには、カフェで話す二人の女を映すのだ。このとてつもなく印象的なスプリット・スクリーンのくだりをラストでもう一度反復することで、観客はまさに主人公ロールのデジャヴのような奇妙な快感と、その起こるであろう事件を頭の中で的確に再生し、あまりにドラマティックで胸打たれる結果の変貌に観る者は愕然としながらその余韻たっぷりの美しき感情に酔いしれてしまうのだ。
 ドラマティックなサウンド・トラックとスロー・モーションによるカットバック。二つの場所が一つに重なる時、あまりに恐ろしくも劇的なドラマを生み出し、観る者を映画的非日常へと引きずりこむデ・パルマならではの映画術が本作で極みに達していることは間違いない。
 視覚的・聴覚的にサスペンスを極限まで高め、現実以上の興奮とショックを感じさせてくれるデ・パルマ。彼の作品の中でも、憎いほどに映画的で、酔いしれるほど芸術的表現に満ち溢れている本作は、サスペンス映画の秀作であり、世に残すべき名作であるに違いない。



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2 コメント

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またTBさせていただきました! (coco)
2008-07-11 22:16:22
こんばんは、ヒッチさん!
ブログの映画記事を書いていて、ほかの方の物も拝見していますが、なかなか自分の趣味と合うものが見つからず、またお邪魔してしまいました!!
じつは、わたしもブライアン・デ・パルマ作品が好きで、デ・パルマびいきの視聴者であります。
ヒッチさんの記事のはデ・パルマの作品がたくさんありますのでまたTBさせていただきますね。

コメント&TBありがとうございます! (ヒッチ)
2008-07-11 22:53:21
こんばんわ!
コメントありがとうございます!!本当に本当に嬉しいかぎりです!
cocoさんと巡り合えたのも何かの縁です。ジャンジャン批評を読んでいってくださいね!!わたくしもcocoさんのブログにお邪魔いたしますのでよろしくお願いいたします!

デ・パルマは真に優れた監督だと思います。もっと研究書が出されてもいいですし、評価されるべき監督だと思うのです。
デ・パルマ作品をカテゴリーで分けましたので、ご愛読願いたいです。

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