波乱の海をぶじ目的地へ

現世は激しく変動しています。何があるか判りませんが、どうあろうと、そんな日々を貧しい言葉でなりと綴っていけたらと思います

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栗焦げご飯と茸焦げご飯

2016-10-11 09:18:42 | 童話
◇栗焦げご飯と茸焦げご飯



栗と茸の季節が、並んで一緒にやって来ました。
おばあさんは息子と孫のために、栗ご飯と茸ご飯を
炊きました。
孫は栗ご飯を、おいしいおいしいと言って食べ、息子は
茸ご飯をうまいうまいと食べました。
おばあさんははじめのうち、小釜を二つ並べて、栗ご飯と茸ご飯を
炊いていましたが、時間もかかるし、面倒なので、栗と茸を一緒に入れて
炊くことにしました。
息子も昔、子供のころ、栗ご飯が好物であったことを、想い出したのです。
この孫ももう少し大きくなったら、茸ご飯を好むようになるにちがいないと
考えたのです。

さて、栗と茸を混ぜた、栗茸ご飯が炊きあがりました。
いよいよその食卓となりました。息子の方は別に変った様子もなく、口に運んでいましたが、孫は茸を箸につまんで匂いを嗅いだりして、口に運んで行きません。そしてついに、自分の口にではなく、パパの口に運んで入れてしまいました。パパはそれをおいしいおいしいと言って食べました。孫は茸が出て来ると、次々とパパの口に運び、父は父で、貰ってばかりでは悪いとばかりに、栗が出て来ると、息子の口に運んでやりました。
おばあさんは二人を喜ばせてやろうと、栗と茸をどっさり入れて炊いたのです。そのためご飯の中の栗と茸も目立って多く、それぞれの口へ運ぶ箸の往復は忙しなく、めまぐるしいほどでした。
おばあさんはそのやりとりを、ため息をついて見ていました。その目の前で、孫の箸がうっかり父親の目を突いてしまったのです。目から火が出たのは、息子の目ではなく、おばあさんの目でした。
さいわい大事には至らずにすみましたが、おばあさんの栗茸の混ぜご飯は、その一回で終わりとなりました。けれども店先を彩る栗と茸の季節は、まだまだつづきます。孫が栗ご飯を食べたそうな目をしておばあさんを見たりすると、たまらず栗と茸を買い込んでくるでしょう。

 そうして実際二つの釜をならべて、栗ご飯と茸ご飯を炊きはじめました。ところが気ぜわしく動いたために、おばあさんに疲れが出て、火の番をしながら、うっかり眠ってしまったのです。
焦げ付く匂いに、おばあさんはうっかりしていたと、跳び起きました。さいわい焦げ過ぎとまではいかずにすみました。孫と息子は、少し変わった味がしておいしいと言って食べました。おばあさんは料理のレパートリーを増やしました。それは栗焦げご飯と、茸焦げご飯です。

  おわり



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