静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

 ≪ 孫との旅 ≫ 1. 奈良

2016-07-20 07:23:07 | 旅行
 米国アトランタ(ジョージア州)に住む長男が息子と娘を連れて会いに来てくれた。長男とは15年ぶり、孫にあたる男の子とは18年ぶりの再会、私の帰国後に生まれた孫娘とは
”お初に”である。 
 退役し、サンデー毎日の身になったからとて、息子は働いている身なので、こちらが押しかけて行くのは邪魔になるだけ。『今はヒマなんでしょ。どうして会いに来てくれないの? 若しかして、お金に困ってる?』などと言っていた息子だが、邪魔したくないからとの想いを伝えた結果、今回の来日となった。

 初日の午后、京都駅のロッカーに荷物を預け、奈良に向かった。奈良は、1980年頃から幼かった長男と3人でおよそ3年暮らした街。奈良女子大と1本道を隔てた真北に建てられた5階建アパートに住んでいたのだが、今も現存。長男は懐かしそうに玄関や駐車場などを歩きながら、子供たちに早口で想い出話を呟く。 其の横顔と孫たちの表情を見比べる私には、月並み且つ古めかし過ぎるけれども<光陰矢の如し>なるフレーズが改めて口を突いて出た。
 東京駅の新幹線ホームで< Do you remember me ? >と半ば怖々私が尋ねると、孫(男児)は、スマホに取り込んだ昔の写真を探し出し< Oh, yes Grand-Pa >と。それは、テネシー州某市の動物園で私が幼児だった彼を肩車した写真。 < Oh, you still keep it ! Time Flies. >

 旧居に名残りを惜しみ、近鉄奈良駅前の商店街で嘗て長男と入った「お好み焼き店」を探したが、私の記憶に残る場所は別の店が占めている。もうひとつある店は生憎の休業。懐かしの店は廃業か?と訝りつつも「じゃ、蛸焼きを食べよう!」と長男が言うのにはビックリ。何と、アトランタには冷食ながらもタコ焼きを出す店があり、孫たちは好きだとのこと。然し、目の前でオバちゃんが焼いてくれる伝統的な風景に孫たちは大喜び。二人は< $4.20 for 12 pieces ? What a great price ! >と価格の安さにも歓声を挙げた。 此の値付けとて『観光地価格』に違いないのでは?と思うが、久しくタコ焼きなど買ったことがない私にはコメントしようがない。喜ぶ三人の顔で十分だ。
 東大寺は予想通りの人出。 ここも8割以上は外国人観光客だ。言葉では聞いていた”仏教”の遺跡を目の当たりにした孫たち。無論、”仏教”の基本的世界観と哲学、宗教として与えた人々への影響、歴史的/文化的意味合いなど、関心が向くかどうか不明。西洋のキリスト教伽藍とは別の異境に触れたという記憶、彼等にはそれだけで今は十分だろう。 
  東大寺の前から春日大社に続く公園で乳をねだる小鹿に歓声を挙げた孫娘。聖なる生き物として護られてきた鹿の棲む神社と大仏の共存。 これぞ日本文化の特徴だと、教える長男。不思議・複雑な面持ちで京都に戻ったのである。 
コメント
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