この曲は、ヘンデルのオペラ <Rinaldo リナルド> 第2幕第2場で女主人公・アルミレーナが歌うアリアである。 (Lascia ch’io pianga) が「涙のながれるままに」と訳されるときもある。 何に涙を流すのかというと、「エルサレムのイスラーム側の魔法使いの囚われの身になったアルミレーナが、敵軍の王アルガンテに求愛されても愛するリナルドへの貞節を守るため、決闘に臨むリナルドを想い「苛酷な運命に涙を流しましょう」と歌うアリアである。 一度耳にすれば忘れることのない、心安らぐ旋律には違いない。 私はキリ・テ・カナワの歌う版が気に入っている。
ヘンデルがイタリア旅行のあとイギリスに渡る1700年初頭、オスマントルコと欧州の諸王国の間では勢力争いが続いていた。この時代背景に豊かなイタリア音楽を引っさげたヘンデルの登場は、当時の遅れた英国では新風となった。ヘンデルもまた優れたメロディメーカーであり、器楽曲や声楽に限らず、舞台音楽においても素晴らしい。この曲のみならず、例えば「メサイアコーラス」には彼のメロディメーカーの本領躍如たるものがある。 それは同い年だったバッハと比べたら、誰もが即座に肯けるところだ。
参考までに、原語と英訳、そして和訳を以下に掲げる。
Lascia ch'io pianga mia cruda sorte, e che sospiri la libertà. Il duolo infranga queste ritorte de' miei martiri sol per pietà.
Let me weep for my cruel fate, and who long for freedom. The duel infringes these de 'my sufferings I pray for mercy.
どうか泣かせて下さい。 この残酷な運命に 自由に焦がれて溜め息ばかりついております。 決闘がこの不運を断ち切ってくれますよう 神の御憐れみを祈ります
悲恋のアリアだが、死に向かう老年には「残酷な生」から「死という名の決闘」で自由にしてくれと聞こえなくもない、なんて云うとヘンデル先生のお叱りの声が聞こえそうだ。
ヘンデルがイタリア旅行のあとイギリスに渡る1700年初頭、オスマントルコと欧州の諸王国の間では勢力争いが続いていた。この時代背景に豊かなイタリア音楽を引っさげたヘンデルの登場は、当時の遅れた英国では新風となった。ヘンデルもまた優れたメロディメーカーであり、器楽曲や声楽に限らず、舞台音楽においても素晴らしい。この曲のみならず、例えば「メサイアコーラス」には彼のメロディメーカーの本領躍如たるものがある。 それは同い年だったバッハと比べたら、誰もが即座に肯けるところだ。
参考までに、原語と英訳、そして和訳を以下に掲げる。
Lascia ch'io pianga mia cruda sorte, e che sospiri la libertà. Il duolo infranga queste ritorte de' miei martiri sol per pietà.
Let me weep for my cruel fate, and who long for freedom. The duel infringes these de 'my sufferings I pray for mercy.
どうか泣かせて下さい。 この残酷な運命に 自由に焦がれて溜め息ばかりついております。 決闘がこの不運を断ち切ってくれますよう 神の御憐れみを祈ります
悲恋のアリアだが、死に向かう老年には「残酷な生」から「死という名の決闘」で自由にしてくれと聞こえなくもない、なんて云うとヘンデル先生のお叱りの声が聞こえそうだ。