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2016-12-13 13:17:32 | 日記
イギリスより

73期の野路です。このたび平成25年5月より6ヶ月間の予定で渡欧しており、丁度予定の半分を過ぎましたので、留学前半の報告をいたします。

私は73期相当(旭川医大19期)ですから、もう年は40過ぎ・・。こんな年になっての海外留学があるのか??と、留学を打診された際には半信半疑でした。でも、いざ来てみると、私の2期上の移植外科医や、同期相当の肝胆膵外科高度技能医がロンドンに居たり、2期下相当の内科の先生が研究留学に来ていたり、意外に年を食ったアラフォーの医師が"留学"にきていることがわかり、この年での留学も決して珍しいことではないようです。(まあ・・年を重ねたなりの見方や感じ方があり、この年代での留学も悪くは無いのかもしれません。)

さて、私は前半を英国・後半をベルギー(ブリュッセル)に拠点を置きつつ、帆会にも数カ所の施設を短期で見学して廻るというやや変則的な留学を予定してります。そして、留学の目的を海外での臨床医学(手術)に置いております。
5月からの前半の3ヶ月置いていただいたのはQueen Elizabeth Hospital Birmingham (University Hospital of Birmingham)のLiver Unitです。(長いので以下名称をQEとします)。そもそもバーミンガムはどこにあるのか??画像1をご参照ください。イギリス中西部にある人口100万強、イギリス第2位の都市、産業革命の際に石炭・羊毛の集積地として発展し、現在では商業等の中心都市として栄えている街です。ロンドンから特急電車で1時間40分、車だと2時間強の所にあります。この街を一望出来る高台にQEは建っており、Liver Unitの外科教授、Prof. Mirzaが、この街を一言で言い表すと"Green"だね、と言っておりました。この言葉の通り、バーミンガムの街中に緑が溢れ、至る所に綺麗な芝の整備された公園がある綺麗な街です。QEはバーミンガム郊外の高級住宅地にある巨大病院で、ベット数は恐らく2000床位、ICU100床・手術室は30あります(画像2)。イギリス軍病院の側面もあり、軍服姿のスタッフも多数働いております。QE本体のすぐ隣にはWomen's Hospital、街の中心地にはChildren Hospital、近くに精神科の病院と整形外科専門の病院があり、これらで、University Hospitalを形成しているようであります。私はQEとChildren Hospitalの移植外科・肝胆膵外科を担当している部門に在籍させてもらいました。スタッフは、移植と肝胆膵外科の両方を執刀するコンサルタント(専門医)が教授を含め3名、移植のみの担当が2名、肝胆膵外科のみが3名おります。その他レジストラー(後期研修医のようなもの)とInternational Fellowを合わせて恐らく20名くらい、合計30名程度の医師が診療に携わっております。年間の手術数は肝移植220例(昨年度実績)で欧州No1。肝切除400例前後・膵切除200例前後となっており、その他これらの手術の隙間に、ラパ胆・瘢痕ヘルニア・副腎巨大腫瘍の切除等々を行っております。

私がQEを選択した最大の理由は、英語圏で、肝臓移植と肝胆膵外科の両方をみることができること、肝臓移植の数が欧州No1であること、そして日本人が居ないということです。この3ヶ月肝臓移植は週に2-3件、多いと5件ほどあり、縦(一つの手術室を使って連続して手術をすること)で3件あった日もありました。肝胆膵外科に至ってはPDが横2列であったあと、肝切除があったりして、HPBの手術は少なくとも週10件くらいはあるようです。しかしひとたび肝移植が入ると予定がキャンセルとなるため、診断されてから2-3ヶ月の待ちは当たり前のようであります。

渡航するまでの準備は大変でした。このお話は書き始めると長くなるので省略します。(詳しく知りたければ私に直接お尋ねください。)QEではGMC(英国で医療行為を行う為の国家資格)を持たない医師はほんの特例を除き一切の医療行為は認められません。このGMC取得には、相当高レベルの英語力が必要です。結局私はGMCを取得出来ず、3ヶ月の"見学"のみ滞在が許可されました。実際に渡英して、まず驚いたのはLiver Unitの外科医の中に英国人は1/2に満たず、多国籍であるということです。私のスーパーバイザーを務めてくれたMr. Hynek Mergentalはチェコ人、教授はインド系オーストラリア人・移植のメインを勤めているMr. Tammara Perreraはスリランカ人。臓器保存液や複雑な肝切除で多大な業績のあるMr. Paolo Muesianはイタリア人・・・。
初めの1ヶ月はとにかく手術室に籠もって、ありとあらゆる手術を黙って見ておりました。真夜中の移植やRetrieve(ドナー手術)にも可能な限り呼んでもらえるように頼み、ほぼすべての手術を見て過ごしました。朝8時30分に家を出て、帰って来たのは翌々日の昼・・なんてこともありました。

ところで此処は北大消化器外科IIのHPのはずで、そこの助教がなぜ英国まで行って移植を見ているのか??と疑問に思っている方もおられると思います。(私自身は今後移植をやろうとは全く思っておりません)。しかし・・肝移植手術は、大きく分けて、ドナー手術、レシピエントの肝臓を取り出すまでの手術・頂いた肝臓を植え込みする手術・免疫抑制を含めた術後管理の4つにわけられます。免疫抑制の技術とそれにまつわる諸問題はさておき、ドナー手術・肝保護・肝臓を取り出す手技・移植する手技には消化器外科のすべての要素が含まれており、その集合体とも言えるのが移植手術です。血管縫合・剥離・切離・吻合・・・等々。これに臓器保存の時間(脳死では12時間・心停止後ドナーでは8時間が限度と言われている)という制限もあり、スピードも求められております。高い技術と経験が求められており、一つのミスが大きな致命傷となり得る可能性もあります。細心の注意を図り、確実なリカバリーの手を打ちつつ、素早く手術を終わらせる。これらの手技には学ぶべきところが沢山あり、大変貴重な経験となりました。また見学者であったことがかえって幸いし、術者の真後ろに立ち、今まで見たことがなかった視野から局所解剖を見ることが出来ました。この結果、今まで若干あやふやだった肝臓の局所解剖の再確認、出血するポイントの確認、止血方法・血管縫合(動脈も再建してしまう)・運針などを目に焼き付けることができました。

手術見学以外の事に関しては、渡英前から3ヶ月の間に、肝移植に関する何らかのプロジェクトへの参加(論文作成に参加)を希望しており、渡英早々にも再確認をいたしました。指導医との話し合いの結果、臨床研究に参加させてもらうこと、私自身の論文として短い論文を2篇作ることが決まりました。渡英2ヶ月目から、移植にまつわる諸問題に関するデーターベースの再構築の他、やや短めの論文作成も始めました。移植医療に関しては全くの素人でしたので、関連する文献を読みあさり、分からない所はつたない英語を駆使して移植のコンサルタントに教えを請いました。短期の見学なので、移植医療の全般を幅広く見ておくほうが良いだろうとの配慮をいただき、術前術後の外来や、内科・麻酔科・移植コーディネーターとのカンファランス・病棟・ICU回診、救急車やフェリー・時にチャーター機に乗ってのドナー手術にも呼んでもらい、浅く広く移植医療を見せていただきました。

またこの前半3ヶ月間の収穫の一つに、欧州の複数のハイボリュームセンター施設への見学の許可が下りたことです。これにはいろいろな人脈を通じて、メールで打診をしたり、時に学会会場で突撃していって、直接交渉をしたりして、コンタクトをとりました。現時点で、スウェーデン(カロリンスカ研究所外科)・ドイツ(ハンブルグ大学)をはじめ4カ所の施設ににそれぞれ数日―1週間程度ですが、見学に行くことになっております。これについては後半篇で報告したいと思います。

海外での生活

バーミンガムの宿舎は、学生寮とも言うべき留学生会館をインターネットで見つけました。来て見ると6畳くらいの個室に、キッチン・バス・トイレがすべて共同という質素な宿舎で、ちょっと面食らいましたがが、単身赴任の私には十分。ちなみに家賃は420ポンド/月=現時点のレートで8万弱とバーミンガムにしては格安です。此処には世界各国から学生たちが集まってきます。キッチンが共同なので、時折彼らと日常の出来事や雑談をしておりました(もちろん英語で・・)。これもなかなか良い経験でした。

よく聞かれますが、英国に3ヶ月行く事に、何かの意味があるのか??という疑問に対しての返答を短くまとめます。
当然ですが3ヶ月では100点満点の成果は到底得られません。少なくとも0点ではないように思えます。0と1の差は無限大に大きいことを実感いたします。
私に生じた一番の変化は、外人恐怖症・英語恐怖症が克服されたことです。当初は英語が通じず、がっかりしたり、焦ったりしておりました。外に出るのもおっくうで、病院に行くのも、スーパーで買い物をするのも一々気合いを入れて、相当な力を込めてでかけておりました。こんな状態でしたので、週の半ばにはもう限界に近く、夜中や週末に親切にも手術の連絡を頂けたときには、嬉しい反面、このまま過労死するのではないかとさえ思いました。しかし、次第に、相手の言っている言葉の中から、要点だけを選び出すように耳を澄ませ、自分の言葉が通じなければ、自分の持っている少ない言葉の中から厳選した平易な言葉を使い(発音も練習し)、出来る限り平易な構文を用いることを心がけるようになってからは、少しずつ意思疎通ができるようになりました。最近では電話でレストランの予約までできるようになりました。大事なのは分かったふりは決してせず、相手が嫌な顔をしても気にせず・・・。たまには相手も理解しようとしてくれることがあります(大半は話を終わらせてしまうのですが)。ただし皆が議論し始めると、話についていけなくなり、一人だけ疎外感を味わうことには変化がありませんが、それも今は気にならなくなりました。

医学に関して言えば、我々はもっともっと世界に打って出ることが必要だと痛感しました。英文論文と国際学会発表は両方こなさなければなりません。標準的な日本の外科医の英語力ではきっと恥を掻きまくると思いますが、それでも出て行く必要があります。よく言われますが、日本の外科のレベルはなかなかのモノだと、今回改めて感じましたが、アピールすることに関しては、世界最低レベルかもしれません。(何人もの外科医に、日本の外科医はもったいない、アピールが圧倒的に足りないと言われました)。

さて、主には宿舎と病院を行き来し、21時になっても日が沈まない、明るい長い夜には主に手術見学と論文書き・そして日が沈む22時過ぎから寝るまでの間には読書(Kindleという便利なものがあるので、英国でも読書が出来る)と、ストイックにも充実した時間をすごしておりました。そんな単調かつ充実した日々でしたが、休日(たまに平日も)に、芸術鑑賞・自然体験・博物館・イングリッシュガーデン巡り等々、日本ではTVや本でしか見たことなかったものを目の前にすることができました。

決して楽しい事ばかりではありませんが、今まで考えもしなかった大変貴重な体験をさせてもらっております。あと数日で英国を離れ、ドイツに向かいます。-後半のヨーロッパ大陸篇はまたいつか報告いたします。

欧州臨床留学に興味のある方は私に直接ご連絡頂ければ幸いです。メールアドレスはdrnoji@med.hokudai.ac.jpです。

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