信州スロウライフ12ヵ月

野菜や草花と暮らす生活

秋真っ只中

2008年10月18日 23時09分50秒 |  日記
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珍しく10月に入り、週末は好天に恵まれ朝晩の気温だが大きくなり、木々は紅葉が進んできた。
朝の通勤の際は街路樹の紅葉の美しさに、上機嫌でハンドルさばきだ。
先週の土曜日は東京へ出かけ、さて今週は、と考えた。
天気予報では週末は晴れて、行楽日和という。
迷いに迷って、えいっ出かけるのは明日にして、今日は掃除洗濯畑と犬だと決めて朝から大回転だ。
心地よい秋の日差しは身体を動かして働くように仕向けてくれるから
散歩をねだる犬達を無視して家事に励んだ。
今年は家の周りの小菊を丁寧に面倒を見て株を増やしたところ、相当な増え方をして丁度コスモスが終わった頃に一斉に咲き始めた。
今満開になったが、これほど見事に増えて咲いてくれるとは思ってもみなかった。花が咲き乱れる家に住むという、夢は叶うものである。

やっとお昼を回り、恨めしそうな顔をしている犬達を引っ張り出して散歩に向かった。
本当に日差しは暖かく、気持ちが良い。
こんな贅沢な豊かな環境の中で部屋の中ばかりにいるのは勿体ないと歩き始めたら途端に反省する。
ところどころ木の種類によっては真っ赤に紅葉し、今年は紅葉が早くやってきたように思える。
通常なら車でしか来れない距離を覚悟の上なので、エコーラインから自由農園を通過し、林の中を暫く歩き、別荘地帯も通過した。
別荘は大半が閉まっており、静かな散歩道に木々は真っ赤に紅葉し最も美しい季節に見る人はいない。
針葉樹の林では特有の香気が漂い、同じような香りに、この夏行ったカナダの森のトレッキングを思い出した。

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 約1時間半、歩いた距離は1万1000歩で、犬達は足が短いから、多分5万歩くらい歩いたかもしれない。
今夜はさぞ良く寝るだろう。
今月末は多分紅葉も終わりの時期にかかり、夜はずっと冷え込むに違いないと思われる。
さあ明日は早起きして、上高地へ出かける予定だ。

実はこの2週間くらいずっと心の中は鬱々としていた。
10月のはじめ、俳優の緒方拳さんの訃報を読んでおののいた。
夏、NHKのドラマで帽子というドラマを見た。
若者と帽子職人の老人と、一緒に育った胎内被爆の幼馴染の話である。
痩せたなー、緒方拳、と思いながらドラマに引き込まれた。演技の一つ一つに磨きがかかり、まるで緒方拳そのものが主人公と重なり、とりわけ帽子を縫う針を持つ手つきや、新幹線に乗り東京へ向かう車中で自前の弁当を食べるシーン、あれには参った。
アルミの今は見ることの出来ない弁当箱にかぼちゃとサトイモの煮物とご飯が入った弁当で、かぼちゃの煮物がうまく炊いてある言いながら美味しそうに食べ、それを若者にも勧め、こっぴどく断られる。
このシーンはずっとドラマが終わっても何ヶ月も自分の中に残っていた。何だか切ないのだ。緒方拳にあまりにもぴったりすぎて。
別な映画では洋服仕立て屋の老人の役もあった。
帽子も洋服やも難しい役柄であるのにぴったりはまっていた。
追悼番組で帽子の番組をあらためて見て、そして泣いた。
それ以来ずっと私の心の中は穴が空いたままになっている。
別に親しいわけでもなく、しかし長いこと緒方拳のドラマは好きだった。
年齢が経つにつれ、演技が重々しくなり風貌もそれにつれ素敵な顔になり、まさに円熟して来たと思っていたが、痩せて来たのが気になり始めた。
自分は医療職であり人の死に目を山ほど見て来たので、痩せたりする様子を人より早く気付く。その後その人は訃報で発見し,やはり・・・と悲しくなる。
今回もそうだがやたらに死に直面する役柄が続いていたので、相当覚悟の上で役に向かってきたのであろうと思うと又涙が出る。
老いは闘うものではなく、仲良く連れ添っていくもの。過去でもなく、未来でもなく今を生きるということかなと追悼番組の中で話していられた。独特のあの笑顔とアルミの弁当のかぼちゃを食べるシーンがずっと残ります。