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「心をほぐす授業」寮美千子さんのトークを聞いて

2017-01-22 09:55:55 | エッセイ
昨日の朝「明日へのことば」で、奈良少年刑務所で心をほぐす詩の授業をした詩人寮美千子さんのトークを聞いた。

平成17年から去年9月まで、受刑者を対象に月一回の詩の授業を行い、彼らの作品を2冊の詩集にまとめ出版した。授業に参加したのは皆と歩調を合わせるのが難しく極端に内気で自己表現が苦手な子たち。

寮さんは東京生まれ、コピーライターを経て、昭和60年に毎日童話新人賞を受賞し、作家活動に入り、古い歴史の田舎くさい奈良で静かに余生を過ごそうと思っていた。5大監獄(千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島)の一つ奈良だけ残った。不平等条約解消に監獄ができ、威圧感がなく、修道院のような感じで、国の重要文化財に指定され、取り壊しの話があったが保存会の骨折りで存続と。

17歳から25歳の少年、定員は696名で9年前は740人入っていたが、いまは定員より少なく、3月で閉鎖になるが、年に一度の公開日に、受刑者の詩や俳句や水彩画を見て繊細でびっくり、教官の方との会話がきっかけで、月一回は1時間半の少ない時間では効果が上がるとは思えなかったが、怖かったので夫と一緒に、みんなと歩調の合わない10人の生徒を指導した。

最初、衣装を着たり絵本を読み拍手されたりして、1時間半過ぎると雰囲気が全然違がい、3回目から詩の授業を彼らの作品を題材ですすめ、心のつぶやきのことばを2冊の本「空が青いから白をえらんだのです」「世界はもっと美しくなる」に。

聴いて感動したのは、「空が青いから白をえらんだのです」は薬物中毒の後遺症で、いつも下を向いて早口でしゃべり、聞こえるように読んだら、周りから大拍手、急に話したいことがあるがいいですかと、話し始めた。

「僕のお母さんは今年で7回忌です。お母さんは体が弱かったが、お父さんはいつもお母さんを殴っていました。僕は小さかったのでお母さんのことを守ってあげることができませんでした。お母さんは亡くなる前に僕にこう言ってくれました。つらくなったら空を見てね、私はきっとそこにいるから。僕はお母さんの気持になってこの詩を書いてみました。」と。

普段は感想など言わないのに、いきなり手を挙げて、「僕は○○君はこの詩を書いただけで親孝行やったと思います」と云うんです。

また手が挙がって、「僕はお母さんを知りません、でも僕はこの詩を読んで空を見上げたらお母あさんに会えるような気がします」といって、ワーッと泣きだした。自傷行為の子で何度も自殺未遂をしたが、自傷行為が止まった。

また、「僕の好きな色は青色です、次に好きな色は赤色です」と何もしゃべらない子がその日からみんなと話ができるようになった。

寮さんは、いい作品だけが価値があると思うエリート主義者で、言葉の力がこんなにあるとは思いませんでしたと。この授業を彼らが刑務所に入る前に受けられたら、犯罪を犯さない気がする。心を開かせた授業に感動!






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