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意味に〈かたち〉を与える

 イヌやネコたちは、人間たちが近寄ったり、話しかけたりすることに反応し、様々な振る舞いをすることによって人との間に“対話”を成立させています。彼ら自身は、自らの行動の意味を理解していないにもかかわらず、現実世界の中でおこる彼らの行動は、そこにいる人間との相互作用の中において“意味”を生み出しているのです。いや正確には、その場で彼らと対峙する人々が“彼らの行動は、彼らと人々がおかれた現実環境の中で、その時の状況に応じた“意味”をもっている”と理解している、といったほうがいいかもしれません。


現実世界の中で、そこにいる人間との相互作用の中において“意味”を生み出している生き物たち

 
生き物たちは「世界で存在し反応する」ことによって環境世界の中に“意味”を生み出してきました。環境の中の“意味”とは、人間が理解できる言葉としての“意味”だけではありません。むしろもっと広範囲に生き物たちが環境に働きかけ、そして適応するときに必然的に環境の中に生まれてくるもの、といえるものなのです。
 
たとえば彼らのある行動の結果、彼らは食物にありつけたとします。その行動のプロセスの総体が、効果的な運動指令群の組み合わせという、より高次のレベルのニューロンの反応群としてルーティン化していきます。そしてそれが心の中ひとイメージをかたちづくるのです。
 
またある行動の結果、彼らの仲間が他の動物に食べられてしまった、とします。その一連の出来事を彼らが“見る”ことによって、そのプロセスの総体はより高次のレベルのニューロンの反応群としてルーティン化され、またあらたな心の中のイメージをかたちづくるのです。
 
こうした心の中のイメージは、彼らの環境への働きかけとその相互作用によって生じるものですが、彼らの行為、心の中に生まれたイメージの説明は、環境の中でしかできません。彼らを取り巻く様々なもの、風、雨、光、水、木々、草花、様々な生き物たち。それはまさに環境としか言いようがないもので、その中に彼らがいて、そこで生じた出来事の総体が、その心の中のイメージをかたちづくっているのです。
 
生き物とそれを取り巻く環境との相互作用によって生じ、その出来事の総体として心の中につくりだされたイメージ(ルーティン化したニューロンの反応群)が、実はその一連の出来事の“意味”を示している、といっていいでしょう。それは「見る」ことを中心に生き物の感覚器官によってとらえられ、作り出されたもので、自己の中に形成された“意味”としてのイメージだったのです。
 
さらに生き物たちが、ある言葉を聞く、ある行動を見る、ある出来事に遭遇するなどの外的刺激によって、再度、心の中にそのイメージ(ルーティン化したニューロンの反応群)を再現した時、それを“理解”と呼ぶことができる、といっていいでしょう。
 まだ自分と他者の区別がない状態の
生き物たちは、この時自分に生じた“理解”は他者である自分と同類の仲間たちにも同様に生じる、と思い込みます。そこで彼らは仲間たちに“理解”を即すために、心の中のイメージ(=“意味”)に〈かたち〉を与え、相手に向かって発信(発声、体の振る舞い、行動など)することを試み始めるのです。それが仲間とのコミュニケーションの始まり、ということになります。
 
その〈かたち〉のやり取りが、さらなる高次の“意味”と“理解”のレベルを生み、それがまた〈かたち〉の在り方に反映していくというプロセスを繰り返していきます。そしてその結果、ある特定の、物理的に存在するモノを“意味”する〈かたち〉がまず最初に出来上がっていきます。さらにはそのモノをとる、つかむ、なげる、あるいは敵から逃げる、隠れるなどの行為を指し示す声、振る舞いといった特定の運動指令群を“意味”する〈かたち〉が生まれてきたのです。
 
このようにして物理的な存在物が存在し、直接的に知覚等ができる領域-具体的領域の中で、身体を含む現実環境の中を基盤とする“意味”と“理解”がまず生まれてきたのです。

 

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