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限定される〈理解〉

 ヤンガー・ドライアス期の乾燥した苛酷な環境を生き抜いた人々は、日干し煉瓦を用いた家をつくるための“言語”都市をつくるための“言語”を獲得していきました。それは彼らのいわば社会的な言葉でもあったのですが、この社会的な言葉とは、いま私たちが使っている日本語や英語などの「言語」という様態をとるものだけを指しているのではなく、集団の中での社会的関係を構成するためのコミュニケーション手段のすべての様態を含むものだったのです。アブ・フレイラ2チャタルホユックで家づくりや都市づくりのためにおこなわれた一連の作業と技法は、そのひとつの様態でもあったのです。
 
人間の思考は言葉を用いて行われますが、その言葉は社会的なもので、その社会的な言葉を用いなければ、思考はできません。社会的な言葉を“聞いて”、あるいは“見て”、自らの脳内にイメージをつくることができれば、彼らはその言葉を〈理解〉したことになるのですが、このとき彼らの社会的な言葉を生み出す社会は、その生息する環境に大きく依存しているのです。そして環境にある〈意味〉の〈理解〉を操作するために思考は生まれたのですが、それが成立するためには、根本的に現実世界での経験値の積み上げ、〈重みづけ〉が不可欠で、現実世界に住み込むことによる現実世界との相互作用が特に重要であったのです。
 
言い換えれば、彼らの思考は、彼らが使用する社会的言葉によって表象される範囲に限定されていたる、ともいえるのですが、それはまた、その〈理解〉の範囲も彼らが生息する環境によって限定されていることを意味しています。家をつくるための“言語”や都市をつくるための“言語”を生み出した彼らはまた、その言語が生み出した環境によってその〈理解〉の範囲が限定されていったのです。


方形の家-あらたに生み出された“言語”はまた、その環境によって〈理解〉の範囲を限定するものでもあったのです。

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