管財人報酬に対する負担金の考察~大阪弁護士会の会則等から

2014-09-04 20:02:49 | Weblog
管財人報酬に対する負担金の考察~大阪弁護士会の会則等から
しばらく更新してなかったら気づいたら約3か月・・・またぼちぼち再始動したいと思います。



さて、今回のテーマは、管財人報酬に対する大阪弁護士会の負担金について。



破産管財人としての業務が終わると、その報酬の7%相当額について、請求が来ます。売上の7%ですよ。どんだけぼったくりやねん、と思いますし、なんで弁護士会に取られなあかんねん、と思います。

この請求がくる都度、むかむかする気分を抑えられず(笑)、先日空き時間を見て、会則等を紐解いてみました。



結論からいうと、現状の会則等からすると、管財人報酬に対する負担金会費は、他の負担金会費と比べて、「宙に浮いた」状態といえます。詳細は以下のとおりですが、会則や規定については、大阪弁護士会の先生方はできれば各自でご確認願います。



大阪弁護士会の会員は、「会費」や「負担金会費」という名のお金を払わねばなりません。某先生は「みかじめ料」とか「上納金」とかおっしゃっておられますが・・・(笑)根拠規定は大阪弁護士会会則(以下「会則」といいます)が出発点です。



第159条(会費等を納付する義務)


 1 弁護士である会員は、本会が定める会費、特別会費、負担金会費及び賦課金を納めなければならない。


(2項以下略)






ところで、この「会費」「負担金会費」「賦課金」については、次のような規定があり、現実には「会規」において規定されています。






第160条(会規又は総会の決議への委任)


  会費、負担金会費及び賦課金の額、種類その他必要な事項は、会規又は総会の決議をもって定める。




この会則160条を受けて、「大阪弁護士会各種会費規程」(以下「会費規程」といいます)があります。抜粋すると、



第1条 この規程は、会則第百六十条、弁護士法人規程(以下「法人規程」という。)第二十五条及び外国特別会員基本規程(以下「基本規程」という。)第六十六条第二項に規定する会費、特別会費、負担金会費及び賦課金について必要な事項を定める。




とあり、会費規程が会則160条の委任立法であることがわかります。

そして、今回問題の破産管財人の報酬に対する負担金会費は、「負担金会費」という名称がついているので、その定義規定を見てみると、以下の規定が見つかります。



(負担金会費)


第3条 会則第百五十九条第一項、法人規程第二十四条第一項及び基本規程第六十六条第一項に定める負担金会費とは、次の各号に掲げるものをいう。


一 会館負担金会費  ※3条の2で定義。入会時の40万円がこれに当たります。


二 公益活動負担金会費 ※3条の3で定義。


三 刑事弁護基金負担金会費 ※3条の5第1号で定義。

四 法律相談事業負担金会費 ※3条の5第2号で定義。


五 住宅紛争審査会負担金会費 ※定義無し


六 犯罪被害者支援負担金会費 ※3条の5第3号で定義

 七 公設事務所負担金会費 ※定義無し 

 八 法律援助事業基金負担金会費 ※3条の5第4号で定義





このように、負担金会費の種類は限定列挙されています。問題は、管財人報酬に対する負担金会費が、このどれに含まれるかです。



で、条文を読み進めると、会費規程の3条の4にぶつかります。このうち2号が管財人報酬の負担金会費を定めています。



(その他の負担金会費)


第三条の四 会員又は外国特別会員は、次の各号に掲げる負担金会費を納めなければならない。

 一 略(※ここに刑事弁護での報酬の5%相当額を払え、と書いてあります。)

二 裁判所から選任された…(中略)、破産管財人…の報酬の七%(後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人及び任意後見監督人の報酬については、就任時から一年間のものに限る。)



 三~十 略





あ、なんだ、やっぱり根拠があったのか、とも思えますが、よくよく文言を見てみると、あることに気づきます。

それは、3条の4では、負担金会費の種類を定めた会費規程3条各号との関連性は明確には規定されていない、ということです。



ところが、会費規程を読み進めると、3条の4記載の「その他の負担金会費」の大部分は、その後に、負担金会費との関連性を記載した規定が見つかります。



(特別会計引当金)


第三条の五 負担金会費のうち次の各号に掲げるものは、当該各号に掲げる特別会計引当金として、それぞれ一般会計において経理する。


一 刑事弁護基金負担金会費(前条第一項第一号の負担金会費の五分の二をいう。) 刑事弁護特別会計引当金


二 法律相談事業負担金会費(前条第一項第三号から同項第六号まで、同項第八号及び同項第九号の負担金会費をいう。) 法律相談事業特別会計引当金


三 犯罪被害者支援負担金会費(前条第一項第十号の負担金会費をいう。) 人権基金特別会計引当金


四 法律援助事業基金負担金会費(前条第一項第一号の負担金会費の五分の一をいう。) 法律援助事業基金特別会計引当金







ここでの関連性の紐付けでは、2号、7号の負担金が除かれています。つまり、破産管財人報酬の7%相当額は、3条の4第1項2号に規定されていますので、この「3条の5」のどれにもあたりません。



そして、会費規程における負担金会費に関する最後の条文がこれ(4条以下は「賦課金」を定めており負担金会費とは異なるようです)。




(積立金)


第三条の六 次の各号に掲げる負担金会費は、会館積立金として、一般会計において経理する。


一 会館負担金会費の全部


二 第三条の四第一項第一号の負担金会費の五分の二及び同項第二号の負担金会費の全部の合計額のうち一会計年度につき金三千万円を差し引いたもの


三 第三条の四第一項第七号の負担金会費の全部


2 第三条の四第一項第一号の負担金会費の五分の二及び同項第二号の負担金会費の全部の合計額のうち一会計年度につき金三千万円は、公設事務所積立金として、一般会計において経理する。


3 第三条の三の公益活動負担金会費は、公益活動積立金として、一般会計において経理する。





管財人報酬の7%相当額の使い道について、「会館積立金として」「公設事務所積立金として」という記載はありますが、これらは「会館負担金」「公設事務所負担金」とはされていません。



ざっと確認しただけなので誤りがあるかもしれませんが、結局、管財人報酬に対する7%相当額の負担金会費は、「会館積立金」や「公設事務所積立金」にはなりますが、少なくとも会費規定上は、会費規程3条各号に定める「会則159条1項に基づく負担金会費」との紐付けはされていない、ということです。




経緯についてはよくわかりませんし、もしかしたら他の規程などに定めがあるのかもしれませんが、会費規程と会則を見る限り、現状、管財人報酬の7%相当額の負担金会費は、会則159条1項に基づくものではなさそうであり、いわば自然債務のような状況、と言いうるのかもしれません。

ただ、今後、弁護士会の方で、この「宙に浮いた」規定状態は、改正をしてくるかもしれません。



管財人報酬のピンハネについてご不満をお持ちの方は、会の方の動きを注視しておいた方がいいかもしれませんね(笑)

※ コメント歓迎。条文の読み方を間違えている、というご指摘もあればありがたいです。

http://ameblo.jp/akagilaw/entry-11919946855.html

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