おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書「陥没地帯 オペラ・オペラシオネル」(蓮実重彦)河出書房新書

2016-10-17 21:20:59 | 読書無限
 三島賞で話題を取った蓮見さんの、それに先行する小説2編が出版されました。さっそく。
 といっても、今回は「オペラ・オペラシオネル」nomiを。

 皆さんは先刻ご承知でしょうが、「オペラ」と「オペラシオネル」(オペレーション、軍事作戦行動)と掛け合わせたどこかの国を舞台にしたお話し。のっけから何時間も乱気流に巻き込まれてしまったような。・・・展開どころか表現の繰り返しが多く、読んでいると、あれさっきと同じ、と戻ってみたりして、あてもなき浮遊感覚を実に楽しませながら。
 すっかり年老いた、組織の男と同志なのかそれとも敵方なのか、若いのか年老いているのか、一人の女性との不思議な逢瀬、駆け引き。味方か敵かを見分ける唯一のネックレスも、かそけき存在。そんな詮索などもどうでもいい、と。
 
 「文藝」1994年夏号に初出された作品。長年のさすらいの旅から、また衆人の目に触れたというわけです。

 今回の作品を彷彿させるのかどうか、読んでいないので、皆目、見当がつかぬが、
一つしかないベッドに横たえる女の、からだ。そこからの語り?騙り? の一文のよほどの長さはたたみかけるようで、小気味よいほどだが、あえて安っぽいサスペンス仕立てを、ものす。

 新装なった市立劇場の新作オペラの展開と共にモノ語りは進んで行く。いや、オペラすら架空のものか。
 が、舞台装置は激しく横揺れするゴンドラであり、サイドカーであり、漆黒のトンネルであり、女の乗馬服であったのですが。「多少の揺れは覚悟している」いう女との生死をめぐる飛行が始まったのか? その果てに?

快作か怪作か、そうした浮遊感覚はまさに読んでのお楽しみ。さっそく新作を読みたい気分になりました。

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