赤ちゃん、子供のアトピーをスキンケアと乳酸菌で治療、小児科・皮膚科、西焼津こどもクリニック(静岡県焼津市)

西焼津こどもクリニックの林隆博医師(小児科・皮膚科)が乳酸菌でアトピー性皮膚炎を予防・治療する方法で特許を取得しました。

子どものアトピー・アレルギー撲滅開始の記念日

2014年09月01日 | 健康

昨日8月31日は、将来『アトピー撲滅の記念日』と制定されるかも知れません。

滋賀県大津市の竹林ウイメンズクリニック様で『出産前からアトピー予防』という主旨の講演会を開催して頂き、大変好評でした。

この新しい動きが、日本中の産婦人科に広がることを心から願っています。

昨日の講演のダイジェスト版はこちらです→アトピー予防のビデオ


小児アトピー性皮膚炎|症状|原因|治療|今後の連載予定

2013年11月28日 | 健康

今回からは「小児アトピー性皮膚炎の原因と治療」をテーマに記事を連載いたします。今後の連載予定について(実際には書いていく中で変更があると思いますが)現時点での構想を列挙させて頂きます。

1) アトピー・アレルギーは血液の病気です|アトピー性皮膚炎についてその原因が血液の異常であることを明言しているウエブ記事が意外に少ないことに気がつき ました。アトピー・アレルギー疾患は、白血球のうち、Th2細胞とTh1細胞と呼ばれる免疫を調節するリンパ球の機能異常が原因であるから、単に皮膚だけ に作用するステロイド外用薬や、スキンケアのみでは根本的な治療にはなっていません。この点の誤解が多くの患者さんを苦しめ、またステロイド拒否や、脱軟 膏・脱ステロイドと言った本筋ではない治療方への転換に、アトピー患者さん達の足を向けさせ、結果的には治療の足かせとなっている理由だと思います。この 点について、私の考えをしっかりと書いていこうと思います。

2)ステロイド外用とスキンケアについて|アトピーのスキンケアについて実際 に患者さんを治しながら書いているウエブ記事は殆どなくて、目先の変わった製品や、安価な原材料で作った粗悪なスキンケア製品を勧めていたり、また粗悪な スキンケア製品を高価格で売りつけようとするウエブサイトが実に多いと思います。さらに最悪なのは、医師免許も持っていない方が、「こうやってアトピーを 治した」と、自己流の治療方法を売りつけている「偽医者行為」も横行しています。この点について、実際にアトピー患者さんを治療しながら、アトピー性皮膚 炎の肌がどのようにスキンケアに反応するのか、25年間に亘って重症アトピー患者さんを治癒しながら、私が実際に経験して考えてきたことを書いていこうと 思います。

3)アトピー性皮膚炎の原因治療は不可能なのか?|アトピー性皮膚炎について免疫機能の異常を根本的に治療することは不可能な のでしょうか?この点が多くの重症患者さんが一番関心があって、知りたい部分だと思います。実際のところ、成長した後まで重症のアトピー性皮膚炎に苦しむ 患者さんには、現代医学はまだ「根本的な治療方法」を提供できていません。だからといって古くから有る古典医学が、過去100年で急激に増加した「現代 病」であるアトピー性皮膚炎に対応できる訳でもありません。アトピー性皮膚炎を漢方薬で治すというのは、実に確実性の低い「思いつきと試行錯誤」の治療に なります。この点について、多くの重症アトピー患者さんを実際に治しながら、私が経験したことを集約していこうと思います。

4)アトピー 性皮膚炎には予防にまさる治療は無い|アトピー性皮膚炎は乳幼児期であれば比較的簡単に完治させることが出来ます。検査漬け・薬漬けの医療ではなく、発病 を予防し、病気の進行を止め、血液の白血球のうち、Th2細胞とTh1細胞と呼ばれる免疫を調節するリンパ球の機能異常が進行するのを食い止めることで、 発病を阻止して完治させることが、3歳までであれば可能だと私は考えています。そのためには何をすれば良いのか、通院しなくても家庭で出来ることはあるの か?この点について、最新の医学情報を元に書いていこうと思います。

5)子どもをアトピー性皮膚炎と決めつける前に|私のクリニックに、 「他院でアトピーですと診断されて治らない」と来る方の半数以上は、驚いたことに前の先生が皮膚感染症をアトピー性皮膚炎と誤診しているケースです。じっ くり診ないでアトピーと決めつけて、プロトピックやステロイドの外用剤で治療する前に、「感染症がないかどうか?」 疑うこと、アトピーが治らない方にも この点を再確認することが大切ですね。この事が、現在の「アトピー治療の混乱」の最大の原因の一つだと思います。感染原因として一番多いのがマラセチアや 白癬菌などの真菌感染症です。次に多いのが、ヘルペスウイルス属、1型もありますが大半はおそらくは8型や亜種だろうと思います。日常よく見る伝染性軟属 腫や、ブドウ球菌や連鎖球菌の細菌感染症を見落とす医師は論外ですが、不幸なことに、ごく稀にこのレベルの誤診をされている場合もあります。

 難治性患者さんの半数近くが、間違って「自分はアトピー性皮膚炎だと」信じ込んでいます。多くの方の幸せのために、「感染症の混入を排除すること」について、医師にとって耳の痛い話を敢えて書いていこうと思います。

内容が濃く書くべき事が多い分野なので、長期の連載になると思います。今すぐ結論が欲しい方には申し訳ないと感じていますが、簡単に書ききれない内容ですので、どうかゆっくり気長にお付き合い下さい。 FC2 Management


ブレーベ菌なら、特許のベストトリム乳酸菌|ビフィズス菌|アシドフィルス菌|でアトピーを撃退!

2013年09月18日 | 健康

私が発明したアトピーを撃退するベストトリム乳酸菌(ビフィズス菌+アシドフィルス菌)は、国内で唯一、『アトピー性皮膚炎を防ぐ保健食品』の特許を取得しています。特許の取れない他の製品とは全く異なるレベルの、ブレーベ菌を1包に200億個含む乳酸菌食品です。


赤ちゃんには、ブレーベ菌・インファンティス菌・ロンガム菌とアシドフィルス菌がアトピー予防に大切です

2010年08月22日 | 健康
 海外の医学論文から、赤ちゃんと子どものアトピー・アレルギーの原因が腸内細菌叢の乱れにあることを解説してきました。このあたりで、一度全体をまとめる意味で最新の医学レビュー文献を紹介しようと思います。原著は、Ozdemir O. ”Various effects of different probiotic strains in allergic isorders: an update from laboratory and clinical data.” Clin Exp Immunol. 2010 Mar 16.
 乳酸菌プロバイオティクスの抗アレルギー効果に関する先進国フィンランドからの最新の医学レビュー集を3回に分けて連載いたします。

 アレルギーのない子どもではビフィズス菌と乳酸桿菌が優勢な腸内細菌である一方で、アレルギーを持つ子どもの腸内では健康児に比べて、クロストリデューム属が優性で、ビフィズス菌の生存が少ないことが疫学的に証明されています。プロバイオティクスとは、腸内細菌叢に対して宿主に有益な恩恵を与える生きた微生物のことで、その代表が乳酸桿菌です。腸内細菌叢がプロバイオティクスによって強化されると、アトピー性皮膚炎の予防に相関する事がわかっています。プロバイオティクスを食事と一緒に取ることがアレルギー疾患の予防と治療に有効であることを強く示唆する医学データが集積しています。アレルギー性鼻炎とIgE関連性アトピー性皮膚炎に対して臨床的な改善効果が多くの医学論文で報告されています。しかしながら、プロバイオティクスの臨床効果は、たとえば菌の種類や投与量と回数や方法、さらには受取手の年齢や食事内容など、多くの要素の影響を受けます。最も効果的な菌の種類を特定し、投与量と投与方法を決定することが今後の課題です。このレビューでは最近の医学報告データに視点を当てて、プロバイオティクスの持つさまざまなアレルギー疾患への効果の理解に役立てようと思います。

 子どもの免疫システムの成熟は乳児期初期(赤ちゃんの時期)にはヘルパーT2型細胞(Th2)に向かう傾向があります。それに対して、生後の免疫成熟でTh2型が徐々に押さえられて、Th1型が増えてきます。つまり、子どもをアトピー・アレルギー性疾患に発病させないためには、新生時期のTh2型優勢な免疫反応が環境因子である腸内細菌叢の刺激によって成熟される必要があるのです。近年の抗生物質の多用や殺菌された食品の常用、核家族化による感染機会の減少で、子どもたちは乳児期に微生物との接触機会が激減しています。これがつまりは『衛生仮説』として知られる、先進工業国特有の過度に衛生的な環境で子どもの腸内細菌叢が未熟なまま免疫発達が遅れるという見解であります。

 赤ちゃんは出産時に最初の細菌叢を受け取りますが、これは出産の方式・産後の栄養方式・赤ちゃん周囲の衛生環境で異なります。赤ちゃんの腸内細菌叢は通常はお母さんの腸内からと産道内から受け取ります。帝王切開で生まれた赤ちゃんでは、普通分娩の赤ちゃんに比べてビフィズス菌と乳酸桿菌の発育が遅く、呼吸器感染症にかかりやすいことが報告されています。出産後には母乳育児がお母さんから赤ちゃんへのビフィズス菌を中心とした伝搬に貢献します。母乳に含まれているオリゴ糖も赤ちゃんの腸でビフィズス菌を中心とした細菌叢が育まれるのを助けます。これら赤ちゃんの腸での乳酸菌の発育は抗生物質の投与などでも影響を受けます。

 母乳栄養の赤ちゃんと人工乳の赤ちゃんの一番の違いは、ビフィズス菌と乳酸桿菌が育つか育たないかです。通常の母乳栄養の場合には赤ちゃんは生まれてすぐに、一週間後にはブレーベ菌・インファンティス菌・ロンガム菌の3種類のビフィズス菌が腸内で優勢になります。さらにアシドフィルス菌が母乳栄養の赤ちゃんで一番多く見られる乳酸桿菌です。それに対して、人工栄養の赤ちゃんの腸には、クロストリデューム属とバクテロイデス属(両方とも悪玉菌の代表格です)を主体としてビフィズス菌が異常に少ない、もっとゴチャゴチャの細菌類が棲み付いています。

 疫学調査のデータによれば、アトピー性皮膚炎の子どもの腸にはクロストリデューム属が多くビフィズス菌が少ない、健康な子どもとは異なった腸内細菌叢が構成されています。さらに他の疫学データによれば、赤ちゃんの時期に病原性の強いクロストリデューム difficile や黄色ブドウ球菌が棲み付くと、高率に子どものアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患を発病しやすいことが報告されています。それに対して、アレルギーのない健康な子どもでは乳酸桿菌とビフィズス菌が優勢に観察されます。これらのビフィズス菌と乳酸桿菌のプロバイオティクスを投与することでアトピーを撲滅できる可能性が示唆されています。この理念に従って、病原性のないプロバイオティクスは赤ちゃんと子どものアトピー・アレルギーの予防と治療に医学応用されています。このレビューではプロバイオティクスについて、いろいろなアレルギー疾患の予防と知慮に応用できる鍵を握る最近の医学報告を集めて解説しようと思います。

 第1回の今回は、このレビューの最初の部分のみを翻訳して引用しましたが、アトピー児では腸内にクロストリデューム属や黄色ブドウ球菌などの病原菌、悪玉腸内細菌が多いことが疫学調査で明らかで、アトピーの原因は腸にあるとも考えられます。それに対して健康な赤ちゃんの腸に多いのは、ブレーベ菌・インファンティス菌・ロンガム菌の3種類のビフィズス菌とアシドフィルス菌で、これらを理想的な配分で混合し、さらにオリゴ糖を加えて製品化した《ベストトリム乳酸菌》こそが、妊娠中のお母さんとアトピーの心配な赤ちゃんにとって最も心強い味方であること、アトピーとアレルギーの予防に最適の乳酸菌であることが、最新の医学データを集めたこの論文からも読みとれると思います。

 私は1996年以来、静岡県焼津市の西焼津こどもクリニックで、ビフィズス菌とアシドフィルス菌を使った赤ちゃんと子どものアトピー性皮膚炎および気管支喘息の第一次予防の研究を続けてきました。この長期間の臨床応用から、ビフィズス菌を1日に500億個、アシドフィルス菌を1日に50億個、毎日飲ませることで赤ちゃんと子どものアトピー・アレルギー疾患を予防できることを発見して特許をいただきました。私の研究が日本中からアトピーを撲滅する一つのステップとなり、アトピーで苦しむ何十万人もの子どもたちを苦しみから救うことを心から願っております。

ビフィズス菌と乳酸桿菌のミックスを妊娠中と乳児期に飲めば1才時にアトピーが予防できる

2010年08月15日 | 健康
 ビフィズス菌2種類と乳酸桿菌を混合して使用した最新のプラセボ使用2重盲験試験から、共益性乳酸菌プロバイオティクスのアトピー性皮膚炎予防に対する有効性を再度認識させた医学実験を紹介いたします。原著は、Kim JY,et.al:”Effect of probiotic mix (Bifidobacterium bifidum, Bifidobacterium lactis, Lactobacillus acidophilus) in the primary prevention of eczema: a double-blind, randomized, placebo-controlled trial." Pediatr Allergy Immunol . 2009 Oct 14. 韓国ソウル大学からの報告です。今回も文献からのダイジェスト版で紹介いたします。

 アトピーの湿疹は特に小児期によく診られる病気で、世界的にも増加傾向にあることが最近の統計でも指摘されています。韓国では1995年から2000年までの5年間で、6才から12才の子どものアトピー性皮膚炎罹患率は19.7%から27.5%にまで増加しました。このような増加の背景には、乳児期早期の微生物との接触機会の現象によりTh-2型リンパ球優位の免疫系が作られ、その結果アレルギー体質になり発病しやすい;いわゆる環境衛生仮説が唱えられています。

 最近になって、腸内細菌叢が正常な腸管粘膜バリア機能の維持と食物抗原への耐性獲得に重要な役割を担っていることが強調されています。無菌的に飼育されたマウスは食事アレルギーへの経口耐性獲得が不可能で、Th-2系免疫反応が持続的に強化されるのに対して、新生時期に腸内細菌叢を再建すると、この免疫以上を修正することが出来ます。アレルギーの子どもの腸にはビフィズス菌と乳酸桿菌が少なくて、クロストリデュム属の悪玉菌が多いことが、アレルギーのない正常な子どもに比べて指摘されています。また特定の腸内細菌はToll協同性タンパク質を増やし、その結果アレルゲンへの経口耐性が獲得されるとの知見もあります。以上より、ある種の腸内細菌がレギュラーT細胞の調整に関与し、アレルギー体質とアトピーの発病を抑制することが示唆されます。

 妊娠中と乳児期早期に乳酸菌サプリメントを投与することで、赤ちゃんと子どものアトピー性皮膚炎を予防できるかどうかには、現在もなお反対意見が残っています。乳酸桿菌LGGを妊娠中と乳児期に投与することで、2才時点のアトピー発病を予防でき、この効果は7才まで持続することが医学的に確かめられています。しかしながら、喘息とアレルギー性鼻炎には予防効果は有りませんでした。
 また別の報告では、アシドフィルス菌(LAVRI-A1)を投与してもアトピーの有病率と重症度は変わりませんでしたが、1才時点でのアレルギー過敏性検査は改善しました。これらの相反する実験結果は、赤ちゃんへのプロバイオティクス乳酸菌のサプリメント投与がアトピー予防効果があるかどうかを、一層詳しく検証する必要があることを示しています。
 今回の実験では私たちは、妊娠中と乳児期にビフィズス菌とアシドフィルス菌を投与して、アトピー性皮膚炎の発病と食物アレルギーの発症を予防できることを確かめました。

 実験はプラセボ対照の2重盲験試験で、アトピー性皮膚炎の発病をプロバイオティクス投与で予防できるかどうかを調べました。2005年1月から2006年1月までの期間、アレルギーの家族歴を持つ112人の妊婦さんがSamsung医療センターで集積されました。アレルギーの家族歴は、(1)両親か兄姉のいずれか一人以上が医師によってアレルギーであると実験開始時に診断されている、あるいは(2)両親のいずれかが過去に喘息あるいはアレルギー性鼻炎に罹患した病歴があり、ダニ特異IgE値が1.0kU/Lであることで判断しました。

 プロバイオティクス投与群の妊婦さんには、ビフィズス菌2種類(B.bifidum BGN4; B.lactis AD011) とアシドフィルス菌(AD031)がそれぞれ16億個ずつ賦形剤と共に出産予定日の8週間前から産後3ヶ月間投与されました。赤ちゃんは3ヶ月までは完全母乳で育てられ、4ヶ月目からは母乳か育児ミルクか湯冷ましのいずれかに溶かしてプロバイオティクスが投与されました。プラセボグループには賦形剤だけが投与されましたが、袋の外観、中身の見た目、臭い、味共に区別できませんでした。
 全ての母親は3ヶ月まで完全母乳が義務づけられ、ピーナッツと卵とヨーグルト等のプロバイオティクス類の食用が制限されました。先天性の病気があった一例が解析から除外されました。実験は倫理規定に準拠しデータはISRCTN26134979に登録されました。

 赤ちゃんは3ヶ月、6ヶ月、1才時にアトピー性湿疹とアレルギー疾患の有無を診察され、アトピー性皮膚炎の診断は Hanifin & Rajka の診断基準に従いました。診断はプラセボかどうかを知らされていない小児アレルギー専門家によって下されました(2重盲験試験)。1才時に血液検査でアレルゲン特異IgEと総IgEが測定されました。

 我々の予想では、アトピー性皮膚炎ハイリスク群での湿疹累積罹患率は60%に到達し、プロバイオティクスの投与で30%まで減少できると考えられました。今回の実験デザインは危険率5%で80%以上の精度で、被験者数はそれぞれ55人で、15%の中断が容認できます。実験の全課程を完了したのはプロバイオティクス群33組、プラセボ群35組の母子でした。実験開始時の両群の背景には有意差はありませんでした。

 実験参加乳児が3ヶ月時の湿疹発現率はプロバイオティクス群/プラセボ群で 18.6% 対 34.8% (p=0.086) と統計的有意差は認められませんでした。6ヶ月時には 20.0% 対 40.5% (p=0.053) と統計的有意差は認めませんでした。1才時には 18.2% 対 40.0% (p=0.048) と有病率を半分以下に低減でき、統計学的有意差が確認されました。アトピーの累積罹患率は 36.4% 対 62.9% (p=0.029) でアトピー性皮膚炎の累積罹患率を有意に減少できました。
 1才時の特異的IgE検査値には両群で有意差はありませんでした。

 日本に一番近い隣国のソウルではアトピー性皮膚炎に対する予防意識が高く、この点で日本はもしかすると先進工業国で一番遅れているのではないかと危機感を感じる発表でした。少なくとも日本の医師の間ではこのような乳酸菌プロバイオティクスによるアトピー予防の意識すら持たれていなく、小児アレルギー系の医学会でも1例報告すら見あたりません。このままでは日本は子どもの予防医学がアジアで一番遅れた国になってしまうのではないでしょうか?

 その様な危機感を払拭するために、1998年に小生が世界に先駆けて発見したビフィズス菌とアシドフィルス菌を使用して赤ちゃんと乳児のアトピー性皮膚炎を予防する特許がベストトリム乳酸菌として製品化されたのです。韓国の実験は内容的には小生の特許第4010062号を2重盲験試験で確認した間接的な証明となっています。変化しているのはアトピーの罹患率が1996年当時からはずいぶん高くなっていることです。
 世界に先駆けて発見されて実用化されたビフィズス菌とアシドフィルス菌を含むベストトリム乳酸菌が、日本の子どもたちのアトピー予防に使われ、日本からアトピーで苦しむ人がいなくなることを心から願っております。

 

アトピーに乳酸菌が良い?医学的根拠は本当にあるのですか?

2010年08月14日 | 健康
 アトピーに乳酸菌が良いと言われていますが、本当に医学的な証拠はあるのでしょうか?この質問に対する明快な回答は「乳酸桿菌とビフィズス菌には赤ちゃんのアトピーを予防する効果があります。妊娠中、授乳中の母親と生まれた赤ちゃんの両方が一定期間(合計7ヶ月以上)、生きた共益性乳酸菌プロバイオティクスを毎日きちんと飲んだ場合に、アトピー性皮膚炎の発病率を半分以下程度に下げる効果が確認されています。しかし、発病後の治療効果については疑わしく、確固たるアレルギーへの治療効果を支持する統合的な実験データは、残念ながら今のところまだ出されていません」というところが妥当性のある正しい回答だと思います。アトピーやアレルギーに対する乳酸菌プロバイオティクスの効果は、現実より過度に期待されすぎていて、「効く効くと言われて使ってみたけれど、全然変わらなかった…」と、逆にインチキ臭くなっている気がするのは私だけではないでしょう。そこで、今回はアトピーに乳酸菌プロバイオティクスが良いという、本当の医学的根拠を紹介しようと思います。

 原著は Lee J, Seto D, Bielory L. "Meta-analysis of clinical trials of probiotics for prevention and treatment of pediatric atopic dermatitis." J Allergy Clin Immunol. 2008 Jan;121(1):116-121.e11. で、1997年から2007年までの11年間に報告された、プラセボ対照2重盲験試験を使用して乳酸菌プロバイオティクスのアトピー性皮膚炎への医学的効果を検証した、19編の英文医学論文のメタ解析から、アトピー性皮膚炎の予防効果が国際的に認められたと思われる発表で、下記のアドレスで閲覧できます。
 http://www.jacionline.org/article/S0091-6749%2807%2902172-0/fulltext
 インターネット検索が普及して数理解析ソフトが手軽に使える今日だからこそ、同じテーマの医学論文を徹底的に比較解析するメタ解析がこれからの医学的実証の方法論となると思われます。今回は全文が閲覧できますので、要旨の部分を中心に抜粋引用して解説いたします。数理的に難しい訳語が多いので、本文をご覧になられた方がわかりやすいかも知れませんが、何とか日本語訳を試みてみました。

 表題:小児アトピー性皮膚炎の予防と治療に関するプロバイオティクスの臨床試験のメタ分析

 周産期と乳児期のプロバイオティクスサプリメント使用は、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎に対する予防目的と治療目的で臨床試験が続けられてきました。しかしながら、実験デザインの不一致により、結果は賛否が混乱して解釈を妨げています。そこで、子どものアトピー性皮膚炎に対するプロバイオティクスの効果を定量的臨床試験の結果の集積から解釈し、優れた方法論で行われた実験を集約して鍵を握る実験の特性を把握するために、今回のメタ解析を行いました。
 PubMed と Cochrane を使用して、1997年2月から2007年5月までの21編の医学実験データ(被験者総数 n=1898,年齢分布0才~13才)が検索されました。この中から2重盲験試験を実施した10編が抽出されて、RevManを使用してメタ分析にかけられました。
 予防効果に関する6編の実験データ(被験者総数 n=1581) および治療効果に関する4編の実験データ(被験者総数 n=299) はそれぞれ、相対的な危険率および加重平均差を、固定の影響とランダムな影響のモデルを用いてデータ集積されました。

 アトピーに対するプロバイオティクスの集積的予防効果は、それぞれ0.69(0.57、0.83)と0.66(0.49、0.89)で、結果はほぼ一致しました。この数値は固定危険率95%でプロバイオティクスにアトピー予防効果が有ることを証明しています。しかも、出産後だけにプロバイオティクスを使用した1編を除くと、この予防効果指標は 0.61 にまで下がります。
 一方で、SCORAD(Scoring Atopic Dermatitis) を用いてプロバイオティクスの治療効果を検証した4編の集積的治療効果判定では、SCORAD にそれぞれ-6.64 の低減(-9.78,-3.49)と -8.56 (-18.39,1.28) の低減が見られました。また、各グループ内でのSCORAD 低減率はそれぞれ -1.06(-3.86,1.73) ポイントおよび、-1.37(-4.81.2.07)ポイントの低減で、いずれもランダム危険率95%ではプロバイオティクスによるアトピー治療効果は疑わしいと判定されました。

 今回のメタ解析の結果から、私たちは、プロバイオティクスにはアトピーの治療効果よりも、予防効果が期待できると結論づけました。



 以上、翻訳に稚拙な部分がありますが、プロバイオティクスによるアトピー予防とアトピーの治療の両方を、それぞれメタ解析した結果、予防効果は数理的に実証できたが、治療効果は実証できなかった、と言うのがこの報告の結論でした。このことからも、私はベストトリム乳酸菌に治療的な効果は過度に期待することは避けて、妊娠中の女性と、生まれた赤ちゃんのアトピー予防に重点を置いて皆さまに推奨していくのが正しい本道だと考えています。

 乳酸菌にアレルギー治療効果があるかのように宣伝している大手飲料メーカーの広告が目に付きますが、日本を代表するような立派な企業が、根拠もなくデマを飛ばすようにして乳酸菌を売ろうとする姿には実にガッカリさせられます。消費者の皆さまに正確な情報を提供することが、プロバイオティクス製剤を開発する者の義務だと私は強く自分に言い聞かせております。

 皆さまがベストトリム乳酸菌のアトピー性皮膚炎『予防効果』を正しく認識して、日本からアトピーの赤ちゃんと子どもを無くすキャンペーンに参加してくださることを、心から願っております。

共益性乳酸菌ベストトリムは赤ちゃんのアトピー予防に十分な安全性を考慮して作られています

2010年08月14日 | 健康
 乳酸菌プロバイオティクスの安全性と有効性に関する医学報告をもう一編ご紹介しようと思います。原著は Boyle RJ, Robins-Browne RM, Tang ML.”Probiotic use in clinical practice: what are the risks?”Am J Clin Nutr. 2006 Jun;83(6):1256-64; quiz 1446-7. 前半の安全性に関する報告からの抜粋引用です。

 乳酸菌プロバイオティクス食用の歴史は数千年昔にさかのぼり、ペルシャの伝説にアブラハムが長寿と子孫繁栄に毎日ヨーグルトを食べたことが伝えられています。20世紀初頭にはロシアの免疫学者メチニコフが乳酸菌には健康増進効果があり、長寿に役立つことを提言しました。近年になり乳酸菌の健康増進効果は厳密な科学的検証を受けるようになり、現在のところプロバイオティクスが人類の何らかの病気の治療と予防に有効であるとの確固たるデータは報告されていません。(訳注:これは2005年時点の報告で、乳児のアトピー性皮膚炎に関しては最近では予防効果を支持する医学報告が多く提出されています)

 プロバイオティクスの定義は「適量を摂取すれば健康に有益である生きた微生物」とされています。プロバイオティクスは「生きた微生物体」でなければならず、殺菌したり破壊された菌体よりも生きた菌の方が人の免疫系に対して効果的であるとの医学報告も提出されています。プロバイオティクスは胃酸と胆汁の消化に耐えて腸管まで到達しなければならず、かつ全く病原性がないことが必要です。このようなプロバイオティクスの代表はビフィズス菌と乳酸桿菌です。これらの中には健康な人腸管由来の菌と、そうではく日常的に発酵食品に使用されている人類以外由来の菌とがあります。しかしながら、これらの人体以外からの菌には病原性がないかどうかの慎重な検証が必要です。

 プロバイオティクスの医学応用で最も確かに証明されているのは下痢に対する効果です。その1例には抗生物質による下痢に対するプロバイオティクスの効果を支持するメタ解析の報告があります。(訳注:共益性乳酸菌による乳児のアトピー予防を支持するメタ解析報告は2008年に発表されました)また、多種類の乳酸菌を3000億個混和したプロバイオティクスが慢性炎症性腸疾患患者に有効であるとのプラセボ対照2重盲験試験が有ります。大多数の医学報告は胃腸の消化管に関するものですが、それ以外にはアトピー性皮膚炎の予防に関する報告も提出されています。

 プロバイオティクス使用時に想定される最大の副作用は菌血症です。プロバイオティクスの安全性は長年の使用で確立されてきていますが、またHIV感染者や新生児、未熟児、等に乳酸桿菌の数種類が特に副作用なく投与できたとする報告も提出されています。フィンランドでは1990年以来LGG菌の販売が急激に増加し、1992年だけでも3000トンものLGG菌が消費されました。このような大量の乳酸桿菌の消費に反して、フィンランドではプロバイオティクスに由来する菌血症は発見されていません。この事実はプロバイオティクス、とりわけ乳酸桿菌が安全であることの証明となっています。

 理論上のプロバイオティクスに関する副作用の心配は、腸管内で粘膜組織と強固に結合する菌が選ばれていると言うことで、この点で全身に播種して悪い作用を及ぼすことが懸念されます。胸腺を除去したマウスの新生児期に乳酸桿菌やビフィズス菌を投与すると、成熟マウスでは起こらない菌血症が起こり死亡することが実験で確認されています。この実験結果は免疫不全のある新生児ではプロバイオティクス使用は危険性が高いことを示唆しています。

 これらの理論上の危惧は、近年のプロバイオティクスによる菌血症例の報告で脚光を浴びるようになりました。表1に示したように、3ヶ月から74才までの乳酸桿菌使用7名(うちLGGが6名)および25才から79才までの Baccillus subtilis 菌(納豆菌の1種)80億個使用5名で菌血症、肝臓膿瘍、細菌性心膜炎の報告が提出されています。乳酸桿菌使用での発病者は全員が基礎疾患を持っていましたが、 Baccillus subtilis 菌80億個使用の発病者には基礎疾患のない症例も含まれていました。乳児例の全員が未熟児で腸管奇形を合併していました。また、表2に示したのは saccharomyses boulardii (フルーツ酵母 ブラウディ)による24例の播種感染例ですが、ほとんどの症例が免疫低下の日和見感染でした。以上の総括として、免疫不全等での日和見感染と、未熟児ではプロバイオティクスは慎重に使用するべきだと考えられます。

 2007年に発表されたこの医学論文を見ても、近年のプロバイオティクスに関する評価が2転3転してきたことを改めて実感いたします。20世紀終わりに多くの不確かな健康増進効果への期待と共に販売が急増したプロバイオティクスは、2001年にフィンランドで乳児のアトピ性皮膚炎の予防効果が報告されると、世界中から注目され使用量が急増しました。しかし、予防効果とでは受益者に実感を与えないために、治療効果を強調しすぎるコマーシャル戦略が先走りしすぎて、2006年から2007年にかけては逆にビフィズス菌と乳酸桿菌の使用に否定的な論文が多く提出された時期でもありました。2008年以降はメタ解析による乳酸菌プロバイオティクスの乳児アトピー性皮膚炎予防効果が確認され、最近は再び、共益性乳酸菌が赤ちゃんのアトピーを予防することを完璧に証明する方向でのプラセボ使用2重盲験試験の実験結果報告が続いています。

 2010年6月に発売されたベストトリム乳酸菌はこれまでの医学報告を完璧に網羅した上で、赤ちゃんのアトピー、アレルギーを予防するために最大の効果と十分な安全性を兼ね備えた製品であると、自信を持って皆さまにお勧めできるのです。小生の発明を応用したベストトリム乳酸菌が日本からアトピーを撲滅するために役立つことを心から願っております。

妊娠中の母親と赤ちゃんに生きた乳酸菌は安全なアトピー予防方法です

2010年08月13日 | 健康
 ビフィズス菌(ブレーベ菌)と乳酸桿菌(アシドフィルス菌)が赤ちゃんと子どものアトピー性皮膚炎の予防と治療に大変有望なアイテムであることを述べてきましたので、今回はこれらのプロバイオティクスの安全性について書かれた医学論文を紹介していこうと思います。

 原著はAllen SJ,et.al.”Dietary supplementation with lactobacilli and bifidobacteria is well tolerated and not associated with adverse events during late pregnancy and early infancy." J Nutr . 2010 Mar;140(3):483-8. 英国のグループの発表からの抜粋引用です。

 乳酸菌およびビフィズス菌は、妊娠中の女性と乳児に対して健康増進の目的で投与される機会がどんどん増え続けています。これらのプロバイオティクスには長期間にわたって副作用が無く安全であるとの使用記録がありますが、妊娠中や乳児期という潜在的な弱い体質の中で、全く副作用がないかどうかを確認する必要はあると考えられます。私たちは赤ちゃんのアトピーを予防するためにプロバイオティクスを飲ませることの安全性を、プラセボ使用の二重盲験試験で評価しました。

 二種類の乳酸桿菌(L.salivarius,L.paracasei)と二種類のビフィズス菌(B.animalis,B.bifidum)を合計で100億個にして、妊娠の最後の1ヶ月と0ヶ月から6ヶ月の乳児に毎日経口投与しました。副作用の有無はWHOの国際疾病分類の基準に基づいてランク分けされました。よく診られる症状は一般的な質問紙法で記録されました。

 乳酸菌を使用した220組の親子と、プラセボを使用した234組の親子の試験前の状況には全く差がありませんでした。実験の判定基準、フォローアップ中の離脱率、副作用的症状、薬剤の使用、幼児の成長、栄養の方法、医者への訪問と幼児の健康状態に対する母親の評価は、2つのグループの点で全く同様でした。

 乳酸菌使用群では15人の母親(6.8%)と73人の乳児 (33.2%)に何らかの副作用が出現し、プラセボ使用群では21人の母親(9.0%)と75人の乳児(32.1%)で何らかの副作用が出現し、それぞれの危険率は、p=0.49と p=0.84 でした。重度の副作用は全体中で18人の母親と63人の乳児に出現し、その頻度は乳酸菌群とプラセボ群で全く同じでした。したがって全ての副作用は乳酸菌使用の有無とは無関係でした。私たちの実験結果から、これらのプロバイオティクスを混合して妊娠中と乳児期早期に使用することが安全であることが確認されました。

 この医学報告は、妊娠中と乳児期早期の乳酸菌の安全性をプラセボ対照の二重盲験試験で確認した最初の報告のようで、0ヶ月から赤ちゃんにも安全である事を示した点で大変価値があります。ベストトリム乳酸菌では、万が一の危険性を考えて、生後2ヶ月からの使用を奨めていますが、この論文の結果をみる限り、0ヶ月から使用しても問題はないようにも思えます。

 もう一点わたしが感銘したのは、母親の副作用出現率はプラセボの方が多く、9%にも上ること、さらには乳児でのプラセボ群の副作用出現率が32%、およそ三人に一人も出現していると言うことです。このことはプラセボ対照の二重盲験試験に対する不安が呼び起こす副作用であり、未知の治療を実験される患者の苦痛は我々の想像以上に厳しいと言うことです。開業医である私がプラセボ対照の二重盲験試験を行わなかった理由はここにあり、逆に言えば、このような厳しい環境でもプラセボ対照の二重盲験試験を行える、英国の患者さんたちの医師への信頼感と医学研究への協力の強い態度には全く頭が下がる思いです。

乳児の湿疹、アトピー、食事アレルギーを早く綺麗に治す秘訣はスキンケアと乳酸菌

2010年08月13日 | 健康
 難しい医学論文の解説ばかり続くと読者層が偏りますので、今回は私の治療経験から、赤ちゃんをアトピーにさせない方法、乳児の湿疹、アトピー、食事アレルギーを早く綺麗に治す秘訣を簡単に伝授しようと思います。

 私は静岡県焼津市で20年以上、赤ちゃんと子どものアトピーを専門に治療してきましたが、ステロイドをなるべく使わないで乳児のアトピー性皮膚炎を治療するには、スキンケアと乳酸菌が決め手になると考えています。以前は漢方薬をよく使いましたが、赤ちゃんと子どもへのアトピーの漢方薬治療はせいぜい30年くらいの実績しかなく、歴史が浅く効果も不確実です。苦い漢方薬を泣きながら何年も飲ませたけれど結局治らなかったと、悲嘆にくれて私のクリニックに駆け込むお母さんも少なくありません。

 私が独自に開発したスキンケアと乳酸菌を使った治療はさらに歴史が浅く、1996年から15年余りの歴史があるだけです。しかし私には乳児のアトピーには漢方薬よりはるかに有効で、お母さまと子どもへの苦痛の少ない治療法だと考えられます。そう言っても、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の全てがスキンケアと乳酸菌だけで治ると考えるのは間違いです。適切な感染症治療と抗炎症治療(ステロイドを含む)の組み合わせが早く綺麗にアトピー性皮膚炎を完治させる秘訣だと私は考えています。

 ですから、『アトピー治療にステロイドは駄目』と頭から決めつけるのが最初の間違いの出発点で、医者を疑う素人さんたちを食い物にする『アトピービジネス』に付け込まれる弱点となります。大金を費やして健康まで失う無意味なアトピービジネスに嵌らないためには、医師の力量を信じてステロイドを怖がらないこと、感染症の治療とステロイド療法を適切に使用すること、さらにリンパ球のTh1/Th2バランスを適正化する抗アレルギー薬の内服に、生きたビフィズス菌をサプリメントとして併用し、何よりも毎日のスキンケアで肌をきれいに保つこと、このオーソドックスな正攻法こそが、アレルギーを克服しアトピーを完治させる王道だと私は考えています。

 小生の開発したベストトリム乳酸菌が、アトピー性皮膚炎を完治するために世界中の人々に愛される製品となり、日本のアトピー治療の名医が静岡にいると認められるようになることを心から願っております。

乳児の卵白アレルギー、喘息、アトピーの予防と治療に乳酸菌(ブレーベ菌)が有望な理由

2010年08月12日 | 健康
 前回の記事では、マウスを卵白抗原で感作して気管支喘息発作を起こさせる実験で、乳酸菌プロバイオティクス(ブレーベ菌)が強い抗アレルギー力を持つことを提示しました。少し難しい実験結果でしたので、簡単にもう一度まとめておこうと思います。

 卵白アレルギーは乳児にみられる最も頻度の高い食物アレルギーです。マウスを使って、あらかじめ卵白抗原でアレルギーを作っておきます。その後で、赤ちゃんの腸に多くみられる共益性乳酸菌(ブレーベ菌)を飲ませて、卵白抗原を吸入させて喘息発作が起こるかどうかを調べました。その結果、ブレーベ菌を与えたマウスでは、卵白抗原で喘息発作が起こらなかったことと、皮膚への過敏性試験で皮膚の炎症が起こらなかったことから、ブレーベ菌は食事抗原によるアレルギー誘発反応を幅広く阻止したという結果でありました。

 この実験結果から、乳酸菌(ブレーベ菌)には既に起こってしまったアレルギー反応を止める効果がある、つまり乳児のアトピーや食物アレルギーの予防と治療の両方に使うことが出来るというのが、今回の実験から導かれる臨床上の応用理論です。このような強い抗アレルギー力は同時に測定した他の5種類の乳酸菌にはみられなかったので、ブレーベ菌は赤ちゃんの食事アレルギーに対して一番有効な乳酸菌であると結論されています。

 私のクリニックでの1996年からの乳酸菌プロバイオティクスを用いた治療では、1日あたり最低200億個のビフィズス菌が治療効果を得るには必要で、安定した治療効果は1日に500億個程度のビフィズス菌投与で得られることが判明しています。私の特許はこの実験結果から獲得されました。ビフィズス菌を500億個含み、その大半をブレーベ菌で作られたベストトリム乳酸菌は、赤ちゃんの卵白アレルギー、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを効率よく予防し、さらには治療にも応用できる有望な共益性乳酸菌だと考えられます。
 アトピーや食事アレルギーで苦しむ多くの乳児や子どもたちに、ベストトリムが明るい未来を提示できることを心から願っております。

ビフィズス菌(ブレーベ菌)には卵白による食物アレルギーの喘息発作を予防する抗アレルギー効果がある

2010年08月11日 | 健康
 乳酸菌には多くの種類がありますが、どの乳酸菌が最も抗アレルギー効果が強いのかが知りたいところです。前回まではフィンランドの Isolauri E のグループの報告を中心に乳酸菌プロバイオティクスのアレルギー予防効果、臨床医学効果を、妊娠中と授乳中の乳児の実験から述べてきましたので、今回は乳酸菌の種類によって抗アレルギー効果の有無・強さが異なる事を調べたオランダの大学による医学報告を紹介します。原著は Hougee S,et al:"Oral treatment with probiotics reduces allergic symptoms in ovalbumin-sensitized mice: a bacterial strain comparative study."Int Arch Allergy Immunol. 2010;151(2):107-17.からの抜粋引用です。

 アレルギー病の治療に共益性乳酸菌プロバイオティクスが有効であるとの医学実験から、腸内細菌叢の役割の重要性が強調されてきています。今回の実験の目標は、6種類の乳酸菌から最も優れた抗アレルギー効果を持つ乳酸菌を、卵白抗原(OVA)で誘発される気管支喘息の実験動物モデルで発見することです。実験方法の概要:卵白抗原で感作されたBALA/cマウスに、ビフィズス菌;ブレーベ菌M-16V/インファンティス菌/アニマリス菌2株、および乳酸桿菌;プラタナス菌/ラムノサス菌の6種類を経口投与しました。卵白抗原の肺への吸入後にmethacholineへの反応(気道過敏性試験)を測定しました。(訳注:気道過敏性は,喘息の最も基本的な病態であり,その測定には,methacholineとヒスタミンが用いられる)気道炎症の病体は気管支肺洗浄液の炎症細胞分析と、インターロイキン4(IL-4),IL-5、IL-10、インターフェロン-γ、卵白抗原特異IgE、IgG1、IgG2の測定で評価しました。さらに、ビフィズス菌;ブレーベ菌M-16Vと乳酸桿菌;プラタナス菌投与後の急性皮膚反応を計測しました。
 実験結果:6種類の乳酸菌の中では、ビフィズス菌;ブレーベ菌M-16Vと乳酸桿菌;プラタナス菌が、(1)methacholineへの反応(喘息症状の指標;気道過敏性)を阻害しました。(2)気管支肺洗浄液の中の好酸球数(気道アレルギー炎症の指標)を低減しました。(3)卵白抗原特異IgEと(4)IgG1の両方を低減させました。しかしながら、他の乳酸菌にはこのような効果はみられませんでした。さらに、乳酸桿菌;プラタナス菌にはなく、ブレーベ菌M-16Vだけに卵白抗原に対する急性皮膚反応低減作用が確認されました。以上の実験結果より、ビフィズス菌;ブレーベ菌M-16Vが最も優れた抗アレルギー効果を持つ菌であると結論できます。

 今回の実験からわかることは、乳酸菌なら何でも良いというわけではないことです。私の15年間の乳酸菌を使ったアレルギー治療の実績からも、生きたビフィズス菌+乳酸桿菌の組み合わせが一番強い抗アレルギー効果が有ることが、西焼津こどもクリニックの臨床から認められています。私の特許第4010062号【アトピー性皮膚炎を防ぐ保健食品】を使って製造される《ベストトリム乳酸菌》は実はこのビフィズス菌;ブレーベ菌M-16Vを400億個という高濃度で生きたまま家庭に送り届けることに成功した唯一のサプリメントです。この特許の乳酸菌ベストトリムが日本中からアトピーやアレルギーを無くすために役立つことが、アトピー、アレルギーを専門とする医師としての私の生涯の夢であります。

 生きたブレーベ菌を400億個使用した、特許の乳酸菌ベストトリムが秘める抗アレルギー効果には計り知れないものが有ると、この論文は証明しています。最も驚かされたのは、マウスの実験とはいえ、卵白抗原による気管支原則発作をブレーベ菌は完全に阻止できているという事実でした。ブレーベ菌を400億個使用したベストトリム乳酸菌を妊娠中と離乳食期の赤ちゃんに使えば、喘息などのアレルギーとアトピー性皮膚炎を撲滅する私の夢は必ず実現すると、自説の正しかったことに一層の自信を深めました。いつかアトピーの名医として日本中から患者さんが集まるようなクリニックを作るのが、私の未来の夢でもあります。

 

アレルギーの母親が長く母乳を与えると赤ちゃんの食事抗原過敏性の危険性を高める

2010年08月07日 | 健康
 アトピーの母親が赤ちゃんに母乳を与え続けることが乳児のアトピーに影響するかどうか、母乳を通して赤ちゃんが食事アレルギーを発病するのかどうかについては、充分な医学データがまだ出されていません。今回も前回に引き続いて、フィンランドの Isolauri E のグループが報告している、アトピーの母親にビフィズス菌+乳酸桿菌のプロバイオティクスを与えた時に母乳中のサイトカインがどのように変化するのか、また母乳栄養が赤ちゃんのアトピーに影響するかどうか、アトピーを防ぐには赤ちゃんに母乳を与えるべきか、あるいは母乳を中止するべきかの論争に一つの医学的根拠を与える実験結果を紹介いたします。
 原著はHuurre A, Laitinen K, Rautava S, Korkeamaki M, Isolauri E.:”Impact of maternal atopy and probiotic supplementation during pregnancy on infant sensitization: a double-blind placebocontrolled study.":Clin Exp Allergy. 2008 Aug;38(8):1342-8.からのダイジェスト版の引用です。

 母乳を与えることが赤ちゃんのアトピー予防には最も良い方法と考えられています。しかしながら、母乳栄養が赤ちゃんのアトピーを減らすと言う報告と、逆に増やすという報告の両方が提出されています。完全母乳で育てていても、赤ちゃんにアレルギー症状が出ることは珍しくはありません。一つの解釈として母乳の中にアレルギー誘発要因があると考えられます。最近になって、私たちはアレルギーを持つ母親の母乳中には(アレルギーを抑える物質である)TGF-β2が少なく、このような母親にプロバイオティクスを与えると、母乳中のTGF-β2が増えることを報告しました。
 周産期の母子に適切な乳酸菌プロバイオティクスがサプリメントとして投与されれば、赤ちゃんのアトピー発病を予防できることが医学データとして報告されています。しかしながら、乳児の過敏症を防ぐ免疫学的な証拠は不十分でした。プロバイオティクスが乳児の感染症と、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を防ぐという医学報告は有りましたが、赤ちゃんの食事抗原への過敏性については調べていなかったからです。今回のプラセボ対照試験では、私たちは母親自身のアトピーの状況がどのように赤ちゃんのアトピーに影響を与えるかについて検証し、乳酸菌プロバイオティクスが乳児のアトピー予防にいかに貢献するのかを評価します。そのために母親のアトピーの状況が母乳中のサイトカインに与える影響と、赤ちゃんの抗原過敏性に与える影響を調べました。

 合計で171組の母子が今回の、栄養指導と乳酸菌サプリメントを併用した二重盲験プラセボ試験に参加しました。1才時までの観察を皮膚プリック試験を含めて全過程を完了したのは140組でした。プロバイオティクス投与群には乳酸桿菌(LGG)とビフィズス菌(LBb12)が一日あたり各100億個与えられました。

 1才時点で行った皮膚プリック試験での過敏性試験では、全体の30%の乳児が何らかの抗原に陽性反応を呈しました。最も陽性率が高かったのは卵白抗原で26%、次に多かったのは牛乳抗原で7%でした。このプリック試験の結果は健康な母親の赤ちゃんでは21%、母親自身アレルギーはあるがプリック試験は陰性の場合には23%の赤ちゃんで陽性でしたが、母親自身がアレルギーでかつプリック試験も陽性の場合は37%の赤ちゃんが陽性でした(オッズ比2.24、危険率p=0.119)。母親がプリック試験陽性かどうかは、その子どもがプリック試験陽性かどうかと正の相関関係(オッズ比1.97、危険率p=0.082)がみられました。

 母乳を与えた期間が長いか短いかが、赤ちゃんの抗原過敏性に与える影響は、母親自身のアレルギーの状況によって異なることがわかりました。アレルギーを持つ母親が6ヶ月以上母乳を与えると、乳児の抗原過敏性が強調されることがわかりました(オッズ比4.83、危険率p=0.005)。母親が皮膚プリック試験陽性の場合にも同様の傾向がみられました(オッズ比3.84、p=0.041)。また完全母乳であった期間の長さも2.5ヶ月以上か未満かで、同様に母親自身のアレルギーの状況を反映することがわかり、母親自身のアレルギーの状況と完全母乳期間の長さは正の相互関係を持つことがわかりました(相互作用検定 危険率 p=0.025)。アレルギーの母親が2.5ヶ月以上完全母乳を行った場合に、乳児に抗原過敏性が出現する危険性が高まることがわかりました(オッズ比3.43、p=0.094)。

 乳酸菌プロバイオティクスが母乳に与える影響を調べたところ、乳酸菌を投与された母親の初乳中ではTGF-β2が非投与群より増加していました。同様の傾向はアレルギー抑制性サイトカインにもみられました。乳酸菌投与群では非投与分に比較して、アレルギーを持つ母親の初乳中のTGF-β2が1.56倍に増加(p=0.094)していました。

 赤ちゃんの抗原過敏性発現リスクに対するプロバイオティクスの効果も、母親のアレルギー状況に依存していることがわかりました。母親自身が皮膚プリック試験陽性の場合には、乳酸菌投与群で26%、非投与群で50%の乳児が1才時に抗原過敏性を示しました(オッズ比0.34、p=0.023)。1才時点でアトピー性皮膚炎の診断を受けた乳児の比率は、プロバイオティクス投与群で9.7%、非投与群で17.6%でした(p=0.131)。

 以上の結果から、アレルギーを持つ母親が妊娠中・授乳中に乳酸菌プロバイオティクスを飲むと、母乳中のTGF-β2が増加することによって、赤ちゃんに抗原過敏性が発現することを阻止できるものと考えられます。

 さて、赤ちゃんのアレルギーを防ぐには完全母乳が一番良いとは限らない、母親がアレルギーの場合は母乳を与えることで赤ちゃんにアレルギーの起こる可能性を増やすらしいと言う、実にショッキングな医学実験の結果が提示されました。そして、母親がアレルギーの場合は母乳を与え続けることで乳児のアレルギー反応を誘発すること、その悪影響はアレルギーの母親が乳酸菌プロバイオティクス(ビフィズス菌+乳酸桿菌)を妊娠期間中と授乳期間中飲むことで、母乳中のTGF-β2が増加することによって緩和されることが科学的に証明されました。小生の開発したベストトリム乳酸菌を飲むことで、アレルギーの母親から生まれた赤ちゃんが、完全母乳で育てられたときにアトピーを発病しないようにできれば、私の研究も皆さまのお役に立つことになり、開発者としてはうれしい限りであります。

妊娠中と乳児への乳酸菌投与が2才時のアトピー発病を半分に予防する:世界最初の医学報告

2010年08月04日 | 健康
 原著はフィンランドのグループが英国の医学雑誌Lancetに2001年に発表した、妊婦と乳児に乳酸桿菌を投与してアトピー性皮膚炎の発病を半分以下に予防したという報告である。Kalliomaki M, Salminen S, Arvilommi H, Kero P, Koskinen P, Isolauri E.:Probiotics in primary prevention of atopic disease: a randomised placebo-controlled trial.:Lancet. 2001 Apr 7;357(9262):1076-9.今回はこの医学論文の概要をダイジェスト版で掲示します。

 アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息等のアレルギー性の慢性炎症性疾患は先進国で増加の一途をたどってきた。小児アレルギーの国際的な調査によれば、13才から14才までのこどもの10~20%が喘息に罹患しており、15~23%にアレルギー性鼻炎、15~19%にアトピー性皮膚炎の症状がみられる。
 我々は共益性の腸管内細菌叢が散発的な感染症よりもアトピー性疾患の予防に重要であることを提言する。腸管内の細菌叢は抗アレルギー作用を以下のプロセスで発揮すると考えられる。
(1)Th1型ヘルパーT細胞免疫 (2)TGF-βを介した免疫調節:これはTh2型ヘルパーT細胞によるアレルギー性炎症を抑制して経口脱感作を誘導する (3)腸管膜バリア機構の主役であるIgA産生の誘導
 これらの経路から、腸管内細菌叢は胎児や新生児期の、人類がもって生まれるTh2型細胞に偏った免疫システムを反転させる、後天的な調節機構であると推論される。結論として腸管内の共益性微生物は、人生の最初にして最大の腸管免疫を成熟・発育させる刺激となっていると思われる。

 二重盲験プラセボ対照試験で、周産期の母親と新生児に6ヶ月間乳酸桿菌(LGG)ヲ投与してアトピー性皮膚炎の予防効果を調べた。1997年2月から1998年1 月までの期間、フィンランドのTuruk市(人口17万人)で、同胞内に最低1名以上、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息のいずれかの家族歴がある出産前の妊婦が調査対象となった。159名の母親が二重盲験法で、出産予定日の2~4週間前から乳酸桿菌(LGG)100億個入りのカプセルを飲む群とプラセボ入りのカプセルを飲む群に分けられた。授乳中の母親もカプセルを飲み続け、乳児にはカプセルの中身を水に溶かしてスプーンで与えた。カプセル投与は生後6ヶ月まで続けられ、データの収集と解析が2000年3月まで続けられた。被験者の赤ちゃんたちは3ヶ月、6ヶ月、1才、1歳半、2才で小児科を受診して、2才時のアトピー性皮膚炎発病率が調査された。

 乳酸桿菌投与群とプラセボ群には背景の差はなかった。159組の母子中で全観察期間を完了したのは投与群64組、プラセボ群68組の合計132組であった。この132人の乳児中、46人(35%)が2才の時点でアトピー性皮膚炎と診断された。両群間で、総IgE値、RASTスコアー、プリックテストでは一貫した有意差はみられなかった。

 乳酸桿菌投与の効果は、2才時のアトピー性皮膚炎発病率が投与群で64名中15名(23%)であるのに対し、プラセボ群では68名中31名(46%)と危険率p=0.008で有意に、乳酸桿菌がアトピー発病を抑制することが確認された。

 この実験モデルは、小生が1996年から1998年にかけて行った、静岡県焼津市での臨床実験と同じ発想から生まれたもので、小生は1998年に実験結果を同じLancetに投稿しましたが、二重盲験プラセボ対照試験で無いという理由で受理されなかったのは、以前も書いたとおりです。改めて今この論文を読み返してみると、地球の裏側のフィンランドに私と全く同じ時期に同じ事を考えていた小児科医がいたと言うことに学問の悠遠さと不思議さを感じます。

 小生は医学者としての名誉は取り逃がしましたが、この研究を実用可能な段階まで完成して、特許として広く使用できるように開示しました。特許の技術で製造されたベストトリム乳酸菌が日本中のみならず、世界中のアトピーで苦しむ人々を救う福音となることを心から願っております。

妊娠中にプロバイオティクス(ビフィズス菌+乳酸桿菌)を飲むと母親の妊娠糖尿病を3分の1に予防できる。

2010年08月01日 | 健康
 妊娠中にプロバイオティクス(ビフィズス菌+乳酸桿菌)を飲むことが母親と胎児の両方にとって、健康に良い効果をもたらすという医学実験結果を、フィンランドの Erika Isolauri のグループが発表しています。彼女らのグループは、乳酸菌で乳児のアトピー発病を半分に減らすことが出来ると、2001年に英国の医学雑誌Lancetに世界で最初に発表して以来、常にプロバイオティクスの臨床医学研究で世界をリードしてきています。原著はLuoto R, Laitinen K, Nermes M, Isolauri E. ”Impact of maternal probiotic-supplemented dietary counselling on pregnancy outcome and prenatal and postnatal growth: a double-blind, placebo-controlled study.” Br J Nutr. 2010 Jun;103(12):1792-9. Epub 2010 Feb 4.からの抜粋です。

 周産期の栄養環境は母親と子どもの両方に長期間にわたって健康と幸せに強く影響します。この研究の目標は、周産期に乳酸菌サプリメントを投与して栄養指導を行うことの安全性と有効性を、妊娠中と胎児期と赤ちゃんの成長経過を2年間にわたって観察し評価することです。合計で256名の母親が、妊娠の前期(3分の1期以前)に何もしないコントロール群と食事指導を受けるグループとに無作為に振り分けられました。食事指導群には栄養士による強い食事指導が行われ、さらに乳酸桿菌(LGG)+ビフィズス菌(Bb12)のサプリメントを投与する群とプラセボ投与群に2重盲験で無作為に振り分けられました。
 まず第一に、妊娠中のプロバイオティクス投与は妊娠糖尿病(GDM)を有意に、(投与群13%、非投与群36%、コントロール群34%、危険率=0.003)に減少させました。(GDM:妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病にいたっていない糖代謝異常で、あきらかな糖尿病は含めない。# 日本の基準では;75gOGTTにおいて次の基準の1点以上を満たした場合に診断する。 1. 空腹時血糖値 ≧92mg/dL(5.1mmol/l) 2. 1時間値 ≧180mg/dL(10.0mmol/l) 3. 2時間値 ≧153mg/dL(8.5mmol/l)
 第二には、妊娠経過が正常であり、母親と子どもの両方に不利益な作用が認められなかったことから、この方法の安全性が確認されました。
 第三には、二つの干渉する効果が示唆されました。すなわちプロバイオティクス投与と栄養指導の併用は妊娠糖尿病のリスクを低下させると共に、栄養指導単独でも巨大児のリスクを体重で有意に(p=0.035、身長でp=0.028)低減させることです。

 今回の実験結果から、周産期の栄養指導とプロバイオティクス投与の併用は安全で費用効果の高いメタボリックへの対策であると考えられます。巨大児が妊娠後期の危険因子であることを鑑みると、今回の実験結果はこの危険性が修正可能なものであることを強調した点で、世界中の健康に対して重要なものであります。

 さて、フィンランドの Erika Isolauri のグループは2001年の世界的発表に続いて、妊娠糖尿病という分野で二度目の世界初の発表をしたことになり、同じ小児科医としましては全く頭が下がる思いでありますが、彼女たちが追い求めてきている、妊娠中と離乳期間中の乳酸菌プロバイトティクス(ビフィズス菌+乳酸桿菌)投与の効果を調べていて、ついでに発見した副産物の可能性もありますが、プロバイオティクスの投与が妊娠糖尿病リスクを3分の1にまで下げるというのは実に衝撃的な報告であります。
 なぜならば妊娠糖尿病は母親自身にとって、特にHbA1C6.1%以下で75gOGTT2時間値≧200mg/dLの場合は、明らかな糖尿病とは判定し難いので、High risk GDMとし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である、と述べられたとおり大変危険であります。また母体の合併症としては妊娠中毒症、尿路感染症、羊水過多症の危険性が増大します。妊娠糖尿病から起こりやすい赤ちゃんの症状としては巨大児の症状とそれに合併しやすい新生児仮死、低血糖症などが挙げられますので、プロバイオティクスは母体と妊娠経過中に加えて赤ちゃんへの危険因子をも大幅に減少させることでしょう。

 前2回の記事とも合わせて、赤ちゃんのアトピ-を防ぐ観点からも考えるならば、妊娠がわかった時点から乳酸菌プロバイオティクス(ビフィズス菌+乳酸桿菌)を飲み始めることは、母親と赤ちゃんの大きな幸福に直結する素晴らしい方法だと思われます。ベストトリム乳酸菌には赤ちゃんのアトピーを防ぐのみならず、母親の糖尿病、妊娠中毒症、尿路感染症、羊水過多症、新生児の仮死と低血糖症までも防ぐ大きな効果が期待できるのです。

妊婦のアトピー予防には食事で乳酸菌(ビフィズス菌+アシドフィルス菌)が効果的

2010年07月31日 | 健康
 前回はドイツの医学報告から妊娠中のプロバイオティクス内服が胎児の免疫系の発達に良い影響を与えることを解説しました。今回はもう少し簡単にこのことを説明してみようと思います。

 赤ちゃんがアレルギーになるかならないかは、一番最初に外界と濃厚接触する腸内で免疫が正常に発達するかどうかで決まってくるようです。腸管の働きは、自分に必要な栄養素だけは吸収して、自分に有害なウイルスや病原菌は絶対に体内に入らせないという、全く反対の仕事を完璧に遂行しなければなりません。この環境を整えるのがロイコトリエンなどの血液中の白血球の働きを支配する伝達信号物質です。このような伝達信号物質が実は胎盤を通過して胎児の免疫発達も支配しているというのが前回の医学論文の衝撃的な部分です。もしそうで有れば、妊婦さんは第一に自分自身の体内で《良いロイコトリエン》を沢山作らなければなりません。そのために妊婦さんがアトピーを予防するには妊娠中から適切なプロバイオティクスを内服することが良いと考えられるのです。

 2007年に発表されたこの医学論文は、今後の検証が進めば、世界の流れを一気に変える大きな発見になるかも知れません。過去の誤った方向として、(今でも誤ったまま続けられていますが)妊娠中に母親に、多分食べない方が安全だろうという程度の推論で、医学的なハッキリとした根拠が無いにも関わらず、厳格な食事制限を指導する傾向がありました。近年になって、このような食事指導が母親を精神的に苦しめる割には治療的な効果が少ないことが指摘され、欧米では妊婦にアレルゲン除去の指導は行わない方が良いという医学報告が多く出されています。この点で日本はかなり遅れていると思います。

 妊婦さん、授乳中のお母さんが極端なアレルゲン除去を行おうとすれば、精神的な負担が重く、母親が自信喪失から育児に安定性と一貫性を失い、親子関係が悪化して子どもの心の発育に悪影響を与えることも懸念されています。大豆にはω3系不飽和脂肪酸という、胎児と赤ちゃんの脳神経発達に大変重要な油が含まれているので、ハッキリとした確定診断もなく誤った食事制限を行うのは赤ちゃんの脳神経発達にも悪影響を及ぼすかも知れません。《多分食べない方が安全だろうと》いう無責任な考え方が母親を苦しめて、育児環境を悪くして、子どもの脳と心の発達にまで悪影響を及ぼすとすれば、これは放置できない事態だと私は思います。

 妊娠中の乳酸菌(ビフィズス菌+アシドフィルス菌)プロバイオティクスの投与が赤ちゃんの食事アレルギーを予防して、その精神発達まで改善するとすれば、ベストトリム乳酸菌は妊婦さんと赤ちゃんと子どもを食事制限の苦しみから解放して、アレルギーと精神障害から救う素晴らしい発明になると、私は乳酸菌の特許の秘める可能性に自信を強めたので有ります。