読書ガール

忘備録そして記録
---「忘備録」は「備忘録」ともいうらしい。

ある少女にまつわる殺人の告白(佐藤青南)

2011-09-12 00:02:35 | サ行の作家
ある少女にまつわる殺人の告白(佐藤青南)



(以下、アマゾンの紹介)
「今日的テーマを扱いつつ、難易度の高いテクニックを駆使し、着地の鮮やかさも一級品である」と
『このミステリーがすごい!』大賞選考委員・茶木則雄が絶賛した2011年『このミス』大賞優秀賞受賞作です! 
長崎県南児童相談所の元所長らが語る、ある少女をめぐる忌まわしい事件。
10年前にいったい何が起きたのか。元所長、医師、教師、祖母……様々な証言が当時の状況を明らかにしていく。
大ベストセラーとなった『告白』形式の語りに、大きな謎が加えられたミステリー。
関係者を訪ねてまわる男の正体が明らかになるとき、哀しくも恐ろしいラストが待ち受ける!



(これより下、ネタバレ)






(ネタばれ注意)





このタイトルの「ある少女」と、読み始めからいくと
ある少女=あきちゃん(しょっちゅう出てくる名前)と思い込んで読み進めてしまう。
親から虐待されているあきちゃんが、義父に殺されるんだろうな・・・と思うわけ。

でも、最後の最後で、あれ?となるわけ。
結局死んでしまうのはあきちゃんの妹なんだけど、
そう考えるとタイトルの「ある少女にまつわる殺人の告白」
てっきり、あきちゃんが被害者という意味での「ある少女」と思ってしまっていたが
「ある少女」は妹のことをさすのか、
もしくは、加害者あきちゃんを「ある少女」ととるのか・・・
なんかタイトルだけでも恐ろしい感じがする。



内容が暗いわりには(?)どんどん読みすすめられる一冊。







幸せな嘘(きむらゆういち)

2011-09-04 02:19:58 | カ行の作家
幸せな嘘(きむらゆういち)

売れっ子脚本家の尚紀は、作品が書けないことの重圧に耐えかねて
何もかもを、投げ捨てて小さないなか町に逃げ出す。
そこで、ヒサノリという名前で生活をやりなおすことに。
人との関わりを避けてきたのだが、
地域の心暖かい常連客に、とまどいつつも、その人間味に
いつしか、心惹かれ、溶け込んでいく自分がいる。
そして、ラーメン屋の娘に恋をする。

ラーメン屋の娘には、自分の過去を話す機会をすっかり失い
ヒサノリとして接していく。
地域の暖かい常連客とのやりとりや、ラーメン屋の娘との
淡い恋の話を、再び文字におこしたくなるナオキは
再び脚本を書くべく、動き出す。

全体的に残念だけど、
なんだかチープな恋愛ドラマを見ているような気がした。
ヒサノリが、町の人たちに心を開くのが、早すぎるし、
ヒサノリの人間としての魅力が、もう少し伝わるとよかった。

田村はまだか(朝倉かすみ)

2011-09-02 23:53:00 | タ行の作家
田村はまだか(朝倉かすみ)

小学校の同窓会3次会。
ススキノの小さなバー「チャオ」に流れ込んできた男女5人組。
来るはずの田村を待つ。

バーのマスターが、その様子を静かに眺める。(ところどころ口もはさむが)

田村が来ない。
田村を待ちながら、それぞれのメンバーが過去を思い出す。
少し、ほろ苦い過去。離婚とか、ずいぶん若い子へのほのかな恋心とか、仕事の失敗とか。
5人のメンバーのそれぞれの思いに耽りながら、思うのだ。
「田村はまだか」

ところどころで田村の思い出も入ってくる。
最後に田村が果たしてくるのかどうか・・・!



っていうところなんだけど、
なんだか、もうひと展開というか、あればよかったかな、と。
本の帯が囃したてるほどの期待は超えなかったところが残念。

六本木ヒルズの天使(木下半太)

2011-09-02 23:32:54 | カ行の作家
六本木ヒルズの天使(木下半太)

不慮の死を遂げた死者がお化け(妖怪?)になってこの世にさまよっている。
たとえば、人魚(お化けじゃないし)、フランケンシュタイン、ゾンビ、河童・・・
現世に残るのはこの世に未練がある証拠。
自分の死を解決したい、自分を死に追いやった人に復讐したい。

そんな妖怪たちをサポートするのが「メン・イン・ブラック」を彷彿とされる吸血鬼二人組。
短編集ではあるが、少しずつつながっており、最後は少し不気味におわる。

どうやらこの吸血鬼が登場する前篇(?)「東京バッティングセンター」っていうのがあるらしい。(知らなかった)

今まで読んでいた木下半太の「悪夢〜」シリーズに比べると
暴力度が下がる。(ちょうどいいくらい?)

東京難民(福澤徹三)

2011-08-19 00:29:30 | ハ行の作家
東京難民(福澤徹三)

修はあまり知られていないくらいの大学に通う三年生。
上京して、親の仕送りで学生生活をしているが、
あまり授業にも身が入らず、あそんでいる学生。

しかし、そんなある日突然に授業料滞納が原因で
除籍になってしまう。
実家と連絡がつかず、帰省したら取り立て屋に追われる始末。
貯金がなく、家賃も払えず、家を出されてしまう。

大学を辞め、両親とは連絡つかず、
家もない、貯金もない。わずか21歳にして
しょいこむ問題が多すぎるが、どんどん転がり堕ちていく。

さあ、どうする?ドースルよ、おれ!

修は人がよく、素直なところがあるのだが(よく騙されてたし)
努力が足りないところがある。
立ち直れるチャンスはいくつかあったが、
努力不足で、ぬるい道を選んだばかりに転落していく。
見てられない(読んで?)られないのだが、
何か最後に立ち上がる要素があるのではないかと
期待して、最後が気になり、ページか進んだ。

いやはや、それにしても、すごい転落っぷりだったなー。

我が家の問題(奥田英朗)

2011-08-17 01:28:22 | ア行の作家
我が家の問題(奥田英朗)

「家日和」に続く家庭のちょっとしたトラブル短編集。
新婚なのに家に帰りたくない夫や、
実は夫は仕事ができなくて会社で居場所がないのではと
疑ってハラハラしている妻など、
身近(?)な問題を取り上げている。

結婚して、はじめての里帰りをする夫婦の話は
なかでもほんわかして、よかった。
夫の実家では、我が妻が、意外なところで気配りをして
寡黙な父との関係を作る。
妻の実家では、おせっかいな親戚に我が夫がうまいこと対応する。
最初は憂鬱だった里帰りも、結果ほのぼのとして終わるのだ。

両親が離婚しそうな高校生の娘は、
自分の身にもふりかかるかもしれない今後のことを
危惧して、友だちにいろいろ相談する、というストーリーもあるのだが、
本当に奥田氏が女子高生みたいな気分にもなってくる。

気軽に読めて、おもしろい一冊だった。

帰宅部ボーイズ(はらだみずき)

2011-08-14 01:52:43 | ハ行の作家
帰宅部ボーイズ(はらだみずき)

大人になった直樹は、どことなく無気力な息子を見ながら
自分の中学時代を思い出す。

中学生の直樹は部活に入るものの
連中となじめず、すぐに退部してしまう。
仲良しのカナブンも、同じく部活を脱落した帰宅部仲間。
そこにインテリでいじめられっこのテツガクも加わり
部活とはまた違った結束力をつけていく。
直樹たちが中学を卒業するまでのストーリー。

前回読んだ本「しずかな日々」(椰月美智子)に似る
学生時代の青春ストーリーだが(回想するあたりも似ている)
時代設定が中学生なだけあって、思春期の苛立ちや悩みもあり
より現実的な感じがする。

たとえば、いいようのない苛立ちに、さいなまれる直樹だが
家でどなりちらしたり、喧嘩という手段をとったり
学校に行かなくなるとか、なんだかリアルな感じがする。

青春なんだけど(ゆえに?)甘酸っぱいストーリー。
(初恋的な甘酸っぱさではなくて、現実的という意味で)

しずかな日々(椰月美智子)

2011-08-12 19:28:51 | ヤ行の作家
しずかな日々(椰月美智子)


大人になったぼく(枝田光輝)が少年時代をふりかえると
それは間違いなく小学5年のときだった。
というところから小学校時代に過ごした日々が
鮮明に思い出される。
はじめてできた友だち、転校、母との別れ、祖父との生活、夏休み。
光希少年の5年生時代の回想小説。

この小説の骨組みになるキャラクターがいる。
まず、祖父。
厳格で寡黙な祖父と暮らすようになるが
言葉少ないながらに、孫光輝を愛情深く見守る。

次に光輝少年の初めての友だち、押野。
人懐っこくて元気な押野少年は
光輝の殻をどんどん破り、光輝の心の中に入ってくる。
おじいちゃんと光輝の距離を近づけるのも
彼の力なところがある。

全体を通して、とてもほほえましい。
子どもらしさにあふれる会話(宇宙人はいるのか、とか、
子どもだけの国があったらいいということについて
話し合ったり)がストーリーを引き立てているようだ。

ストーリー内も夏休みなので、いま読むのにちょうどいい。


タイトルのしずかな日々、
ストーリーとしては子どもの夏休みだから静かではないのだが
大人になった光輝が、冷静に少年時代をふりかえる。
そうみると、なんだかしずかな日々になるのだ。



印象なシーンをひとつ、
光輝少年は今まで友だちがいなかった
5年になってようやく友だちのよさを知る。
しかし、今までの経験からか、子どもでありながら
どこかで冷静に自分を見ている。

押野とラジオ体操にいき、楽しいひとときなのに
今、もし一緒に暮らしている祖父が亡くなったり、
別居中の母と暮らすようになったら
こんなに楽しく過ごせるとは限らない。
万が一自分がそうなってしまっても
深く傷つかないために、最悪の事態も常に想定している。


とても冷静であるし、賢いとも思うけど、
少し切なくなるシーンだった。

さわやかでいい小説。
重松清の「半パンデイズ」が好きな人はこれも好き、だろう。

オーシティー(木下半太)

2011-08-05 08:13:41 | カ行の作家
オーシティー(木下半太)

ギャンブルほか娯楽街として世界的に有名になった街、オーシティーでは
「耳切り茶谷」や「絵本探偵」「殺し屋夫婦」など
強力なキャラクターが多い。

その街で茶谷が切ったギャンブルの借金を返さないインド人の耳をめぐって
耳を狙う人→殺し屋夫婦(特技は拷問)、冷酷な刑事、絵本探偵。
逃げる耳を持った人、逃がし屋とその盲目の娘、ボディーガード…。

最後に耳を手に入れるのは誰なのか。
いつものドタバタ劇。最後までどうなるのかわからない。

エンターテイメント性は高い(いつも通り)
読み応えとしてはいまひとつ。

物乞う仏陀(石井光太)

2011-06-24 00:35:39 | ア行の作家
物乞う仏陀(石井光太)

オープニングから衝撃的だった。
パキスタン国境の難民キャンプで著者は物乞いの子どもたちに囲まれている。
たまたま腕があたってしまった幼子には眼球がなかったー。

それから、数年。
仕事を辞めて、預金と健康な身体を資本にアジアへの旅がはじまる。

主に、障がいをもった物乞いを中心に出会っている。
話を聞くために、同じところに何度も何度も足を運び
なるべくその人たちの目線にあわせて付き合いをしている
取材に相当な労力をかけていることがわかる。

取材のなかで、やりきれない思いに幾度となくぶつかる。
障がいをもった人たちが社会から見放され、弱者となっていく姿。
とりわけ子どもたちが、日本の子どもたちと比べても
かなり色々なことが削がれた状態でいること、
読んでいてもショックを受けるくらいだから
実際に目の当たりにするとその衝撃はもっと大きなものだとうかがえる。

中でも最後のインドの話が衝撃的だった。
レンタルチャイルド、その子どもたちの出所と行く末には
深い深いため息が出てしまう。

しかしこれは現実。
多くの人に知ってもらいたい。