僕の詩集

詩を投稿しております。我流ですが、読みやすいと思います。よろしくお願いします。

僕の詩の解説No.488【 大正池の嘆願 】

2017-03-13 10:26:59 | 詩の解説
  (再掲載)

 僕の詩集 No.488
  1992.6.20.作

【 大正池の嘆願 】

      のみや あきら


地球の怒りと自然の悪戯が
偶然
私を産んだ
父は焼岳
母は梓川
出生地は上高地
大正四年の出来事である


仲の良かった父と母の間に
何が起こったのか
      それは知らない
怒り狂った父が
我が家めがけて熔岩を
        吐き出した
その灼熱に驚いた母は
家族を急いで避難させた
だがその甲斐なく父の怒りは
私を直撃した


父の過激な乱暴が
平和な生活を送っていた私を
片端にした
焼け爛れ
醜く変貌した私の周りに
兄弟たちが心配して
       集まってくる
だがあたりを激しく
   狼狽するばかりだった


異人種の父と母の結婚で
       誕生した私は
大正池と名付けられ
池として新しい人生の
      スタートをした
鴨や熊笹やハイカーが
      私の新しい仲間
軽蔑されると思っていた
      私の様変わりを
みんなが歓楽してくれた
楽しい日々が続く
夢のような毎日に時の流れを           忘れ
いつしか年月を重ねて
         しまった


私もぞろぞろ八十に手が届く
仮の生活はもういやだ
ピエロー役はもうたくさん
幼い頃のように
清らかな川の流れに帰りたい
元の私に戻りたい
私の美景と人気に
長年嫉妬を抱いていた土砂が
私の命を脅かしている
疲れた私に抵抗する
        元気はない
はつらつとした若い時代に
         帰りたい
田代橋や釜トンネル近くの
        兄弟たちは
いまでもあんなに若々しく
楽しそうに流れているでは
          ないか
どうして私にそれが
        許されない
なぜ私だけが年を取って
       しまったのだ
淀んだ池の水や行儀の悪い
         観光客の
ご機嫌とりはもうごめん
私を元の家族に帰してほしい
大正池と言う仮の姿を
私は
何時までこのままで
   いなければならないの
          ですか
お母さん


あなたを家族に引き戻すには
父焼岳の力が必要です
でも父も最近すっかり
      弱ってしまった
二十八年目の登山解禁を
       出したばかり
あまり期待は出来ない
だからあなたも
その姿のまま
人生を全うするしか
       なさそうだ
結局私もこのまま
   我慢するしかないのか


NO.488.【 大正池の嘆願 】
          の解説

 この作品は、上高地に旅行した時、大正池を眺め、その様子で感じたことを、擬人化して創った詩です。池自体が危機に瀕していると聞いて、尚更、創りたくなったのです。

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