5月23日、5時半起床。
いつもと同じように、私のしがない１日が始まろうとしていた。
彼女達のこの姿を見るまでは。
さすがにこの光景見て素通りするヤツぁ、余程に無気力無関心な人間だろう。
好奇心の塊の私は、すぐに彼女達の視線の先へ目をやった。
うわっ…。
どうしよ…出来れば一番世話したくないのが居てる…。
この子達を世話して、立派に成長させた例が過去に一度も無い。
今までに、何度庭に埋葬した事か…。
またあの悲しみが私を襲うのか…。
しかし、見つけてしまったからには見殺しなんて出来ますかいな。
同じ死ぬなら、出来る限りを尽くさせてくれ。
動物好きな私に見つかるとは、お前もまた強運の持ち主だな。
んなワケで買ってきたがな。
わっかりやすい小鳥の擬声語ネーミング『ピピ』
取り敢えず、正しいエサのやり方か否かは分からんけど、水とご飯と一緒に
混ぜて水分も摂れるように作ってみたよ。
そっとプラントの影に忍ばせ、探偵のごとく離れて様子をチェック。
おぉっ
感動！下手クソながら、くちばしでつついて食べてる
そして、何ちゅう可愛さ…。ついつい名前なんか付けたくなる衝動に駆られる
いやいやイカン、ここで名前を付けたら情が湧いてしまう。
どうやら、きっと親から巣立ったには巣立ったんだが、飛ぶのに失敗したと
思われる子で、今まで世話をしてきた「弱った子」とはちょっと違うようだったのが
唯一の希望の光だった。ここで安静に過ごせば、飛んでいくかもという
一縷の望みに賭け、出来るだけ自然と同じ環境で、餌だけは画像の食事を与えた。
するとどうだろう。24日、こんな姿を見せた。
おおおおおーーーー！！スズメさんよーーーーー！！！こんな、たまたま置いてた
プラントがあんたの止まり木になるなんて、何て素晴らしい！！
別の位置に移動。
大人スズメでもスズメって可愛いのに、仔スズメの丸さは殺人レベルの可愛さ！
24日は、こんな事を一人(というか一羽)でずっと繰り返していた。
しかし、スズメは警戒心が強い生き物、私が近付き過ぎると
ここに隠れる。さて、どこでしょう？
ここだス。
隠れてるつもりなんだね。私も勿論騙されてるフリをしてやりましたが。
さて、25日の朝。この小さい狭いベランダ生活に慣れてきたようで、
私が通るとチョンチョンと姿を現し、また隠れる…なんていう姿が見られ、
「よしよし、今日も美味しいお食事用意するからな」と、私はゆで卵を
みじん切りにしてスズメのもとに向かった。
…が。
いない！
いない！いない！
いない！いない！いなーーーーーーーーーーーい！
私は立ちつくすも、恐らくあのスズメのメッセージと思しきものに気がついた。
ベランダの手すりに、ついさっき排泄したと思しき便！！
「ご飯ちゃんと食べたで」とでも言うかのような固形の便！！
止まり木から手すりは、こんな距離。
地面から止まり木まで飛べる事を考えると、止まり木から手すりにも
飛べるだろう。きっと、ようやく飛べる準備が整い、自由に飛んで行ったのだろう。
高校ん時、without＋動詞ingの英語の例文であった
She left without saying anything.(彼女は何も言わずに去って行った)
っつーのを思い出した。
その後、ゆで卵の残りは、何事も無かったかのように夫の朝食になった。
カラスに見つからない・雨風凌げるのに自然の環境に近いベランダ、
止まり木になるプラントと隠れられるプラント2種、そして夜も冷えない時期という
奇跡的条件が重なり、今回初めてスズメを無事に自然にかえす事が出来ました。
淋しいのやら嬉しいのやら、よう分からん心境ですが、私は今も
『ピピ』をベランダに置き続けている。
今日もロンゲスト記事を読んでいただき、ありがとうございました
