第八芸術鑑賞日記

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ローズ・イン・タイドランド(7/8公開)

2006-08-10 01:29:39 | 06年日本公開作品
 8/1、恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞。4.5点。
 鬼才テリー・ギリアム最新作。しかしこれ、かける小屋を間違ってやしないか? いつも通りのギリアムで、恵比寿でやるには相応しくない内容。予告編は「ギリアムのアリスは……」とファンタジーぶりをアピールしていたけれど、実際はどうしようもなくエゲツナイB級映画。子役の少女やファンタジーという宣伝に乗せられた観客たちには酷い拷問だったろう。
 確かに『不思議の国のアリス』をモチーフにしているというのは事実で、作中でも主人公が朗読する場面が出てきたりする。ギリアムは、現実の『アリス』、本当は怖い『アリス』を撮りたかったんだろう。しかし残念ながら、単なる悪趣味の露出にすぎないというのがせいぜいの評価ではないだろうか。
 ……なんていうと、鬼才につきものの固定ファン層から反発を食らうだろうが、しかし俺はギリアムの悪趣味ぶりというのを完全に否定しているわけでもなくて、『未来世紀ブラジル』は傑作だと思っている。しかし今回は、『未来世紀~』での悪夢のような映像体験を見せてくれるわけでもなく、ひいた目線でしかスクリーンを見れなかった。
 やっぱり、まだ色々と理解できない子役にこんなことさせちゃいけないだろう、という気持ちが沸いてしまう(まぁ天才子役の生きてる世界なんてどんなもんか知らないけど)。それで出来上がった作品が大した芸術品というわけでもなし。
 しかし、想像の水中探検シーンの美しさや、要所要所に見られる安っぽいCG、最後の「爆発」などにはギリアムの本領を見たように思う。

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