第八芸術鑑賞日記

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DEATH NOTE デスノート 前編(6/17公開)

2007-04-13 04:37:07 | 06年日本公開作品
 3/17、目黒シネマにて鑑賞。5.0点。
 名画座で前後編を一度に観た。
 大ヒットした原作漫画は昨年春に連載終了、単行本は全12巻で発売されている。この原作は大きく分けて「7巻まで」と「8巻から」の二部構成となっていたが、今回の映画版ではその第一部にあたるパートを前後編にわけて製作。さらに後編は原作と異なる結末が採られている。
 原作は単行本の4巻が出た頃から追いかけていたのだが、最終的に名作と呼ばれる域にはたどり着けなかったと思う。名前を書き込むだけで人が殺せるというSF的アイテム「デスノート」をめぐるサイコサスペンスで、週刊少年ジャンプ連載ながらも主人公が悪人という思い切った語り口や、膨大な台詞を使用した本格派ミステリを描こうとした姿勢はなかなか面白かった。しかしながら、ひたすらネーム主体で進む作劇には漫画という視覚メディアの表現力を活かす余地があまりにも少なく、その窮屈さが大いなる難点となっていた。
 原作をそのままトレースしようと思えば、この弱点は映画というメディアにおいても全く同様である。そこで、この映画版においては細かい設定の大幅な省略とストーリーの整備を施し、原作で多用されたモノローグや説明台詞を極力減らすべく努めている(ちなみに原作では小畑健という希代の作画家の職人的手腕でどうにか乗り切っていた)。その方向性は娯楽映画の文法として全く正しいものであり、ある程度まで成功しているとも思う。しかしそれでも、ストーリーを語ることだけでいっぱいいっぱいという印象を免れることはできていない。個々のショットにもスクリーンの大画面で観ることを意図したような締りが感じられず、実写パートとの違和が覆いきれないCGなども含め、映画的高揚感を形成するだけの表現はできていない。
 ハナシの方も原作そのままに近いこの前編については、やはりこのくらいの評価だろうか。

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