08/7/4、神保町シアターにて鑑賞。6.5点。
稲垣浩自身によるリメイクで、43年の「阪妻版」に対し「三船版」ということになる。基本的には前作を丁寧になぞったリメイクとなっており、ファーストショットのカメラワークからして同じだ。しかし、オリジナルでは戦中の検閲でカットされてしまったシーンがしっかり盛り込まれており、完全な形での「無法松の一生」を作ろうとした本作は、明確な意義を有している。ヴェネチアで金獅子賞を受賞。
短いスパンでオリジナルと続けて観たのだが、比べてみて感じるのは、検閲でカットされていた「ポスター」絡みのシークエンスはやはり絶対に必要なものだろう、ということだ。このくらいの描写を挿入しておかないと、「俺は汚い」という後の松五郎の台詞にも重みが出ないだろう(実際43年版を観た時はしっくりこなかった)。とはいえ、そのような脚本の組み立てでは「理に落ちすぎる」印象もあるし、説明のないオリジナルの方により惹かれるというファンが多いのも納得はできる(「言わぬが花」を是とする日本人的な心性からすれば、映像言語として事実上「言って」しまっている本作はやや無粋なのだ)。ともあれ、このような回復されたシーンの確認のためにも、本作を見る価値は大いにある。
もう一つの見所はもちろん、三船敏郎が演じる無法松ということになる。すでに有名俳優によって確立されてしまったキャラクターを演じ直すわけだから、これはかなりの難事であるはずだが、しかし想像以上に健闘していた。ファンは必見だろう。と評価した上で、どちらを取るかと問われればやはり素直に阪妻に軍配を上げたい。キャラクターとしては阪妻の方が「作っている」にもかかわらず、三船の方が「くどさ」を感じてしまう面があり(もっともこれは三船につきもののことだが)、阪妻=無法松の人物造形は稀有なものであったと思わされる。
他のキャストに目を向けると、これは少々評価が難しい。ごく個人的には、阪妻版における見慣れていない俳優陣と比べ、笠智衆や田中春男まで出てくる本作には少々「演技」を観ているという印象を拭えなかったのだが、これは致し方ないところだろう(ましてオリジナルより後に観てしまったわけだし)。しかしそれにしても、未亡人に高峰秀子というのはバタくさすぎやしないか。
オリジナルとともに押さえておきたい一本。
稲垣浩自身によるリメイクで、43年の「阪妻版」に対し「三船版」ということになる。基本的には前作を丁寧になぞったリメイクとなっており、ファーストショットのカメラワークからして同じだ。しかし、オリジナルでは戦中の検閲でカットされてしまったシーンがしっかり盛り込まれており、完全な形での「無法松の一生」を作ろうとした本作は、明確な意義を有している。ヴェネチアで金獅子賞を受賞。
短いスパンでオリジナルと続けて観たのだが、比べてみて感じるのは、検閲でカットされていた「ポスター」絡みのシークエンスはやはり絶対に必要なものだろう、ということだ。このくらいの描写を挿入しておかないと、「俺は汚い」という後の松五郎の台詞にも重みが出ないだろう(実際43年版を観た時はしっくりこなかった)。とはいえ、そのような脚本の組み立てでは「理に落ちすぎる」印象もあるし、説明のないオリジナルの方により惹かれるというファンが多いのも納得はできる(「言わぬが花」を是とする日本人的な心性からすれば、映像言語として事実上「言って」しまっている本作はやや無粋なのだ)。ともあれ、このような回復されたシーンの確認のためにも、本作を見る価値は大いにある。
もう一つの見所はもちろん、三船敏郎が演じる無法松ということになる。すでに有名俳優によって確立されてしまったキャラクターを演じ直すわけだから、これはかなりの難事であるはずだが、しかし想像以上に健闘していた。ファンは必見だろう。と評価した上で、どちらを取るかと問われればやはり素直に阪妻に軍配を上げたい。キャラクターとしては阪妻の方が「作っている」にもかかわらず、三船の方が「くどさ」を感じてしまう面があり(もっともこれは三船につきもののことだが)、阪妻=無法松の人物造形は稀有なものであったと思わされる。
他のキャストに目を向けると、これは少々評価が難しい。ごく個人的には、阪妻版における見慣れていない俳優陣と比べ、笠智衆や田中春男まで出てくる本作には少々「演技」を観ているという印象を拭えなかったのだが、これは致し方ないところだろう(ましてオリジナルより後に観てしまったわけだし)。しかしそれにしても、未亡人に高峰秀子というのはバタくさすぎやしないか。
オリジナルとともに押さえておきたい一本。
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